からま

感じた、気になった、悲しんだ、笑った、いや無感動、そんなノートにしたい。

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マガジン

  • ショートショートの小部屋

    拘ることなく、自然に筆を進ませてみた。そんなショートな物語をご覧ください。

  • 黄昏時に

    ココロの片隅に、耳を傾けて、聞こえてきそうなヒソヒソ話たちです。

最近の記事

恒星間の過ごし方

もう彼此何年が立つのかな。 前回のスリープ明けにもそのような会話されていましたね。 助手のミーチャはそういった。 そう言っても仕方がないだろう。キミは若い身体のままスリープに入れたが 私は恒星間飛行中も研究に冒頭し、気づいたときには10年という歳月が流れていた。 キミと同じ年だった私の身体は10年の老いを感じている。 サージは少し皺の増えた目元を気にしながらミーチャをみている。 若さとは必要なものなのか、当時は考えもしなかったことだが、掌にぬくもりが欲しいと感じてしまう自

    • 真夏の午後

      正美は知っていた。今日はオジサンたちは出かけて帰ってこない。 父の弟夫婦に厄介になっている私は弟夫婦の行動をよく観察していた。 家では二人ともよい夫婦を演じている。当然といえばそうなのかもしれないが。 今日出かけたカバンはいつもより大きかった。特に叔母さんのは海外でも行くのかと思わんばばかりのトランクであった。 二人とも趣味が違っているので、それぞれで楽しんでいればいいのだが、最近のちょっとした行動がどうも気になってしょうがない。 オジサンの髭剃りが丁寧になった。トニックな

      • 絶望

        結局のところ、何が正しいかなんか分かんなくて、誰がいい人かもわからない。歴史も本当かもしれないけど、違うかもしれない。間違いを信じて決断していく毎日。新しいものができたら古い物は捨てられて、でもまた復活したり。結局自由ってことは分かったんだけど、どうしてこんなに生活が不自由なんだろう。みんな好き勝手して地球壊してる。自然は適応してるのか、諦めてるのかなすがまま。足掻いているのは人様だけ。いいのかな。不思議だね。人間って。

        • 異次元喫茶店 第1話

          1. 居場所 今日も客が来るか来ないか分からない喫茶店のマスターを私はしている。 ピクピク星のスズナリという生物か名前さえも分からないやつに、ここを紹介された。 借用書もなければ契約書もない。 ここは、今日からお前の店だ。好きにすればいいと言われた。外に出ればいつも市が開かれている。でもそこにいるのは容姿は出鱈目だ。いや、私の方がおかしいのかもしれない。 ここの時間の流れ方は実に妙だ。気分に寄って天気が変わったりする。いや、訪れる者たちによって市が動いているようにも思う

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        • ショートショートの小部屋
          24本
        • 黄昏時に
          18本

        記事

          異次元喫茶店

          0.エピローグ マスター、今日のコーヒーは何処産だい? 今日のはアウィーの東の市で見つけたよ。 最近はあの辺でよく漂流物が見つかるんだ。 どの世界のどの年代かはわからんが大きな積み荷が流れ着いて その中に新鮮なコーヒー豆があったそうだ。 あんたもこの世界にきて長いんだろ。 そんなこともないさ、年という単位が生きているなら20年くらいか。 そうだなここは時間の流れが違う。場所によっても、階層によっても違う。 ここはさらに違う階層の狭間にあった物件を紹介してもらったのさ

          異次元喫茶店

          絶滅動物図鑑

          とある本を読んだ。 深く刺さるコトバがある。 性の執着と歓喜に震える欲望と隣合わせになって。 こんなある生き方の一片を切り抜いてそれに考え巡らすことができた我が青春時代はなんと幸せだったことか。 でも今は、生き方を自由に選ぶことができ、社会からコミュニティから離れ、さらに自ら個を選ぶようになってしまった。 まさに人類は自らの歴史のページを終わらようとしている。 いいんだよ。今は。 でも、明日にはよくないかもしれないんだ。 一つの間違いが多くを消し去り、きっと未来の絶

          絶滅動物図鑑

          閉ざされた世界

          生きるために必要なものが、手の届く範囲にないと私たちは非常に困惑してしまう。 従来からそうだっただろうか。 いや、そんな事はなかったはずだ。 欲しいものはあっても、周りにあるわけではなく遠く離れた場所にわざわざ出向いていくしかなかった。 それがどうだろう。今や画面1つで自分の欲しいと思われるものが列挙されている。 欲しいと思わされているのだ。 消費することに慣れてしまった現代人。 何かをしなければいけないと言うことに取り付かれてしまった現代人。 何もしなくても時間は流れ

          閉ざされた世界

          雨宿り

          走り梅雨の季節。突然の雨降りは困りもの。 傘はない、雨に濡れれば寒い。いいことは特にない。 そんな雨降りの街の片隅で困ったちゃんがいた。 「いや、急に降ってくるからびっくりしたね。」 「今日、雨の予報だったっけ?」 「いやそんなことはないはずだよ。2丁目のピーコちゃんは絶対今日は降らないって言っていたから。」 「またピーコちゃんの話かね。ごちそうさまだね。」 「いやいや彼女はすごいんだって。だってさぁ、テレビよく見てるしモノマネも上手なんだよ。」 「はいはい。で、この雨ど

          まもるべきは

          守るは自分か、護るはあなたか。 言葉のはしっこが、どうにもひかかってしまう。 適当に生きているほうが、今の世の中ではいいように思う。隣を気兼ねすることなく。 例えばだが、布団を干していて雨が降っている時に慌てて布団を取り込むとする。同じマンションの他の階で布団を干している時どうするだろうか。 ほっとくのが一番いいという人がいる。 他人なのだから、わざわざ声をかける必要はないと言う。 私は、わざわざ声をかける必要はないが、大きな声で「雨ですよ!」とは言っておきたい。 なぜ

          まもるべきは

          ママの匂い、好き!

          信号を待つ間、親子連れの自転車が隣に止まった。 なにを思ったのか、自転車の後部座席に座っている僕ちゃんが突然、ママの背中をクンカクンカ。 「ねぇ何しているの?」 「ママの匂い、好き!」 「やだ、何言ってるの。。」 ママと言われた女性は、恥ずかしながら、左手で前髪を耳にかけた。 照れ笑いしているようにも見えた。 そんなママにお構いなし。僕ちゃんは相変わらず、ママの背中をクンカクンカ。 信号は青になって、親子連れの自転車は去っていった。 クンカクンカで幸せを感じたヒト

          ママの匂い、好き!

          兎に角、静かにコーヒーが飲めればいい

          と思っていても。なかなかコレが難しかったりする。暇さそうなカフェに入っても従業員の話し声で台無しにするカフェ。 机がぐらぐらで、せっかく淹れたてのコーヒーがカップ皿の上で噴水を始める。 ジャズを流すのはいいが、おしゃべり止められないの?といいたくなるほどアルバイト女子と会話を弾ませる50代店長女子。 ああ、こんなことならもう少し先のドトールに行くべきだった。 といいながら悲しきかな、今日のお小遣いはもうない。 いや、明日の分を使ってチャレンジしてみるかと思ってしまうほど今の

          兎に角、静かにコーヒーが飲めればいい

          びびでぃばびでぃぶ

          切ないアニメを見た。 救いようのない愛が溢れている。 どこまでいっても答えは無い。 そして時間だけが過ぎていく。 あの時好きと言えなかった僕の未熟さが、ずっとずっとのしかかり僕はその思いを越えようとしていた。 青春の甘酸っぱい思い出であればいいのに。でも実際には今も引きずっている。 あの時の寂しさはきっとずっとずっと死ぬまで忘れることはないだろう。 寒さで震えるように、雪の中をずっとずっと歩いているように。 終わりのない道を1人で歩き続ける。今も。 見終わって、こ

          びびでぃばびでぃぶ

          限界、そしてレイン

          晩酌をあまりしない。酒が嫌いなわけではない。ただあまり呑んでも、そこまで気分が晴れることもない。 でも、やっぱり呑みたいときはある。 積もりに積もった鬱憤と、それを処理できなくなった自分との葛藤に負けたときアルコールは私の血液となる。 今日はそんな日だった。 夕食前の1時間。私は缶チューハイを1缶開けて、ため息を1つ吐きながら口に流し込んだ。 酒のお供は、魚肉ソーセージとさけるチーズと小魚アーモンド。 私は、ソーセージを1口かじる、そして酒を少し口に含む。とても機械

          限界、そしてレイン

          カリブ海の夜

          おい。来いよ。海が綺麗だよ。 初めての海外旅行で訪れたカリブで僕たちは満喫した日々を送っていた。 なによ。いつも海が綺麗だよ。っていって、綺麗に決まっているでしょ。 ここはカリブなんですから。 そう僕たちは新婚で、カリブ海1週間旅行に来ているのだ。 見渡す限りの綺麗な海。豊富な魚介類の料理。最高の宿泊地。 さらに最高のパートナー。 君は完璧だよ。その綺麗な肌。いつも抱きしめたくなるような完璧なスタイル。 そのくちびる。。。 やめてよ。みんな私たちを見ているわ。 い

          カリブ海の夜

          一杯のコーヒーから始まることもある。

          何気ない一言を聞くためには、場所と時間と、それと一杯飲み物が必要だ。 それはBARで一杯のカクテルかもしれない。 または居酒屋で二杯目の日本酒かも入れない。 いやいや、一杯のコーヒーでもそれは可能なのだ。 時と場所があなたを、私を、導いてくれる。 それはどこにでもある? いや、そんな街は多くはないが、街の片隅ひっそりとあるはずだ。 それは、熟しきったオトコ、オンナたちが囁く街、ちょっとばかし、殺風景だけれども、心許せる場所。 そんな場所のコーヒー店でも、何かが始まりそ

          一杯のコーヒーから始まることもある。

          車がほしくなった日

          このマスクなご時世。窮屈さもここまでくれば慣れというもの。 顔が見えないことに対して、あまり考えなくなってきた。 テレビで芸能人やニュースキャスターの代わり映えしない顔を見ても、なんか近所の人のように親しみやすいを通り越し感激することもなく、素通りしてしまいそうだ。 そんなことを思いながら、テレワークの昼休み。 昼ごはんを早々に終わらせ、近所のスーパーへ。 マスク人たちに囲まれながら、夕食の食材を買う。 ため息混じりの帰り道、大通りに出て信号待ちをしていた時だった。

          車がほしくなった日