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雨宿り
走り梅雨の季節。突然の雨降りは困りもの。
傘はない、雨に濡れれば寒い。いいことは特にない。
そんな雨降りの街の片隅で困ったちゃんがいた。
「いや、急に降ってくるからびっくりしたね。」
「今日、雨の予報だったっけ?」
「いやそんなことはないはずだよ。2丁目のピーコちゃんは絶対今日は降らないって言っていたから。」
「またピーコちゃんの話かね。ごちそうさまだね。」
「いやいや彼女はすごいんだって。だってさぁ、テレビよく見てるしモノマネも上手なんだよ。」
「はいはい。で、この雨どうするんだい。こんな垣根の葉っぱたちでは濡れてしまうよ。」
彼らは突然の雨でどうするか議論の真っ最中だ。雨は次第に強くなる気配すらある。
「ほら、あの軒下なんてどうさ。絶対濡れないって。」
「いや、あそこはニャー子さんがきっといるでしょ。僕ら遊ばれちゃうよ。」
ふたりとも頭を抱えて垣根の下で空を見上げる。
「あのマンションのベランダのボイラーの上なんてどうよ。」
「あそこは、ポッポーさんの特等席でしょ。まずいって。喧嘩になるよ。」
ふたりともため息をはいた。
ここでチュン助が妙案を出した。
「ちょうど、ここに豆菓子があるから、それでも食べてから考えますか。」
「そうだね。ちょっとここで休んでいきますか。」
チュン太郎もその案に同意し、たまたま垣根の下に誰かが落としていったお菓子を啄み始めた。
雨はしばらく止みそうにない。それでもふたりはチュンチュンと垣根の下でおしゃべりを続けていた。
おしまい
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