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恒星間の過ごし方

もう彼此何年が立つのかな。
前回のスリープ明けにもそのような会話されていましたね。

助手のミーチャはそういった。
そう言っても仕方がないだろう。キミは若い身体のままスリープに入れたが
私は恒星間飛行中も研究に冒頭し、気づいたときには10年という歳月が流れていた。
キミと同じ年だった私の身体は10年の老いを感じている。

サージは少し皺の増えた目元を気にしながらミーチャをみている。
若さとは必要なものなのか、当時は考えもしなかったことだが、掌にぬくもりが欲しいと感じてしまう自分に驚いていた。

ミーチャ。。。そのなんだ、ずいぶん久しいが、アレをしたいんだが。
サージはこの行為を口にすることができず、遠まわしにいった。

ミーチャはサージを見つめると。そうですね。そのミッションも必要でしたね。装置をつけてカプセル内でお待ちください。

業務的には答えているが、サーチャも満更でもなさそうだ。
そりゃあそうさ。だって人間なんだもの。。生理現象は止められない。
しかも同じ空間に男女がともにしているんだ。胸の高まりは止め得られない。

サージは自室にもどりスリープ用とは違うカプセルに入る。もちろん素っ裸だ。
入ると顔にヘルメット的なものを被り、カプセル内にはジェル状の物体で満たされる。
いろいろな部分にセンサーらしきものがくっつき始め・・・

しばらくして、サージは頭の中で声が聞こえるのを耳にした。ミーチャの声だった。
準備ができたとのことだ。こちらのシチュエーション設定は完了したのでサージ側も設定を完了したら教えてほしいとのことだった。
サージは、意識を目に集中させる。目は開けていないが画面が投影、いや正確には普通の風景として見えているが、ステータスウインドウが表示されている。
シチュエーションを選べとのことだ。私はいつものお決まりのアレを選んだ。
そう隣のお姉さんだ。この歳で何をいうのかという奴はいるだろう。だが、私にも少年時代はあった。
とある惑星に家族で引っ越しした家の隣のお姉さんに一目ぼれしてしまったのだ。
特に彼女となにかあったわけではない。心のケアのときに彼女に抱かれるのをサージは選ぶのであった。

ミーチェは何を選んでいるかはわからない。彼女なりのセンスで選らんでいるのだろう。もしかすると、ファンタジーの勇者と姫様かもしれない。まぁいいさ。この時間ばかりは個人が心ゆくまで堪能したあと、未来の生殖に必要なものを吸い上げられる仕組みだ。しかも採取したサンプルはすぐに冷凍保存される。

数時間の幼年期を過ごした私は、満足した気持ちでカプセルから這い出した。
気持ちは高揚していたが足元が少しおぼつかない。実年齢という足かせを実感してしまう。
必要なエネルギーを口から含み、一休みしてからデッキの方に向かった。
ミーチャはまだカプセルから出てきていない。
不安になったサージはミーチャの部屋に入った。特に個人のものがあるわけではないので出入りは自由だ。
ミーチャはまだジェル状の中でいた。そのカプセルでの動き方は妙に艶めかしく、先ほど採取されたばかりというのに、サージはうずきを感じる。
震える唇を押さえながら、ミーチェのカプセルの中を呆然と見ていた。
数分がたったであろうか。
サージは溜息を大きくすると、自室のスリープカプセルに入っていた。
まだスリープするには十分早い時間であったが、なにかうごめく感情を抑え込むには
スリープがよいと判断したのだ。次は2,3世紀後か。どこかの惑星に到着しているのかもしれない。その時は、そう思いながら目を閉じた。

それから30分後にミーチャはカプセルから這い出してきた。満足した体験に身体は満足していた。身体を綺麗にしたあと、デッキにいってみたが、サージの姿がみえない。
メインパネルにサージがスリープモードに入っていることがわかった。

あら、私のかわいい坊や。
ミーチャは一言いった。

彼女も計器を確認したあと、スリープカプセルへと入っていった。

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