見出し画像

保育シリーズ|子どもは天使!?

子どもは時に残酷である。

私が保育園で年少組の担任をしている時に、子ども達と虫探しをしていたら、一人の男の子がアリやダンゴムシを手当たり次第、踏みつけていたことがありました。
虫達にとっては地獄絵図。
まさに世紀末だったと思う。

周りの子は呆気にとられて、固まっていました。
私もあまりのことに驚きましたが、踏まれた虫をひとつひとつ集めて、生きている虫と動かない虫とに分け、死んでしまった虫は「ごめんね、痛かったよね。ごめんね」と土の中に埋めてあげました。
そして、数人の子どもが「やめて!かわいそう。」とその子の行為を止めようとすると、「ふんっ」と不機嫌そうに男の子はその場を立ち去っていきました。

帰りにその子の母親に虫を踏みつけていたことを話すと「先生ごめんなさい。私が虫が大嫌いだから、あの子も嫌いになってしまったの。私が怖がると踏みつけたり追い払ったりしてくれるんです。」と話してくれました。
「そうですか。そういうことだったんですね。」
それで、虫を踏みつける行為の理由がわかったのです。
しかし、虫も生き物ですから命があります。
人間の都合でむやみに命を奪うのも、子どもの育ちとしてはどうでしょうか。
母親の思いに添って、行動していることとはいえ、人間も虫も同じ生き物として、命を大切にする気持ちをこれから少しずつ育みたいと思いました。

その男の子(Aくん)と話をする機会をつくりました。
「お母さんは虫が大嫌いなの?」と聞くと「いつも嫌いとか気持ち悪いって言っているよ」「そうかー、Aくんも虫が嫌いなの?」「うん、ママが虫が嫌いだから」と教えてくれました。
そこで、Aくんにまずは虫のことを知ってほしいと願い、ことあるごとにAくんに虫を紹介していきました。
ダンゴムシを触ると丸まるところを見たり、てんとう虫を手の平に乗せるとちょこちょこと動きまわるのを一緒に見たりしました。


ある時、友達がダンゴムシの赤ちゃんを発見してきて、見せてくれました。
生まれて間もないのか、とても小さかったので、私の指の上に乗せて見ているとAくんが「かわいい」と言ったのです。
思わず、言葉にでたのでしょう。
私はその時のAくんが、かわいくてしょうがありませんでした。
以前の姿とは違い、虫に対して態度が変わりつつあります。
その頃は虫を見つけても踏みつけることはしなくなりました。

当時、その子は3歳児でした。
この年頃は物事の判断を自分でするのが難しい時期なので、大人の反応を見て、真似をします。
お母さんの影響を受けて、虫を嫌いに感じていましたが、虫のことを知るうちにだんだんと興味が沸いてきました。

参考までに、子どもの生き物への関わり方の指導ですが、個人的には殺してしまうことは命をいただく行為として、今後、生き物を大切にする気持ちにつながることとして捉えています。
それは死んでしまった生き物は二度と動かない、生き返らないことを知る経験になります。
おもちゃとは違って、スイッチを入れれば動く、電池を替えれば動くわけではないのです。
その時に大人が一緒に、生き物が動かなくなったことや時間がたっても二度と動かないことを目で見て、言葉で伝え、感じるようにすることが大事になってきます。
これがないと子どもは生き物の命に対して、感じたり考えたりすることができません。

子どもの内面は真っ白なキャンパスに例えられることがあります。
大人の価値観でどんな色にも染まるため、それだけ大人は責任重大です。
幼児期にほとんど人格形成の基礎がつくられるからです。
子どもが価値を選び、決めていけるようにしていきたいものです。

そして、題名の結論は、
個人的には子どもはみんな天使だと思っています。
皆さんはどう思いますか?

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?