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筋骨という路地と旧遊郭建築を歩く

筋骨とは

飛騨川と馬瀬川の合流地点、南飛騨の旧宿場町には「筋骨」と言われる路地があります。
昔は国が所有だったため、れっきとした公道であり国道です。そして現在も市が所有するため市道になります。
Access詳細はこちら。


この水路沿いの道も上のコンクリの橋も筋骨(旧国道・現市道)


観光名所として紹介されるようになり、地元の生活道路から「筋骨めぐり」を「観光」として訪れる人も増えました。
最近だと「ぱらのま」という漫画にも紹介されたそうで。(5巻に掲載されてたので買いました)

たまたま「ぱらのま聖地巡礼」で行ってきた、というレポを見かけたので、「え、漫画に出たの?」と驚きもあったのと、そういやここには旧遊郭もあったな。と思って、久しぶりに行きました。

マップは拾えど頼らずに歩く

駅に到着早々、どうやら同じ目的の人がいて、思わず「ぱらのま」聖地巡礼かなと思いつつ、一応マップを拾います。


関所だった宿場町


マップは駅に置いてある

しかしマップは見ないで記憶を頼りに目的地へ。
私は地図なしでも歩けるので大丈夫でしたが、ガイドを付けるか(1名可)、マップをじっくり見ながら歩く方がいいと思います。

ぱらのまにも出てきた飛騨川・馬瀬川合流地点。昔は益田川・馬瀬川が合流してから「飛騨川」だったので、「三つの川の会い寄りて一つの水と流れつつ」と地元で歌われる場所

橋を渡ると、独特の建物があります。こちらは遊郭所有の旧遊技場だったそうです。

ビリヤード場にもなってたそう。

旧楼閣を見る

筋骨巡りの最初は路地を抜けた先にある旧遊郭建築。

まずは1本目

朱塗りの壁がいかにもです。この近くに、この建物の持ち主の、本格的な旧遊郭建築の旅館があります。

赤い壁と丸い窓が名残を残す。この裏にも筋骨が走る。

すぐ近くの清水楼の横の筋骨を通って水場へ。
筋骨のメインというか、観光として巡るところは大体水路沿いにあるので、水場も沢山あります。

3階建ての清水楼。今は営業していない。
湧き水がこんこんと今も出る。奥に続く筋骨。

久しぶりに歩くなあと、記憶を頼りに奥まで行って小学校まで続く道に出たり。


生活道路なんですよね。それにしても昔に比べたら、整理されて綺麗になったと思う(昔はもっとごちゃっとしてた記憶…)。


漫画の場所を巡ってみよう

折角なので、漫画に出てきた場所を、記憶を頼りに行きます。大体歩ける。
ハウルの~と地元の観光MAPで紹介されてたので、そこ一応まだ使ってるのに大丈夫か?と地元民的に思ったけど、表側の地理的に和菓子屋さんの工房っぽいからいいのか。商売だし。(空き家ももちろん多い)

水路沿いに続くので、空中にはみ出る増築群。
今なら違法建築ではあるが当時は合法。もちろんその下の路地は筋骨なので旧国道。
地元の小中学生は自転車でもここを通る。

この場所、大人も勿論自転車引いて通ります。行った時にも見かけました。身をかがめながら自転車で通るので結構大変です。

下り登りもあちこちに。
漫画にも出てきたのは多分この辺。

路地が昭和の形を色濃く残し、公道であるというのにこの様子な所為か、漫画では悪い夢を見る様、と言われてますが、ここ生活道路で通学通勤路なので、小学生も普通に普段通りますからね。

今も使える水場が複数あります。


山奥の田舎なので、路地裏も特に怖いなんて感覚ないんですが、都心部から来るとそう見えるのか。と思った次第です。

筋骨と遊郭の意味

漫画には出ていませんが、旧遊郭を色濃く残す箇所があります。

白い蝙蝠と雲模様が遊郭の名残を見せる

白い蝙蝠が当時の面影を伝えます。ここから客を手招きし、客はこっそり筋骨からの階段を登って楼閣へ上がる。

女郎たちが顔を見せた場所
客がこそりと上がる階段

表の道じゃないので、傍目には目立たない。
写真右真ん中に白い蝙蝠が見えるでしょうか。

こんな場所にあるので、確かに客はこっそり行ける。

この写真にある、水路の反対側の建物には、木の風呂桶が残る朽ちた建物がありました。
床に少しタイルが残ってた気がしましたが撮影忘れた…。
こっちは「置き屋」として使われた建物だそうですが、この辺は3年ほど前の大規模水害で流れてしまったそうで。

反対側から見る。


時間が止まった場所

水害については地元の人からも以前、このあたり全体が水没したのを聞きました。
ここ、一応長洞峠と言われる峠の入り口エリアなんですよね。標高が川より断然高いんです。そこまで水が川から水路を遡ってきたことに驚きです。

旧銭湯跡へ行く


昭和の初期に作られた銭湯跡が自由見学できるので、そちらにも立ち寄り。

回転を速くするため、中腰で入る浴槽なので深い。
タイルが当時のまま残っている

旧遊郭旅館を見る

遊郭建築の名残を見ましたが、その水害に合うまで旅館としてあった旧遊郭建築があります。
また筋骨の遊郭建築と言えば、元はここ関連の建物ばかりです。
清水楼の向いにある「旧福寿美旅館」です。

昭和初期の遊郭らしさが色濃く残るモダンな外観
小さいながらも中庭構造が解る後ろ姿

中庭構造云々については前回の松風旅館レポ参照。

つまり、冒頭の遊技場も朱塗りの建物も置き屋跡も顔出し跡も、概ねこの旧福寿美旅館が昭和初期に華々しく営業していた形跡になります。(概ね、というのは他にも思い当たる節があるけど、はっきりしてるのはここだけなので…)

名古屋の様な都心部とは違い、ここは宿場町で川沿いの関所です。
川が大水になった時の足止め時、そして多分当時ダム建設や線路建設等でにぎわった時期に多くの人が利用したんでしょう。
つまり、都心部の様に何度も通うところではないのだろうと。
「湯女」の名残を残す、宿場町の楼閣だったんだろうなと思うところです。
こちらも3年ほど前の水害で施設の一部が駄目になり、旅館業は廃業しています。

旅館業の頃に1度だけ中に入ったことがありますが、見ただけで元遊郭だ…!と解る内装でした。
赤い極楽橋もあったので、小さいながらもその意味では松風旅館よりも「遊郭」の色を濃く残す建物でした。

内装があんなに残ってるのは珍しいから、有料でここも見学開放したらいいのになあ。

最後に鎮守山へ

ぐるっと筋骨巡り後は鎮守山にも〇年ぶりかに登山です。

鎮守山入り口
観音堂

鎮守山の頂上にはゆるい両面宿儺の像が建っています。

ゆるい両面宿儺の像

こちらも漫画ネタですが、まさか漫画で特級呪物で出てくるのが、飛騨人としては未だに腑に落ちない「両面宿儺」の像です。
今も昔もこの土地を見守っています。
地元の人にとっては守り神みたいな存在なんで、急に知名度上がっても呪物はなー…と未だに思います(実際に飛騨地区のあちこちで両面宿儺伝説が残る地域では、「守り神である」ことは前提して強調して紹介してますが)。

余談ですが筋骨巡り中、虫よけスプレーもしたのに、やり方が甘かったのか、レギンスの上から3か所くらい藪蚊に刺されてちょっと大変でした。(藪蚊はレギンス程度なら平気で貫通してくる…)

散策後は温泉にGO

2時間ほど写真を撮りつつぶらついた後は、下呂温泉へ。
露天風呂巡りしてきました。
来るたびに世話になってる湯めぐり手形を観光案内所で購入します。

下呂温泉街


湯めぐり手形1300円

有効期限は半年あると知ってますが、つい使い切りますね。
今回は望川館・小川屋・クアハウスに行きました。

橋を渡る電車が見える露天風呂がいい
小川屋にあるカエル

帰りの特急でのおやつは下呂プリン。

固めのプリンで美味しい

お疲れ様でした。

ちなみに、名古屋近郊から出発する場合かつ日帰りの場合でJRを使う時は「青空フリーパス」が便利です。丁度下呂までが対象エリアなので、今回はそれで行きました。
朝イチ出発だと鈍行の方が早いし、2時間後の便で下呂に移動できると思うと…。
特急の乗車券にもなるので、日帰りなら確実に青空フリーパス&特急券で買った方がかなり割り安なんでお勧めですよ。(それを利用して帰りはワイドビューでした)

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