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#12 【宰相への道】桜

「海外から自分の国を眺める」とよく言われがちな留学だが、諸君はそれがどういうことか理解しているだろうか?
私は理解した、もう8年も前の話になる。

桜。
日本人なら誰でも見たことがあるだろう。
今回は桜について語っていこうと思う。

さて、私はもう8年近くも前のことだが、ボストン、アメリカのマサチューセッツ州に留学していた。ボストンと言われても、あまり掴みどころがないと思う、ボストンで有名な物と言えば、ハーヴァード大学やボストン茶会事件だろう。歴史ある学生の街だ。
ちなみに、留学と言っても、そんな大層なものではない。3ヶ月か4ヶ月しかいなかったので、プチ留学と言うのが正しいのかもしれない。

中身の話は割愛して、日本に帰る際の話をする。
ボストンは4月上旬頃まで街中に雪が残っているような寒い街であり、私もその気候に慣れつつあったので、当然、日本も冬だろうと思っていた。いや、冬だろうと意識することもなく、当たり前にダウンジャケットを着用して飛行機に乗った。
私は眠かったので機内ではずっと寝ていて、日本上空に差し掛かったところで目が覚めた。
徐々に高度をおとしていく飛行機の中から日本の街を見ていた。しかし、帰ってきたという実感が無い。飛行機に乗ったことがある人間なら理解できると思うが、空から街を眺めると、模型を並べているだけのように見えるのだ。
まるでジオラマのようなその中に、ピンクの綿飴が、所々に散りばめられていた。
最初はゴミか何かだろうと思っていたが、高度が下がりきり、はっきりと街が見え始めると、正体がわかった。

桜だった。
4月上旬は、日本では、もう春だ。
桜の季節だった。

私は、無性にそのピンクの綿飴が見たくなった。
飛行機を降りてバスターミナルに向かうと、そこには、1本の桜の木があった。
近くで見るとこんなにも大きくて、美しく気高い桜の木。

私は、日本、この国を愛している。

私は、ボストンの生活に慣れ日本の生活を少々忘れていたことで、身近に、これほどまでに美しいものがあったことに気づくことが出来たのだった。日本にいたままでは、この愛は半減していたことだろう。
海外から日本を眺めることが出来た瞬間だった。


ーーここからは本編と関係ありませんーー
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