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#全文公開『フットボールヴィセラルトレーニング 無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[実践編]』監修者はじめに

タスク(目的、課題)に向けて「レイヤー(層)=変数」を
重ね、実際の試合以上の複雑性を生み出す


 おかげさまでご好評いただいている『フットボールヴィセラルトレーニング 無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[導入編](ヘルマン・カスターニョス 著、進藤正幸 監修、結城康平 訳)の続編

『フットボールヴィセラルトレーニング 無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[実践編]』

10月3日に発売となりました!
本書の監修者でヴィセラルトレーニングを実践している東京工業大学附属科学技術高校サッカー部の部長・進藤正幸氏による「監修者まえがき」を全文公開です!

監修者まえがき

 今夏の日本列島は、「温暖化から沸騰化へ」と言われるほど連日猛暑に見舞われた。その際中、国内外で多くのスポーツイベントが開催された。
 ニュージーランドで行われたサッカー女子ワールドカップでは、日本代表は惜しくもベスト8で敗退となったが、グループリーグは無敗・無失点で首位通過し、特に優勝したスペイン代表相手に4対0で圧勝した試合は世界から称賛された。
 甲子園で行われた全国高校野球選手権大会では、「エンジョイベースボール」を体現した慶應義塾高校が107年ぶりに優勝し、新たな時代の到来を予感させてくれた。
 沖縄で行われたバスケットボール男子ワールドカップでは、日本代表がワールドカップ、オリンピックを通じてヨーロッパ勢(フィンランド代表)から初勝利を挙げ、その歴史的快挙は明るい未来を示してくれた。
 スポーツは私たち、ファン、サポーター、ブースターに大きな感動、勇気、力を与えてくれることを再認識させてくれたと同時に、選手が主体となり、選手自身がプレーを楽しむことの大切さを発信してくれた夏であった。
 6月に『フットボールヴィセラルトレーニング』の[導入編]が刊行され、サッカーの指導者、選手にとどまらず、他競技の方々とも話をする機会を得たことは非常に有意義であった。現在、ドイツ・ブンデスリーガで活躍している日本代表の板倉滉選手が東京工業大学附属科学技術高校に来校した際、日本人監督と外国人監督の違いを訊ねると、「戦術的な指示の量」と答えた。戦術的な指示に関しては、外国人監督のほうが細かく、かつ多いという。それに対し選手は試合において指示されたイメージは持ちつつ、局面でのプレーの一つひとつは、やはり自身の判断を大事にしているとのことであった。
 また、旧来の友人であるバスケットボール元日本代表アシスタントコーチ、新潟アルビレックス初代ヘッドコーチの廣瀬昌也氏は、世界のバスケットボールの傾向として、個から集団へ、そして現在は集団をベースにした個のスキルアップ、判断・実行のスピードアップが求められていると言った。
 すべてのスポーツにおいて究極は個になってくる。
 今回の[実践編]では、[導入編]からさらに一歩踏み込み、実際のトレーニングモデルをQRコードの動画を使いながら、ヴィセラルトレーニングの現在から未来までを明らかにしてくれている。

 セカンドボールは、単に誰が拾うかを見るためのものではない。(中略)サッカーでは、ファーストボール(実際にはファーストプレー)で多くのプレーが行われる。つまり、パス経路、機械化されたプレー、あらかじめ定められた連鎖が私たちをゴールに導くはずだ。しかし、現実は、ファーストプレーがうまくいくとは限らない。もし予定どおりに攻撃が成功するのであれば、各チームは毎試合20ゴール以上を記録するだろう。
 何らかの理由で、私たちが心に描いている完璧なプレーは、完璧ではない。したがって、私たちは常にセカンドボール(セカンドプレー)に頼っている。

──本文より

 指導者は、選手に対し、「ミスを恐れず、トライしろ」(言葉)から、「ミスを咎めず、見守る」(姿勢)時代へ変わるときがきた。

進藤正幸

書誌情報

フットボールヴィセラルトレーニング【導入編】 書誌情報

#全文公開  『フットボールヴィセラルトレーニング 無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[導入編]』監修者はじめに

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