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10)「ひとつひとつの要素」を「深めて研究していく時代」のマーケティング。【本当に売れるマーケティング】

1)これまでの振り返り

第1回「セールストーク。AIDMAの法則」=「マーケティング0.5」について述べました。
 
第2回「商品志向。販売分解。顧客分析」=「マーケティング1.0」について述べました。
 
第3回「市場獲得。シェア。経営戦略の重要性」=「マーケティング1.5」について述べました。
 
第4回「それまでの理論の総合再構築」=「マーケティング2.0」の誕生について述べました。
 
第5回「理論を具現化して実績を上げる」=「マーケティング2.0」の実現について述べました。
 
第6回「売れるデザインを本当に作る」=「マーケティング2.3」の発展について述べました。

第7回「ここまでの多くの理論の大編纂」=「マーケティング2.5」の「編纂」について述べました。

第8回「売れる広告を本当に作った」=「マーケティング2.3」の発展の別バージョンについて述べました。

第9回「コトラーのライフサイクル」=「マーケティング2.5」の「編纂続編」について述べました。

今回が第10回目。ここに投稿順にリンクが貼った「目次」が用意されているのは「この通りの順番で読むと、マーケティングがわかりやすくなるよ」ということを意図して書いてます。

どこか「美味しいところだけ、つまみ食いしよう」などとは思わないて、どうぞ「ひとつずつ」順番に読んでいってください。全てが「点」で繋がり始め、それが「面」として見えるようになると、マーケティングは、本当に面白くなる。

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2)マイケル・ポーター博士

今回は「Michael Porter(マイケル・ポーター)博士」「ファイブフォース理論」の話をしようと思う。そして、どうして「マイケル・ポーター博士の理論」を紹介する前に「ロッサーリーブス」の「USP理論」「コトラーのライフサイクル」についての説明したのか?

● unique
= トレンドに乗っているが、その業界ではユニーク・その業界やカテゴリーで 独特・唯一の状態に持ち込める「説明不要のもの」

● salability
= 信頼性・売れる可能性。売れ行き見込み。「価格>問題解決の価値」=「その事業者の腕前」

● proposition
= その企業の持っている「強み」「こだわり」「哲学」

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「導入期」・・・価値訴求・マニアのみが買う
「成長期」・・・ボリューム訴求・流行に敏感な人が買う
「成熟期」・・・価格訴求・安くなったからと多くの人が買う
「衰退期」・・・一部「細分化」され サイクル最初に戻る

実は、私たちが継承してきた「旧来のUSP」理論の「salability(セーラビリティ=売れ行き予測(確証))」の核心部分をダイレクトに深堀りして説明しているのが「マイケル・ポーター博士の理論」。

マイケル・ポーター博士は1947年生まれの経営学者で、ハーバード大学教授を勤めています。

企業が他社との競争の中で勝ち抜いていくための「競争戦略理論(価格戦略論)≒ USP理論のSalability ライフサイクルを別角度から見た各段階の販売手法 」の提唱者。

ポーター氏は、市場全体の規模や、他社の動向、収益性といった業界分析を行い、業界や市場の動きを見極めることで競争に勝ち抜けると提唱した。

そういった業界分析を行う上でおさえておきたいのが、ポーター氏が提唱した「ファイブフォース(5つの脅威)」という考え方。

「① 新規参入の脅威」
「② 売り手の交渉力」
「③ 買い手の交渉力」
「④ 代替品の脅威」
「⑤ 競合との敵対関係(業界内の競争)」

「この5つの競走要因がどのように作用しあうかを調べ、考察することで、業界内の競争などを測ることができる」としたわけだ。

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3)「ファイブ・フォース」

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「① 新規参入の脅威」
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マイケル・ポーター教授は、既存企業は「経験」を積むことで累積生産性を上げると同時に、コストを低下させることができると指摘した。が、恐いのは技術の革新が起こった時。既存企業が築き上げた参入障壁は、新しい技術を携えた新規参入企業にとってではない。近年だと、インターネット業界の巨人たちの成長ぶりが、この脅威を物語っているわけ。
 
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「② 売り手の交渉力」
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あなたが何らかの製品を作るケースを想像してみよう。多くの場合、そこには部品・原材料の存在が不可欠。仮に部品業者が特許を取得していて、その業者の部品を使用しないと、製品としての品質がガクッと下がるとしましょう。部品の買い手であるあなたは、どうしてもその部品が欲しい。

この場合、部品業者(売り手)が材料コストの値上げ等によって、部品を値上げしても、あなたは買わざるを得ません。この場合、売り手の交渉力は高いと言えるわけだし、こうしたケースは競争要因として多く登場する。
 
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「③ 買い手の交渉力」
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顧客は製品やサービスに、どのようなことを期待するか? その多くは、より安い価格、より高い品質に含まれる。買い手が、いかに「買い叩く」ことができるポジションを占めているか、製品やサービスに対して、買い手がどれほど情報力を持っているかなど、競争要因を考える上では、「買い手の交渉力」が大きな意味合いを持つ。
 
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「④ 代替品の脅威」
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ラップトップPCがスマートフォンに取って代わられた事は「代替商品の脅威」として最高のサンプルと言える。人々は、より小さく持ち運びに優れた、超小型パソコンとも言えるスマートフォンを選択し、ラップトップPCを使用する時間は極端に減少してしまった。

これにより、ラップトップPCが売上苦戦を強いられていることは、ご存じの通り。ちなみに「ノートPC」というのは「ジャングリッシュ」。つまりは「和製英語」。ネイティブの方には「ラップトップ」と言わないと通じないということを ご存じない方も多い。
 
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「⑤競合との敵対関係(業界内の競争)」
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ライバル社が値引きをしたり、より良い商品を出せば、他の業者がその対抗としてさらなる値引きをしたり、オマージュしたような製品を出すのは、よくある話だ。記憶に新しいもので言えば、牛丼業界の値引き合戦は、非常に分かりやすい例ではないかと思う。

いずれどこかで限界がくることは互いに理解していたはずなんだけど、互いに精根尽き果てるまで競争をしたケース。製品の差別化が起きにくい業界では、こうした競争が働きやすい
 
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新製品やサービスが上手くいかないケースでは、投入した市場の分析がしっかりとできていないことが多い。一度、5F分析を用いて業界の分析を行い、自らの会社が置かれている状況、および市場ニーズをしっかりと把握し直す必要がある。

5F分析で競争要因が見えてきたならば、次は「コスト戦略」「差別化戦略」「集中戦略」といった、具体的な経営計画面に着目しているマイケル・ポーターの3つの競争戦略へ深めていく必要が出てくる。
 
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4)ポーター教授が提唱する競争戦略

 
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1)コスト戦略
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業界最安値をうたい市場内での価格決定権を握ることを追求。競合との価格戦略に勝ち、かつ利益をあげるために、固定費・変動費の圧縮が欠かせなくなる。いわゆる「規模」の追求。(大きいのは良いことだ!)……大きくならざるを得ないのがコスト戦略。

コスト戦略で有名な事例として、ヤマダ電機がその代表選手。過去には業界2位のビックカメラに、2倍の差をつけるほどの売上高だった。その圧倒的な勝利の要因には、徹底的なコスト戦略があった。

大量仕入れと物流におけるイノベーションで原価を抑え、顧客に安く豊富な品揃えを提供することで、ひたすら売上高を伸ばした。コスト戦略の背景には「家電という製品による差別化が難しい」という商材特性もあるけれど、その点を見極めて規模の追求を徹底したヤマダ電機は、コスト戦略事例の筆頭に挙げられる。

ホームセンターの「コメリ」なども、この戦略を非常に巧みに取り入れている。どこかのタイミングで「ペガサスクラブ(渥美俊一 先生)」の「チェーンストア理論」も紹介しなければ なりませんなぁ。
 
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2)差別化戦略
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差別化戦略では、競合との違いを追求する。その違いが顧客にとっての「価値」につながるので、顧客が選んでくれるし、差別化につながるわけです。しかし、必ずしも品質が差別化とは限りません。品揃えの豊富さアフターサービスの充実も差別化の一環。

多くの企業がコストをかけて差別化に走るため、コスト戦略差別化戦並存しないとされている。ただし、顧客に選ばれる差異であることは条件として挙げられる。その差異は気にならないと顧客に判断されれば、それは差別化にはならない

差別化戦略で有名な事例は、モスバーガー。モスバーガーは、マクドナルドに代表されるファーストフードの売りである「安くて早い」を捨てるかわりに、「安心安全で美味しい」を目指した。
その結果、モスバーガーはマクドナルドや他のファーストフードにはない差異を生み出した。これぞお手本のような差別化戦略。

とはいえ、マクドナルドがいち早く「禁煙」という差別化を打ち出し巻き返しを図った時、モスバーガーは「禁煙政策」をとらず逆転されてしまったことも有名。「差別化戦略」といえば「ランチェスター論」。そして「コトラーの商品ライフサイクル」の「導入期」に用いる戦略でもある。
 
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3)集中戦略
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集中戦略とは、どのマーケットで戦うか?という選択をして、そのマーケットに集中する戦略。つまり、勝つための市場を探し、そこで「リーダー」になることを目指す。勝つべくして勝つためには、自社にとって勝率の高い場所を選ぶ必要があるでしょう?

そのためには、冒頭述べたように「競争力の源泉」を知ることが重要な鍵となる。さらに自社の武器を明確にしてマーケットを選ばなくてはならない。集中戦略で有名な事例は、国内自動車販売数・第3位のスズキ。「軽自動車」と聞いてどんな車を思い浮かべる?

スズキの自動車を思い浮かべる人は、きっと多いと思う。だとしたら、まさに集中戦略の賜物だ。「細分化した ○○市場ではトップ!(スズキの場合2015年時点で軽自動車はトップシェア)自動車業界ではリーダーになれずとも「軽自動車」というニッチなマーケットで、スズキはリーダーになった。

それもすべて戦略的に経営資源を集中させた結果。「資源集中」つまり「一点集中主義」は「ランチェスター論」。そして「コトラーの商品ライフサイクル」に用いる戦略でもある。こういう基礎ベースの理論の把握をしていると、さらに「マイケル・ポーター論」が面白くなるぞ。
 
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5)まとめ

マイケル・ポーター博士は こう言い続けています。
 
【 自社の「競争力の源泉」は何か? 】
 
価格設定のマーケティング理論の第一人者のマイケル・ポーター論ですが、そこに単純明快な理論があることも理解しておく必要がある。この理論は「レイモンド・ローウィ」の紹介を行った時に「デザイン・マーケティング」が誕生した時の「ランチェスター論」として紹介してあるよ。

1)同じ商品なら安い方が売れる。
2)同じ商品 同じ価格なら 不満要素が少ない方で買う。


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