かなりあ

大学生|20歳|普段感じていることや思ったことをエッセイ風に、1200字程度でまとめて…

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大学生|20歳|普段感じていることや思ったことをエッセイ風に、1200字程度でまとめています|ときどき短編小説も書いています

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  • 少し長めのお話

    1600字以上の自作エッセイです。

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    2000字未満の自作の短編小説をまとめました。

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書店という場所

僕は、書店に行くことが結構好きだ。といっても、「読書がめちゃくちゃ好き」とか「欲しい本が山ほどある」というわけではない。「書店」という場所自体が好きなのだ。そこでしか感じられない心の動きを求めているのである。 何気ない日常の中で「ちょっと本屋に行ってみようかな」と思いつき、特に買う本も決めずプラッと本たちが整列する空間に足を踏み入れた瞬間の「非日常に飛び込んだ」ような感覚。 本棚の本たちを順に目でなめまわしているうちに、今まで自分が読んだことのあるタイトルに出会った瞬間の

    • 桜の花の散る頃に

      先週の一週間、家族4人のグループLINEは、鮮やかなピンク色に彩られていた。 というのも、父が連日のように桜の写真を送ってきたからである。 自宅のそばの道路沿いの桜並木。 夜になるとライトアップされる、家から少し離れた川沿いの桜並木。 画像のサイズから、どれもスマホで取られたことは明らかだったが、空の色から撮影された時間帯はバラバラ。 車から撮ったものもあれば、歩きながら撮影されたものもあった。 父は、昔から写真が好きだ。 一眼レフカメラも持っている。 最近は

      • あなたの価値とわたしの価値 -2-

        今回も、前回に引き続き「人の価値」についての自分の考えを整理していくことにする。内容に目を通しながら、ぜひみなさん自身の考えと比較したり、自分なりの考えを構築したりしていただけたらと思う。 「人の価値」について考えることは、人たる「自分の価値」について考えることに他ならない。このnoteが、みなさんが「みなさん自身の価値」と向き合い、それに気づくきっかけになることを切に願っている。 ▼前回書いた記事はこちら ▼上の記事の(ちょっと長めの)要約 前回は自分の考えを紹介す

        • あなたの価値とわたしの価値 -1-

          高3の冬、知人から借りた本の内容がいまだに忘れられない。 タイトルは忘れてしまったが、「自己肯定感の高め方」に関する本で、英語の原典を日本語に翻訳したものを読んだ。実際にどうすれば自己肯定感を高められるのか。本に書かれたワークに取り組むことで、実践的に自己肯定感を高められる設計になっていた。 実践に重きを置いた書籍ということもあり、教科書サイズの分厚い本の大半をワークが占めていた。僕の印象に残っているのはそのワークではなく、本の最初の方にあった「人の価値に関する話」である

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        書店という場所

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          倒立を試みたあとの宇宙 -2-

          前回、下のエッセイを書いた。 要約すると、こんな内容だ。 倒立を試みたあとの宇宙 自分で書いておきながら自分で書いたとは思えない言葉を、まるで国語の時間、誰かの書いた詩や俳句を批評するように、分析してみることにする。 言葉の意味を推察する冒頭のパートを整理しよう。 倒立は、地面に手をついて、体を地面と垂直になるように支える行為だ。足が上に来て、頭が下に来るから、普通に立っている時と比べると体のパーツが逆の位置になる。小学校の体育の「マット運動」授業でやった記憶がある

          倒立を試みたあとの宇宙 -2-

          倒立を試みたあとの宇宙 -1-

          僕は、何かを思いついた時、メモをしないと気が済まない。 面白いと思ったこと。やりたいと思ったこと。自分なりの考えや主張や物の見方。エッセイや小説のネタ。感情の揺れ動き。 自分の内側にあって、目に見えないようなもの。もちろん、その全てをメモしているわけではない。内側に起こるたくさんの感情や考え。そのうち「残しておきたい」「消えるともったいない」「後でじっくり考えたい」と感じたものをピックアップして、その一つ一つを分け隔てなく言語化し、目に見えるカタチで残していく。 いつか

          倒立を試みたあとの宇宙 -1-

          尊敬する人

          「ねぇ。君には、尊敬する人っている?」と訊かれて、みなさんならどう答えるだろうか? そんな「尊敬する人」や「憧れの人」がいるかを問う質問は、ある時は学校の自己紹介カードで、ある時は友達との会話で、ある時は「起業家」による講演会で、ある時は自己分析のワークシートで、投げかけられる。 僕はというと、「んー、いないかもしれないですね」とぼんやりと否定することがほとんど。で、相手や場面によっては、「実は、尊敬できない人なんていないと思っていて、『この人のことを尊敬しています』と限

          尊敬する人

          春が運ぶ記憶

          3月も下旬にさしかかり、道路を白くコーティングしていた雪は、綺麗さっぱり消えた。 とはいえ、風はまだ冷たさを帯びているし、天気も安定しない日が多い。 桜の花が咲くまでにはもうしばらくかかりそうなものの、確実に春が近づいているのを感じる。 この季節は、出会いと別れが交互にやってくる。 学校や企業の一年の始まりが一般的には4月だから、3月は必然的に「終わり」のイベントが頻発する月になるのだ。 これまでの学校生活で、いくつも「終わり」を告げる行事に立ち会ってきたが、最も鮮

          春が運ぶ記憶

          みおくりびと

          2024年3月9日。 レミオロメンのあの曲が否応なしに思い出されるこの日。 我が家は、大切な「お客さん」を迎えることになっていた。 その相手とは、東京に住む、母の弟(おじさん)である。身内を「大切なお客さん」と形容するのは大袈裟に聞こえるかもしれないが、なにせ滅多にはこちらに来ない人である。親等の小さい親族の中で、まさにSSRな存在の彼は、どこかよその人のようであった。 おじさんが、おそよ5年振りにこの地元に帰ってきた一番の理由は、僕の祖父(彼の父親)に会うことだった

          みおくりびと

          「なぜ」と問うこと

          時々、初対面の人と「1on1」をすることがある。 「1on1」が何かというと、「1対1で誰かと話をすること」だ。話す中身や場所や時間は、そのときどきで変わってくる。 僕の場合、「1on1」の相手はSNSでつながった同世代(高校生から大学生くらい)が多い。相手と自分の住んでいる地域が違うことがほとんどで、基本的にはオンラインで話をすることになる。「直接顔を合わせなくてよい」ということもあって、早朝や深夜帯に話すこともままある。時間帯を(お互いが了承すれば)日中に限定しなくて

          「なぜ」と問うこと

          F君との淡い記憶

          幼稚園を卒業するタイミングで、同級生のF君が引っ越した。 彼とはクラスも、住んでいる地域も違ったが、幼稚園でよく行動を共にする数人うちの一人で、毎日遊ぶくらいには仲が良かった。 ぼんやりと覚えているのは、某国民的アニメの登場人物になりきってのごっこ遊びをしていたこと。それと、当時なぞなぞにハマっていて、園の図書室(本棚がたくさん置いてある部屋があった)でなぞなぞの本を読んだり、なぞなぞ集をオリジナルで作ったりしていた。幼稚園の卒業アルバムに一緒に写っている場面があることを

          F君との淡い記憶

          終わらない争い

          「中東地域の紛争・戦争」に関する授業を受けたのは、12月の暮れのことだ。パレスチナ地域の歴史。これまでに起こった戦争。和平への歩み寄りと頓挫。講義を聴きながら、あのニュースのことを思い出さずにはいられなかった。 2023年10月7日。パレスチナの解放を訴える武装組織「ハマス」が、イスラエルに対して大規模な攻撃を開始した。 このニュースは瞬く間に世界に広まり、連日、新聞やテレビなどのメディアで取り上げられることとなった。刻一刻と変わる戦況を映した画像や映像が、現場の凄惨さを

          終わらない争い

          雨の日の物語-後編-【小説】

          前編はこちらでご覧いただけます。 一か月半前のあの日は、運動会の翌々日だった。 朝6時半。全身の筋肉痛に耐えながらやっとの思いで起きると、勉強机の上に見たことのない封筒を見つけた。手に取って、さっき付けたばかりの部屋の明かりに透かしてみる。中の影の正体を解き明かすべく封を切ると、手紙が二枚現れた。書き出しには「航へ」とある。 一度読み終えたあと、もう一度冒頭に戻って読み返してみた。手書きで丁寧に書かれた字を眺めれば眺めるほど実感が湧いてきて、近くにいたはずの母さんが徐々

          雨の日の物語-後編-【小説】

          雨の日の物語-前編-【小説】

          目が覚めてすぐ、俺は全身が汗ばんでいることに気が付いた。着衣泳をした時のような不快さが、全身にまとわりついている。比較的汗をかかない体質だからか、余計にその感触が気持ち悪い。 何か怖い夢でも見たのだろうか。それとも、毛布をかけすぎたのだろうか。 不快の原因を思案しながら、おもむろにベッドから出て、くすんだベージュのカーテンを開けた。 朝7時10分。部屋の外は、このところ続いていた晴天が嘘みたいに、真っ暗だった。どうやら灰褐色の分厚い雲が、太陽の光を完全に遮っているらしい

          雨の日の物語-前編-【小説】

          よりよい選択のために

          小学校高学年から中学校にかけて、僕は「ポケットモンスターシリーズ」のゲームに熱中していた。 最初にプレイしたのは、確か「ホワイト2」だったと思う。そこから、「Y」「オメガルビー」「ムーン」と、新作が出るたびに買ってはプレイした。最新作をプレイする傍らで、ホワイト2以前に発売された「ハートゴールド」「ダイヤモンド」「ブラック」で遊び、「ポケモン不思議のダンジョン」や「ポケモンスクランブル」といった周辺の作品にも手を出してきた。 もう久しくプレイはしていないが、テレビでポケモ

          よりよい選択のために

          一生に一度のイベント

          先日執り行われた成人式に、今年で二十歳になる僕は参列しなかった。 参列「できなかった」のではない。 参列「しなかった」のだ。 身内に不幸があって仕方なく……とか、会場までの大渋滞に巻き込まれてあえなく……とか、何らかしらのトラブルがあったわけでは決してなく、確固たる意志を持って、一生に一度の晴れ舞台に向かわなかった。 その理由はひとまず置いておくとして、成人式がいかに特殊なイベントかを考察してみよう。ここでは「晴れ舞台」と形容されるライフイベント ―例えば、学校の入学

          一生に一度のイベント