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財政の話

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2020年2月の記事一覧

国家財政を考えてみよう その8 特別会計、健康保険、厚生年金・国民年金の負担はどれくらい増えているのか

前項までで振り返ってきたアベノミクス第2の矢=機動的な財政政策は国家財政の一般会計でした。

国民負担、要するにサラリーマンが給料から天引きされるお金やその他の日常生活で払っている税金、は一般会計だけではありません。それ以外に大きく分けて特別会計、年金保険料、健康保険料があります。

それらの国民負担はどうなっているのでしょうか?

まず、特別会計を見てみます。

平成21年度(2009年度)特別

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国家財政を考えてみよう その9 「国の借金1100兆円超、国民1人当たり871万円」の嘘①

「国の借金1100兆円超、国民1人当たり871万円」2019年2月9日注目記事:NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/14051.html

上記のような記事、マスコミでも、あるいは政治家の言葉からも、頻繁に見聞きします。でもこれ、本当なのでしょうか?

日本では国民が主権を持っているので、主語を「国」とするなら、それ

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国家財政を考えてみよう その10 「国の借金1100兆円超、国民1人当たり871万円」の嘘②

前稿では、日本国は借金まみれというのは真っ赤な嘘、日本は世界一の金貸し大国であることを確認しました。

とは言え、国債の残高が1100兆円あること自体は、これは事実です。

これはいったいどういうことなのでしょうか?

下記リンク1ページ「(図表1)部門別の金融資産・負債残高」が日本のマクロ経済の概況を理解するのに分かりやすい資料だと思います。

2019年第3四半期の資金循環
(速報) 2019

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国家財政を考えてみよう その11 「子どもたちの未来に負債を先送りしないために消費税増税が必要」の嘘

昨年10月にとうとう消費税が10%にまで増税されました。おかしなことです。アベノミクス第1の矢で金融緩和したのなら、第2の矢では大型財政出動か大型減税をするはずなのに、この一連の稿で確認したように歳出は増えるどころが絞っている上に、減税どころか二度にわたる消費増税です。これではアベノミクスではなく、アベコベノミクスです。

消費増税を訴える政治家がしばしば「子どもたちの未来に負債を先送りしないため

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国家財政を考えてみよう その12 先に進む前にこれまでの11稿の振り返り

今まで11稿にわたり、国の財政の数字や事実を確認してきました。これより先は「考え」も混ざってくるので、その前に立ち止まって今まで見てきた11稿の「事実」を振り返っておきたいと思います。

その1;

財政の赤字、黒字という言葉を使う時に、基礎的財政収支を指して赤字だ赤字だと騒ぎ立てるが、企業決算に相当する財政の決算は巨額の黒字である。

その2;

日本の一般会計の基礎的財政収支は、歳入と本来の国

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