見出し画像

【本の話】がんばりすぎる優秀な女子の、落とし穴。「なぜ女は男のように自信が持てないのか」

2015年の本なので、新しくはないのですが、知人がSNSで紹介していて手に取りました。

昔からよく友人に「もっと自信を持ちなよ!」と言われてきました。
社会人になった後も「キミならどこに行っても大丈夫でしょ!」と同僚たちは言ってくれるのですが、とてもそんな気がしない…と思って転職活動など考えることもなく、同じ会社に勤めてきました。

「どうしたらもっと自信を持てるのだろう?」
「他の人たちは、なぜあんなに自信があるのだろう?」

そこにこのタイトルが響きました。

画像1

本の著者は、アメリカ在住の2人のジャーナリストの女性。本のタイトル通り「なぜ女は男のように自信を持てないのか?」について疑問を抱き、心理学、脳科学、遺伝子検査などさまざまな専門家への取材を重ね、また企業の重役を勤める女性や政治家たちへのインタビューで核心に迫っていきます。

この疑問、裏を返せば「なぜ男はそこまで能力がなくても自信に満ちた振る舞いをし、社会的地位を手に入れていくのか?」ということ。そういう男性、周りにいませんか?私の周りにはいます。「なぜ、あの能力と成果でそこまで昇給や昇格を堂々主張できるのか?」と思わせるような男性社員が。著者の2人もそこに歯がゆい思いをしてきて、自分たち女性に欠けているピースを埋めたい一心で執筆したのだと思います。

そして、読んだ感想は…一言で言えば、自信がないことが、馬鹿らしくなります。

なぜなら、下記を見てください。

・女性は自分の価値を、男性が自分にあると信じている価値よりも、事実上20%低く見積もっている
(同じ大学の学生たちに将来自分がどれだけ給与をもらっていると思うかと尋ねたら、男女でこれだけの開きがあった)
・女性には、物事がうまくいかなかったときは自分を非難して、成功したときは、運や他の人など、自分以外の何かのおかげだとする傾向がある。
・男性たちは失敗を、外的な要因による避けがたい結果だったと、自分の能力とはまったく関係ないと一蹴する。結果として彼らの自信は無傷のまま残る。

「(女性たちは)ただやってみるだけで成功したことが、どのくらいあっただろう?」と著者は言います。つまり、やってみるだけで成功したのに尻込みしてやらなかった女性がいかに多かったか、ということです。

なんということでしょう。自信がないことで、これほど女性たちが自らチャンスを逃していてた(そしてそれに気づかず自分の能力不足だといまだ信じている)なんて!
謙虚という美徳で損するなんて、ショックです。

この本では、女性によくある完璧主義(完全に自分ができると確信するまで行動しようとしない)が、女性を一歩踏み出して行動することから遠ざけていると分析しています。

 *

育休中、子どもと毎日過ごしていると、バリバリ働いて本や雑誌の編集をしている自分のイメージはどんどん遠のいていきます。

「ママにも社会参加を」と、出産を機に退職したママが週に数時間程度働ける機会を用意している団体の活動について話を聞いたことがあります。確かに子どもと毎日一緒に過ごしていると、始めるならそのくらいから…という気分になってきます。

そう考えると、出産を機に仕事を離れた(離職した)女性が、フルタイムでまた就職して働こう!と考えるのは精神的なハードルはかなり高い。

私の場合は、仕事に戻るのは前提で育休に入っていました。しかし復職後、どれだけパフォーマンスが出せるのは未知数でした。

実際には、復職して次の産休に入るまでの9カ月間で、5冊の本を出し、プラスアルファ数冊分の仕込みはできたのですが、それはあくまで結果です。これを事前に「自分は◯冊作れます!」とプレゼンして取りかかれるかと言われれば、「そんなこと確約できないから、無理!言わないでおこう。やらないでおこう」と思ったでしょう。

 *

つまり言いたいのは、やらざるを得ない状況になれば、自信がなくてもできるということです。しかし、そういう環境が皆あるわけではありません。自分で自信を持って「できます」と言えれば突破できるのですが、そういう環境があるかどうかに左右されてしまっているのかもしれません。

この本の原題は「THE CONFIDENTIAL CODE The Science and art of self-assurance — What woman shold know」(自信の解読〜女性が知っておくべき、自己肯定感の科学と技術)。

本の構成はこの原題の通りで、著者の2人が科学的なリサーチから自信を持つとは何か、自信とはそもそも何かを明らかにし、自信を持つための方法(それがタイトルのArt=技術です)を解説します。

つかみどころのない「自信」というテーマにあきらめずに食らいつき、壁にぶつかりながらもついに解き明かしていくプロセス自体がドキュメントとして面白く、最後まで読み進めさせる力があります。

「自信がないことが馬鹿らしくなる」のほかに、もう一つこの本を読んで「やめよう」と思ったことがあります。

それは、「できない男性を女子会で批判すること」。有職女子の集まりであるあるですよね?私も20代から30代にかけてよくやりました^^

現場レベルだと、女性の方が段取り力もあるし、気配り力もある(と思う)ので、男性がポカしてトラブルなど起こすと、もう、批判の的で(笑)。その感覚は今でもわかるし、しゃべり倒せば溜飲は下がるんですけど、それ以上の意味はあまりないかも・・・と。

それより自分の次の行動の準備をしたり、自分の成果を正当に主張する方に時間と労力を使う方が生産的だなと感じました。

がんばりすぎる優秀な女子の皆さん。できない男性の批判は一休みして、自分のために行動しましょうね。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?