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Pixivで開催中(?)の"第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト"とやらに参加しました。
作品丸ごとの貼り付け、転載はダメらしいので下のURLからご覧いただけますと幸いです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20002025
『壊れつちまつた卵焼き器に』
それは、今日の昼過ぎの出来事だった。
一週間の折り返しを過ぎ、週初めに仕込んでおいた昼夜兼用の作り置きが底を尽きる頃。昼食のおかずに卵二つ分の卵焼きを焼いて食卓へ運ぶ寸前、先に片付けてしまおうと卵焼き器を洗い始めた瞬間、卵焼き器の本体と取っ手とを繋ぐ境目がひしゃげ、取っ手と本体に分かれてしまった。
以前から、卵焼き器を持って左右に軽く振ると、カラカラと何かが外れている音がしていた。卵焼き器を
常設展「夢路をたどる」開催にあたって 蛯子睦月インタビュー
※ 新設ギャラリーならびに、常設展のプロモーションを含みます。
きっかけは、思いがけないお誘い──普段の活動拠点は主に京都で、職場も京都、ご出身の高校も大学も京都と、大阪とは接点が少ないように思えますが、今回の常設展に至った経緯を教えてください。
蛯子睦月(以下、蛯子) 常設展に至った経緯は、ギャラリーのオーナー様が父の仕事仲間で、「ギャラリーの開店にあたって、作品を展示しませんか」とお声掛け
アゲハ・フィズ 第1話(1話完結 おまけ付き)
どこで入手したか全く覚えていない画像を前に、ボクは頭を抱えていた。どこにでもありそうな教室で、教卓を挟んで二人の女性が対峙している。見事な金髪と白衣が目を惹く女性は、科学部の顧問である美羽先生に見える。もう一方の黒髪の女の子は記憶にない。
美羽先生らしき人物は何故か傷だらけで、顔面蒼白で拳銃に弾を込めている。それを煽るような表情で眺めている制服姿の女子は、コウモリのような羽がついたリュックサッ
アゲハ・フィズ 人物設定
主人公、語り部玄野カズミ(クロノ カズミ)
科学部に所属する男子高校生。二年五組。どちらかと言うと理系。
部長ほどはプログラミングに長けていないが、発想、想像力は豊か。
一般教室より空調が効いている部室、パソコン室に入り浸りがち。
名前の由来は何となくタイムリープ系だったので、玄野とカオスの裂け目、カズム(=キャズム)から。ジャンプ系ってことで、GANTZに引っ張られすぎないようには気をつけた。
アゲハ・フィズ 第1話(1話完結)
どこで入手したか全く覚えていない画像を前に、ボクは頭を抱えていた。どこにでもありそうな教室で、教卓を挟んで二人の女性が対峙している。見事な金髪と白衣が目を惹く女性は、科学部の顧問である美羽先生に見える。もう一方の黒髪の女の子は記憶にない。
美羽先生らしき人物は何故か傷だらけで、顔面蒼白で拳銃に弾を込めている。それを煽るような表情で眺めている制服姿の女子は、コウモリのような羽がついたリュックサッ
Pixivで開催中(?)の"第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト"とやらに参加しました。
作品丸ごとの貼り付け、転載はダメらしいので下のURLからご覧いただけますと幸いです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20002025
ポイント・ボトルメール
弱い太陽の光を増幅するように、無数に折り重なったガラス瓶は乱反射を繰り返す。南太平洋の沖合と聞くと何故か常夏をイメージしてしまうが、南極もそれほど遠くないココは、かすかに肌寒い。
水着に一枚羽織る程度なら震えていてもおかしくなさそうだが、足元のガラス瓶が太陽光や熱を引き留めてくれているらしい。
「心を込めて書いた文章を踏みつけているのに、オレたちを温めてくれるなんてな」
オレたちより一足先へ
無軌道無計画な「テン・仮面ライター」
勢いだけで開業して、初年度から余計な固定費が掛かるコワーキングを事務所と定め、若さ以外何も無い状態で走り出したのが丁度10年前の今日。そこから丸10年。10周年、「テン・仮面ライター」ですよ。
本来なら、資金なり利益なり、入念な準備と計画が必要なのに、「事業計画を出すのがめんどい」で審査の規定にそれが含まれてなかったグランフロント大阪、ナレッジキャピタルのコワーキング、「コラボオフィスnx」に入
奈落の擬死者たち(仮) 第十九話
ルリ子は、オレの目の前で忙しそうにしながら、時折こちらへ視線を向ける。自分の仕事で手一杯だろうに、ご苦労なことだ。そんなオレは、ルリ子から視線を向けられるたびに、腹が立った。そんなに何度も気にかけられても、痛みも腫れも引くことはない。
彼女は手元の資料と台の上に横たわる、首から上がなくなった守住の遺体を確かめながら、横目でオレに「どう? ちょっとはマシな顔になった?」と尋ねた。オレは彼女にもら
奈落の擬死者たち(仮) 第十八話
年末恒例のイルミネーションも終わり、クリスマスムード一色の神戸でマユミちゃんに連れ回されていると、船着場近くの大規模商業施設でお嬢ちゃんに呼び止められた。ここまで順調にマユミちゃんを口説いていたのに、肝心の情報まであと一歩というところで、彼女の心の扉は閉ざされてしまった。
オレと六花ちゃんがどれだけ言葉を尽くしても無駄なようで、「もう良いわ。帰る」と彼女は一人で最寄駅へ向かって歩いて行った。
寒暁のノクターナス(仮) 第十八話
欠勤の連絡を入れた後、半ば意識を失うように眠り続けた。隣の部屋に人がいるとは思えないぐらい静かな環境で、お昼過ぎぐらいまで一度も目を覚ますことなく、寝入ってしまった。
そのまま丸一日寝ていてもおかしくなかったのに、風邪が早く治るようにと余計に暖かくして寝たために、物凄い寝汗をかいた不快感で目が覚めた。寝過ぎで多少ボーッとするけど、熱っぽい感じは大分マシになった気がする。私は枕元へ置いた体温計を
LINKS(仮) 第十八話
高岩の目の前で、デモンストレーションのように基本的な動作を披露する。これなら、マスク有りの方が視線を気にしない分、気楽だったかもしれない。何かのオーディションか、試験を受けているような感覚で、疲労と緊張が折り重なる。午前中はもっと出来ていたような気がするのに、今はトロくて鈍い動きにしかならない。
もしこれが何らかの審査なら、受けた側も文句のない不合格だろう。厳しい言葉を突きつけられる覚悟で、恐
『シン・仮面ライダー』を見た雑感(多分ネタバレなし)
50周年記念作としても、庵野秀明作品としても、個人的には120点本作を一言で述べていいのかどうかもよく分からないのだけど、ネタバレ無しに評するなら、石ノ森作品×庵野秀明作品×仮面ライダー50年の歴史の傑物。庵野秀明作品として特異なところがあるとすれば、「仮面ライダーとはエンタメである」を忠実に踏襲して、サービス精神が他の作品より過剰、エンタメとしてやりたいことを盛り込みまくったのかな、というところ
もっとみる壊乱(仮) 第十八話
「踊り子の姉ちゃんも、もうそろそろ着替えて出て来る頃じゃないか?」
彼は薄暗い路地の奥へ顎をしゃくった。どうやら、そちらに店の裏口があるようだ。彼の視線誘導に釣られてそちらを見ていると、静かにドアが開けられて一人の女性が出てきた。彼女は辺りを伺いながら、こちらへ歩いてくる。
髭面の男はタバコを揉み消し、彼女が横を通りかかったタイミングで「ご苦労さん。今日も最高だったよ」と声を掛けた。話しかけら
壊乱(仮) 第十七話
宿内の浴場で湯浴みを終え、旅の疲れと汚れをすっかり落とした状態で、ロビーの脇にある食堂の一角で、ドルトンとネウロを待っていた。隣のアレンも、「どいつもこいつも、いつまで待たせるんだ。全く」と椅子の上で悪態をついていた。
「ネウロはともかく、風呂も入らず出て行ったアイツはいい加減、戻ってきても良い頃だろ?」
彼は同意を求めるように僕を見た。個人的には、「会議がある」と部屋から出てこないネウロやフ
LINKS(仮) 第十七話
その後、キャンパスを出るまで高岩と二人きりだったのに、彼は結局最後まで何も言わなかった。駐輪場の前で別れるまで、彼は黙々と歩き続け、駐輪場の前で僕が「じゃあ」と声をかけると、小さく頷くだけで姿を消した。
本当は、根掘り葉掘り聞きたいことは山ほどあったけど、彼の方から切り出さない限りは追求しないでおく。僕は何も見なかったし、僕だけが知っていることなど何もない。次に顔を見合わせることがあっても、そ