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ノルヒト

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クルマに熱意がない方へ。とりあえず乗ってみたヒト。
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クラウン(スポーツ)SPORT Z ディーラー試乗

クラウン(スポーツ)SPORT Z ディーラー試乗

クールな謹賀新年

元日から大惨事があったものの、恒例の箱根駅伝は今年も予定通り開催された。
長時間の中継のあいだ、頻繁にクラウンシリーズのCMが挟み込まれていたのをぼんやりした頭で覚えいている。
演歌や仁丹臭さを徹底的にデオドラントしたクールでシャープな絵作りは、新年の弛緩した家庭にびっくり水のような効果をもたらしていた。

そういえばクラウンシリーズが発表されてからはや半年、一度も乗ってないと

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トヨタ ヤリス クロスHYBRID X 1.5L

トヨタ ヤリス クロスHYBRID X 1.5L

自分のクルマが点検でディーラーに入っている、となればカーシェアを楽しむしかない。
というわけで、ちょうどコロナ禍前後に発売したこともあってなかなかディーラーに足を運ぶことができず、結果として今まで乗ろうとして乗り逃していたヤリスクロスを選んでみた。
クロスオーバーを名乗っているだけあって、黒いボディは案外堂々としている。
初代RAV4と同じくらいだろうと思って後から調べてみたら、こちらの方が長さ・

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フィアット 500e Pop(2022年モデル) 1/3

フィアット 500e Pop(2022年モデル) 1/3

「おれ最近、社用車にゴヒャクイーを導入したんだよ」
輸入車ディーラーを経営している友人が今年のはじめに会ったときそんな話をしていたのである。
え、マジで? ポルシェのヴァイザッハ研究所が手がけたメルセデスの? すげー。
このご時世に景気のいい話、高校の時からずいぶん出世したもんだなあ、と感慨深げに眺めたのであった。

よくよく話を聞いてみるとフィアットのほう。デンキの”500e”であるという。

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プジョー308SW アリュールBlueHDi(FF/8AT)

プジョー308SW アリュールBlueHDi(FF/8AT)

「じっくり」の機会

現在乗っている旧型モデルから正常進化した同じエンジン・ほぼ同じ足回りと仕様を有する新型とをじっくり乗り比べる機会はシロートの我々には意外と少ない。
ここで大事なのは「じっくり」ということ。
試乗の数分間ではなく日数をかけて、最低でも1泊2日以上乗れることが肝心だ。
交際を始めてから最初のお泊まり旅行で相手の綻びが見えることがあるじゃないですか。あのクルマ版。
「あの」と言うほ

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トヨタ ヴォクシー S-G(8人乗り)

トヨタ ヴォクシー S-G(8人乗り)

思わぬイップス

自意識過剰かもしれないけれど、最近ディーラー試乗がやりづらい。
特にコロナ禍になってからというもの、どうしても気持ちが萎えてしまうのだ。

クルマに対する情熱が冷めたわけではない。
厳しい社会状況のなか、ペーパードライバーを装った購入検討者でもない一般人(おれのことです)にわざわざ時間を割いてまで相手をしていただいているこの状況。
これって営業さんにとってはムダ以外のなにものでも

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MAZDA CX-60 XD-HYBRID Exclusive Sports

MAZDA CX-60 XD-HYBRID Exclusive Sports

黒歴史を彷彿とさせるモデル名マツダ クロノス、オートザム クレフ、アンフィニ MS-6、アンフィニ MS-8……。
かつて90年代にマツダがブランドイメージの向上とシェア拡大を狙った伝説の「5チャンネル戦略」時代に登場したクルマたちだ。
どのクルマがどのカタチだったかあまりにもわからないので、定期的にボケ防止として自問するようにしている。

なぜこんなことをのっけから書いたかといえば、昨今、マツダ

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プジョー308 GT BlueHDi(FF/8AT)

プジョー308 GT BlueHDi(FF/8AT)

偉大なるフツーからの脱却思えば先代モデルの現役期間は長かった。実に9年。
登場したときはあまりにも退屈なデザインゆえ、早くモデルチェンジしてくれないものかと心から祈っていた日々を思い出す。
ちょうど、少年時代に見ていた刑事ドラマで新任刑事が気に入らず「早く殉職してくれねえかな」と不謹慎ながらじりじりしながら毎週見ていたときの気持ちと同じ。
そのくらいガッカリが大きかったのだ。

しかしどういうわけ

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【短評】ホンダ ステップワゴン e:HEV SPADA

【短評】ホンダ ステップワゴン e:HEV SPADA

外観

チマチマと余計なボディラインを足さなくなったホンダのデザイン、好感が持てる。
デザインディレクターをクビにしたんだろうな。よかったよかった。
堂々としたハコ具合、わかりやすくシンプルで良い。先代のワクワクゲート、あれ、結構いいアイデアだと思ったのにな。予想通り引き継がれなかったのは残念。
このテのクルマを選ぶヒトに飛び道具はいらないということか。
にしても長大なボディサイズは圧巻。ノア・ヴ

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シトロエンC4 SHINE BlueHDi

シトロエンC4 SHINE BlueHDi

新しいシトロエンC4。
この3連休に展示されるということで行ってまいりました代官山。先代の万年課長みたいな地味で冴えないアピアランスから大きく舵を切ってクーペSUVに大変身。立体駐車場に入る高さもうれしい。

プレス発表の写真を見たときはだいぶ戸惑いを感じたものだけれど、実物は昨今の基準からすればコンパクトで腰高な印象は皆無。いかにもシトロエン流の存在感でどのクルマにも似ていないカタチはさすがとし

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スバルBRZ S(6MT)

スバルBRZ S(6MT)

しっくりこない2,400という排気量

クルマの排気量にはマジックナンバーの一種とでもいうのだろうか、その数字の並びを見ているだけでグッとくるパターンがある気がするのだ。

スターレットの1,300、テンロクの呼称が眩しい1,600、アルファロメオの1,750、数え切れないほどの名車が揃う2,000……。魂がグラグラと熱くなる気がするじゃないか。

それに比べてニセンヨンヒャクの貧弱な響きはどうだ

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ホンダヴェゼルe:HEV Z



7年ぶりのモデルチェンジを迎えたホンダヴェゼル。写真で見ていた印象よりコンパクトだ。ボディ同色のフロントグリルも悪くない。
シロウト目にはフロントの重厚感と、リアのクーペ的な軽快感がチグハグに見え、その点はホンダ特有のデザインの迷いが浮き彫りになった印象だ。
ただ目眩で気が遠くなるくらい酷かったデザイン(ホンダ車全体の宿痾)がやっとここまでマトモになったのは賞賛に値する。

インテリアは天地が

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Honda e Advance

Honda e Advance

垣間見たホンダの本気度待ちに待ったホンダ肝煎りの電気自動車発売。
思えば数年前の東京モーターショーのプレスデー。まだモックアップ状態だったコイツのシートに座り「ああ、やけに硬いなぁ」などと呟いて写真を撮影していたら、広報の人に「世界に一台しかないモックアップなので座らないでくださいッ」とやんわりたしなめられて以来の付き合いだ。

自動車デザインのなか、というより全ての工業デザインの中でも個人的ラン

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スズキ ハスラーHYBRID Xターボ

スズキ ハスラーHYBRID Xターボ

感傷は一瞬だけ初代の登場は2014年だという。
もう6年も経過していたことに素直な驚きしか感じない。

佐村河内氏がゴーストライターの存在を明かし、笑っていいともが終了、ベイマックスが上映されたのが2014年、と書くとえらい昔のような気がする。

けれどもハスラーの時間軸で言えば、さまざまなカスタマイズパーツが発売され、驚くほどのスピードであざやかなボディカラーを引っさげ街中に繁殖したのに

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カローラセダン HYBRID WxB

カローラセダン HYBRID WxB

諦めの代表格誤解を恐れずに言えば、クルマを持つこと、クルマでモテることがステイタスだと信じて疑わない世代にとって、カローラはいちばん「ナイ」モデルである。

将棋で言えば“歩”だし、ドラクエのアイテムならば“ぬののふく”相当だろう。

退屈、消去法、事なかれ主義、無思想、あきらめ…だいたいそんなイメージがニッポンを代表するトヨタの大看板には染み付いている。

ためしに、ある程度年齢を経た人にカロー

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