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駅地下の人生

現役時代、会社の昼休みに、よく東京駅の地下商店街に行った。

ラーメン激戦区で、ラーメンを食うためだ。(当然、コロナの前だ)

同じ地下に、プリキュアショップのようなキャラクターショップが複数あり、子供たちが親に連れられてよく来ていた。

子供たちにとって、楽園のような場所だと思うが、楽しそうな顔をしている子供はめったに見ない。

駄々をこねたり、泣き出しそうになっている子もいた。

なぜなら、ほしい物が目の前にたくさんあるのに、ほとんどは自分の手に入らないからだ。

「これが人生というものだな」

そう思って私はラーメン店に入る。


食い終わって、またキャラクターショップの前を通ると、親に買ってもらったグッズを抱きしめるようにしている子供を見る。

決して嬉しそうではない。

「少なくともこれだけは手に入れたから、これで自分は満足しなければならない」

そういう表情で、未練そうに去っていく。

「これが我々の人生というものだな」

そう思って私は会社に戻る。




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