愉快な愉快な安倍晋三 朝日・毎日へのツイート攻撃
人によってはGWに入っただろうが、天候不順にウクライナ情勢、そして知床観光船事故と、何となく気が晴れない人が多いはず。私もそうだ。
そんな中、絶好調なのが安倍晋三氏である。
昨日、産経・阿比留記者の朝日新聞批判のツイートに、こうリツイートした。
安倍氏は2カ月前にも、毎日新聞記事をめぐる原英史氏と森ゆうこ議員の訴訟に関して、以下のようにツイートした。
安倍氏のような首相を務めた大物政治家が、メディアの名を明示し、ここまで厳しい表現を使うのは、あまり記憶にない。ニュースになってもいいくらいだと思う。
これ以外でも、ウクライナ情勢にさいした核シェアリング発言など、安倍氏の積極的発言がこのところ目立つ。
現役の岸田首相の発言なんかより、安倍氏の発言のほうが気になってしまう。
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こうしたメディア、特に新聞への敵対的姿勢から、安倍氏の大叔父にあたる佐藤栄作を思い出す人もいるだろう。
1972年、7年余首相を務めた佐藤栄作は、退陣記者会見で、以下のように発言した。
私は小学生の時、これをテレビで見ていた。
物心ついて以来、総理大臣といえば佐藤栄作だった。
子供心にも抜群の安定感に思えたのだが、それまでのイメージとまったく違う佐藤の態度に驚いた。
私の頭の中に疑問符を残したまま、佐藤は退場し、田中角栄の時代になる。
その後、佐藤栄作は沖縄返還でノーベル平和賞をとる。今にいたるまで日本人で唯一の平和賞受賞者だが、メディアと国民の反応がいまいちだったのは、この退陣会見での印象が尾を引いていたと思う。
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安倍氏の祖父、佐藤栄作の兄である岸信介は、メディアにあれほど叩かれたが、ほとんど反論しなかったと思う。
その岸を傍らで見ていた佐藤、また、その岸の孫としてイジられ続けた安倍氏のほうが、メディアへの不満を募らせていたのかもしれない。
実際、私の中で安倍晋三氏は、岸信介や安倍晋太郎より、佐藤栄作とイメージが重なる。長期政権を築いたという点でも。
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メディアは、安倍氏の敵ばかりではない。
産経の阿比留記者や、朝日を追い出されたような形になった峯村氏ら、「安倍派」も表に出はじめた。
そして、「世界」の何倍も売れる「will」や「Hanada」といった安倍氏応援媒体がある。
安倍氏をめぐり、メディアの「分断」も、かつてないほど鮮明になってきた。
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安倍晋三という政治家は、政治家とメディア、ひいては国民とメディアの関係をゆっくり変えようとしているのかもしれない。その点で、トランプを連想させる。
それでなくても、イーロン・マスクのtwitter買収を見ても感じるが、メディアは世界的な変革期にある。
安倍氏ひとりに日本のメディアを変える力があるとは思えないが、大きな地殻変動の中で、彼が何か特異で決定的な役割を果たす可能性はあると思う。
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なお、安倍氏個人の朝日への遺恨は、やはり2005年の「NHK番組改変報道」が原点だろう。
朝日は取材が不十分であったこと認めたが、安倍氏と中川昭一に謝罪しなかった。
私が記憶する限り、朝日が政治家に謝罪したのは、2012年の週刊朝日「ハシシタ」事件のときだけである。
橋下徹氏は、朝日に謝罪させた唯一の政治家かもしれない。政治家をやめた後も、橋下がメディアに対して力があるのは、この件があるからではないか。(橋下氏は、この件で朝日の尻馬に乗った文春・新潮にも事実上勝訴している)
安倍氏から見れば、朝日は橋下には謝ったのに、なんで俺には・・という思いがあるのかも、と考えたりする。
<追記>
昨日の安倍氏のツイートをデイリーが記事にしていた。これを公開した後に知りました。朝日の珊瑚事件を知らない世代も増えているだろうから、そのつど解説する必要はあるかもしれない。
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