【Netflix】「アスンタ・バステラ事件」重厚な演技と奥深い謎(ネタバレなし)
<概要>
アスンタ・バステラ事件
2024 | 年齢制限:16+ | 1シーズン |ヒューマンドラマ
12歳の少女、アスンタが行方不明になり、彼女の両親は警察に捜索を願い出る。捜査に乗り出した警察はやがて、娘の帰りを待つふたりに疑いの目を向け始める。実際に起きた事件に基づく物語。
出演:カンデラ・ペーニャ、トリスタン・ウヨア、ハビエル・グティエレス
原作・制作:ラモン・カンポス、ジェマ・R・ネイラ、ジョン・デ・ラ・クエスタ、ダビド・オレア
<評価>
50分×6回のミニシリーズ。4月26日公開。
2013年にスペインで起こった事件をもとにしたスペイン産ドラマ。
実力派俳優たちの重厚な演技で、本国や北米で好評のようです。
ミステリーではなく、「ヒューマンドラマ」。人間の複雑怪奇な心理にじっくりと付き合いたい人向きです。
すっきりと「消化」できる内容ではありませんが、歯ごたえのある大人向きのドラマを探している、時間のある人に薦めたい。
名門出身の女性弁護士・ロザリオと、夫でフリージャーナリストのアルフォンゾ・バステラは、中国出身の女子「アスンタ」を養子にする。
アスンタは利発な、いわゆる「ギフテッド」で、飛び級で進級し、ロザリオとアルフォンゾにも愛されているように見えた。
しかしアスンタは2013年、路上で死体で発見される。まだ12歳のアスンタは、何者かの手で窒息させられていた。
警察は、証言に矛盾があるロザリオとアルフォンゾを逮捕する。
経済的にも恵まれたインテリ一家で、何が起こったのか。この事件は大衆の想像力を掻き立て、スペイン国内で大ニュースになった。
だが、ロザリオとアルフォンゾは無罪を主張する。警察は、二人が何かを隠していることを確信しながらも、なかなか動機がつかめない・・
ゆっくりとしたペースで、事件と人物を丁寧に描き出すこのドラマは、昨今の日本や韓流ドラマのハイペースに展開するドラマの対極にある。
だが、役者たちの名演と、謎の深さに引き込まれてしまいました。
ちなみに、スペインの司法制度が日本とかなり違うので、戸惑いました。たぶんこのドラマを見るほとんどの日本人は「あれ?」と思うと思う。
スペインでは、「裁判官」(予審判事)が捜査を指揮する。このドラマでもそうです。スペインは、そういう司法制度らしい。
ネットに、以下のような情報がありました。
スペインの制度で分かりにくいのはアメリカの制度を参考にした日本が「当事者主義」を取っていて、検察官と被告人側の攻防を裁判所が客観的な立場から裁定するのに対し、スペインは「職権主義」で、捜査・裁判とも手続きが裁判所中心になっている点ですね。
警察による捜査の後に行われる予審手続ではExamining Magistrate(予審判事)が捜査の責任を負い、judicial police(司法警察)が予審判事の捜査を補助するそうです。
検察官もいますが、その役割は予審判事の捜査において被疑者の権利が守られているか、そして被害者の権利が守られているかを確保することだそうですね。
要は検察官が予審判事の活動を監視するような仕組みですね。
予審判事による捜査が終結したら検察官が(起訴ではなく)告訴を行うようですね。
(鈴木小太郎)
そして、このドラマで予審判事を演じるハビエル・グティエレスの演技が、非常に素晴らしいのです。
でも、警察のボスが「判事」というのは、日本人の感覚だと、司法と行政が分離していないようで、奇異に見えますね。
ところで、わたしは最近、Netflixで2本のドキュメンタリー「ジェニファーのしたこと」「ラバー、ストーカー、キラー」を見ました。
それらと、このドラマには共通点がある。
それは「愛」というもの。
「愛」による人間関係への執着が、「犯罪」を起こすということです。
それ以上は、ネタバレになるから言えません。
<参考>
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