見出し画像

男の性被害

ジャニーズ問題があって、

「自分も男から性被害を受けた」

という男の告発が、ジャニーズ以外でも現れているようだ。

たとえば、タイ・英会話情報のYouTube「しくじりチャンネル」のチャンネル主が、高校生時代、外国人の男性英語教師から襲われた過去を告白していた。


性被害を受けた私のヤバすぎる過去。ジャニーズの悲劇は私の悲劇です。40年以上誰にも話せなかった性癖を告白します(しくじりチャンネル9月13日)


これまで隠していたことを、「私もやられた」と手を上げる。

これは、2017年から18年にかけての、me too運動を思い出させる。


一方では、性被害を訴える人たちに、

「売名じゃないか」

「カネ目当てじゃないか」

「売れなかった恨みじゃないか」

といった「罵声」も飛んでいる。


そう疑う気持ちもわかる。

私も、me too運動のとき、ちょっとそんな感想をもったから。



ところで、私は男だが、私も性被害を受けている。

これは、前にも書いたと思う。電車の中で、痴漢にあった。男に、尻を触られたのだ。

私はもう大人だったから、しくじりチャンネルの主や、ジャニーズ事務所の子供たちのようなトラウマにはならなかった。

一時期は、自慢にしていたほどだ。


しかし、そのとき感じたのは、

「被害にあったとき、声を出せないものだなあ」

ということだ。

ただただびっくりして、体がかたまる感じだ。


私は電車の中で、女を襲う痴漢を2回くらい防いだことがある。

警察に突き出すまではしなかったが、痴漢をやめさせた。

そのときは、

「なぜ女自身が声を出さないのだろう。騒がないのだろう」

と思った。


しかし、自分が痴漢されてみると、意外に声を出せないことがわかった。

そして、トラウマにならなかったとは言っても、きわめて不快な、記憶のなかの異物として、その感触が残り続ける。



男に痴漢された男、性被害を受けた男は、非常に多いはずだ。

だが、受けていない男のほうが多数派で、経験がなければ、その感触を理解できないかもしれない。

経験の有無による感覚の差は、女の場合より大きいのではないか。


世の中全体でも、マスコミの中でも、理解できる者と理解できない者の大きな差が、想像以上に存在するようだ。

その差は、男の中で、とりわけ大きい気がする。

男の中では、女にたいする性加害者も存在する。厳密にいうなら、私もその中に入るかもしれない。これまで生きてきて、セクハラ的なことを一切したことがない、という自信がある男がどれだけいるだろうか。

そして、その中に、男にたいして性加害者であった者もいる。

加害者であるか、被害者であるか。

その対象が同性であるか異性であるか。

非常にさまざまな属性が存在し、ジャニーズ問題を受けて、それが乱反射している感じがする。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?