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現役農家が教える「これは知ってほしい!移住して農家になる心構え」

「移住して新たな人生をスタートさせたい」
「都会の生活はもう疲れた、、、田舎にいきたい」
「自然にふれた生活をしたい」
「心機一転!農業をやってみたい」

移住や農業への関心がある方はたくさんいるのではないでしょうか?

そんな思いをもっているみなさまへ、移住や新規就農に関するお話しを現役農家である酒井さんご夫婦からうかがおうと思い、インタビューをさせていただいたのですが、移住も新規就農者もただ促進すれば良いというものではないことがわかりました。

現実味たっぷりの、現役農家さんならではの「リアルな移住・新規就農」を教えてもらいました。

これから少しでも移住や新規就農を検討している方には120%役に立つお話です。


移住には準備が必要

移住したいと思うきっかけは様々かと思います。
一人で移住する?夫婦で?子どもも一緒に?

移住するということは、今の生活がガラッと変わるということ。
そのためにはそれ相応の準備が必要です。

まずはお金、そして住む場所、仕事。
さらに必要になってくるのが、現地でのネットワークです。
計画と準備がとーーーっても大切なんです。

田舎にいけば行くほど、新しく引っ越してくる人はなかなか受け入れがたいものです。
実際、移住したものの町内や村にうまく馴染めなかったという声も聞きます。

移住して農業やりたいんですってさ、
どこの馬の骨かわからない人が来ても、家も畑も誰も貸してくれないね。
田舎ってそういうところだからさ、相手にしてもらえないんだよ。

酒井さんご夫婦へのインタビューより

ですよねぇ、、、

そのため、まずは自分と希望する移住先の架け橋になってくれるような、頼れる人を見つけることが肝心です。
これもなかなかハードルが高いですが、自治体が行っている移住・定住促進イベントに参加したり、職探しの段階で積極的に現地の方とコミュニケーションをとることが大切になってきます。

新たな地へ飛び込むわけですから、将来の生活を見据えた準備が必要なのです。

今の農家のリアル

農業の課題として頻繫に取り上げられるのは、高齢化による農家の減少です。
これによりどのような問題が発生するかというと、使い道のない畑の増加、畑周辺の道路整備不足(農家は畑だけではなく、それを取り囲む道路の管理も行っているそう)による生活環境の悪化です。

農業人口が減っちゃって、土地が空いちゃうことが、結局、自分たちも後々困るから農家をやってほしいなっていう気持ちがあるんだよね。

酒井さんご夫婦へのインタビューより

また、農家は経営していくために多くのお金が必要です。
一番お金がかかるのが、農機具だといいます。
周辺農家と農機具の貸し借りができればいいのですが、みんな使う時期は一緒なので、自分たちで所有するしかないそう。

さらに、個人農家は野菜を作り、収穫し、それを洗い、袋詰めし、流通にのせ、販売して、、、といったように” 経営 ”しないといけません。
農家のイメージとして、おじいちゃんやおばあちゃんがのんびりやっていることが想像されますが、彼らは超エリートなんです!
100m以上の距離を中腰の姿勢で歩いて種の植え付けを行ったり、雑草をとったり、、、
暑い夏も寒い冬も外で農作業をし、育てた野菜の商品化までを行います。
農家は力仕事だし、頭も使います。

お金もかかるし、人とも自然ともコミュニケーションをとることが求められます。

「お化け屋敷」を楽しむために

ここまで読んでいただくと
「移住も農家もめっちゃ大変じゃん、、、」
としか思えませんよね。

でも酒井さんご夫婦は「移住も農家もやめとけ!」と言ってるわけじゃないんです。

本当は移住のワクワクをつぶしたくない。
でも現実はこうだというのは知っておいてほしい。
心構えとしてね。

酒井さんご夫婦へのインタビューより

移住することも、新規就農することも「お化け屋敷」だと言います。
お化け屋敷は何もしないで入ったら怖いですが、中に何が待っているのかがわかって入れば怖くない。
むしろどんな問題があるのかをわかっていると、移住も新規就農も楽しめる!

なので酒井さんは、仲間の農家さんと一緒に新規就農希望者に対して、「心構え講座」を行っています。
現役農家さんが新規就農にあたって「これはやっとけ!これはやっちゃだめ!」という、教科書には書いていないお話をしてくださいます。

講座は二ヶ月に一度ほど、無償でやっています。
あまりに有益な情報を発信してくれているため、ある地域の農業事務所が勉強しにきたんだとか。

移住がラストじゃないんで、経営していくことが必要なんで。
なので農業の技術とか、その経営能力とか、
新規就農がやりがちなミスを共有し、
「お化け屋敷」を楽しめるようにしてるんです。

酒井さんご夫婦へのインタビューより


のびのび人間らしく子育てできる

そろそろ移住や新規就農の楽しい部分、知りたいですよね。

実は酒井さんご夫婦は奥さまの実家が「さかいのうえん」を営んでおり、旦那さまは結婚をきっかけに地元の島根から千葉へ来たんだとか。
旦那さまの実家も元々農家だったので、ご夫婦とも幼いころから農業に触れていました。

そのため「農家のいいところは?」と聞かれてもなんと答えていいかわからないというのが正直な気持ちだそう。
一緒に講座をやっている方は家族で移住し、新規就農になっており、農業大好きみたいです。
農業や農家の魅力は、また別の記事でお話ししますね。

酒井さんご夫婦は、お子さんがのびのび育ってくれていることが、なによりの幸せだと言います。
自然豊かな場所だからこそ、子どもらしく、人間らしくなってくれていると実感しているそうです。
都心部だと、遊ぶために公園を探したり、電車や車に乗って自然を求めて移動しなければなりませんが、
田舎だと、もう起きたら自然なので、遊ぶ場所や自然と触れ合える場所には困りません。

余談ですが、酒井さんご夫婦のお子さんを見て、私ももし将来子どもを授かったら都会じゃなくて、自然豊かなところで育てたいなぁと思いました。
子どもは自分が育つ場所を選べませんから、親から与えてあげないといけないですよね。

最後に

いかがでしたか?

この記事をどのように書こうか、正直悩みました。
ただ活字にすれば「移住も新規就農もやめておけ」というメッセージになりかねないと思ったからです。

でも、これが現実。
でも、これを知っていたら移住も新規就農も怖くない!

移住も新規就農も難しいからこそ、難しいことをよく理解して、実現するために「何ができるか」を考えることが大切です。
この記事を読んで、自分がやるべきことや移住・新規就農に対するパッションを再確認するきっかけになればうれしいです。



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