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パレスチナが舞台の児童書~ぼくたちの砦~#読書感想note

note読者に子どもが含まれる、あるいはお子さんに伝わることを願って、ある児童書を紹介したいと思います。

パレスチナの話を描いた本は学術書かルポルタージュが多く、小説となると大人向けのものしかありません。でも先日、大阪市立阿倍野図書館でこの本と出会いました。

読み始めると、本当に懐かしいくらい普通の児童書で、文体や喚起させる情景や主人公の心情表現が、「パレスチナ」という児童書にあまり登場しない舞台をすんなりと読み手に受け入れさせてくれます。読書好きな子どもなら、ここに出てくる「ぼくたち」に感情移入して一気に読んでしまうことでしょう。それでいて、作者のレアードさんが事実に忠実であろうとしたように、「パレスチナ」という遠い場所で起きている現実を、ぼくたちの日常を通して伝えています。

難しい話ではありません。主人公は学校に行くのが嫌だったり、お兄ちゃんは近所の女の子にメロメロだったり、弟のゲームを勝手に売って兄弟げんかが勃発したり、ぼくたちが秘密基地を作ったり。

内容は大人でも楽しめます。お父さんやお母さん、叔父さんの気持ちが分かって、お子さんとは全く違った読書体験になるかもしれませんね。

私の場合は、大人になりきれていないのでぼくたち側につく面もありましたが(「夕方になってもまだ遊んでいたい!」など)、叔父さんやお父さんのセリフに考えさせられる面もありました。皆さんはどうでしょうか。

架け箸はこれからも継続的にパレスチナを訪れ、日本に出回らない生の情報を発信したいと思っています。いただいたサポートは渡航費用や現地経費に当てさせていただきます。