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森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』を読んで
この小説は恋愛ファンタジーなのに全く恋愛をしていない。そう思えるようなほど「先輩」は外堀を埋めるとこに身をやつし、「黒髪の乙女」は自分のペースで生きている。しかしこの物語は恋愛ファンタジーなのである。
彼と彼女の物語は交わらないようで交わっている。例えば彼女が飲み屋で出会った、樋口さんと羽貫さんと木屋町か先斗町に向かって歩いていると脱ぎ捨てられズボンを発見する。このズボンを何を思ったか羽貫さん
小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』を読んで
『猫を抱いて象と泳ぐ』のあらすじは、「大きくなることは悲劇である」を箴言を胸に11歳の身体で成長を止めた少年、リトル・アリョーヒンはカラクリ人形を操りチェスを指す。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」として奇跡のような棋譜を生み出す。と言うようなものだ。
本作の登場人物は、「仕方のないことへの諦め」みたいなものを各々持っている。例えば、リトル・アリョーヒンのチェスの師匠の
武田綾乃『愛されなくても別に』を読んで
『愛されなくても別に』は、『響け!ユーフォニアム』シリーズの著者である武田綾乃先生の作品だ。筆者は同シリーズのファンでそこをきっかけにこの作品を知った。本書は、学費と生活費のためにアルバイトで月20万円稼ぐ主人公、宮田陽彩が、父親が殺人犯と噂される江永雅と出会ったことで始まる。
2人の関係性は黄前久美子と田中あすかに似ていると感じた。シスターフッドとという言葉を知らず例えるならこの2人が1番当