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【公認会計士】IPOセミナー参加レポート 〜野村證券・スシロー〜

2/19に開催された「IPO関連業務で活躍する公認会計士に対する役割・期待」という日本公認会計士協会東京会主催のセミナーに参加しました。

本稿はそのレポートです。

主な内容
・最近のIPO を取り巻く環境について
・IPO 関連業務における公認会計士の活躍可能性について
・IPO 関連業務における公認会計士が留意すべき点について
・東証一部市場への大型IPO プロジェクトをCFO として成功に導いた経験談
講師
倉本 敬治様 (野村證券株式会社 公開引受部長)
清水 敬太様 (株式会社スシローグローバルホールディングス 上席執行役員、公認会計士)

前半パート(倉本様)

2020年のIPO社数(例年並に多い)、オファリング規模(小ぶり)、コロナ禍の影響(上場承認後の中止が多数発生)、赤字上場が引き続き多いなど、ご説明がありました。この辺りはよく報道されていたとおりの内容です。

次に、IPO関係のお仕事で公認会計士が活躍する分野のご説明がありました。この辺は、基本的に私が記事にしたものと同様なので、こちら↓も併せてご参照ください。

そして、監査難民の話です。監査厳格化の流れの中で大手監査法人はIPO監査の受嘱を減らしている一方、準大手は逆に増えていて、IPO監査の新規契約の総数は増加傾向にある…それでも足りないという声がある。単純に監査の受け皿を増やせばいいの?という問題提起をされていました。

上場準備よりも前の段階で、本格的な監査を受けられるレベルにしてあげるアドバイザリーの公認会計士が増えるとよい→独立会計士の活躍が期待されるとのことでした。

質疑応答
 CFOの資質について、スキル的には監査法人出身の公認会計士や投資銀行出身が多いと思われるが、そういうところよりは、社長に対してきちんと意見できる人がよいとのこと。個人的にもそう思います。
 また、公認会計士への就任要請の多い社外役員ついて、何社の掛け持ちなら審査上OKなのかという問いに対して、ケースバイケースだが、質問にある10社はないんじゃない?というニュアンスのご回答でした。私見を補足すると、取締役会に物理的に出席できるから良いという問題ではないので、そう思います。入念な事前準備が必要ですし、メインが自分の会計事務所ならなおのことですね。
 また、東京プロマーケットに関して、野村證券では取り扱ってないのかといった趣旨の質問にはNOとのこと。個人的に補足すると、証券会社のIPOのメイン収入は公開価格-引受価格(=公開価格の数%)→億単位の売上なのに対して、オファリングのない東京プロマーケットのアドバイザリーフィー(年間で数百万円)ではリソースの無駄遣いになってしまうので、まあ普通はやらないでしょう。ここは、時間単価ベースの監査法人と感覚にズレがありますね。

後半パート(清水様)

トーマツ出身の方で、スシローの前に戦略コンサルのキャリアを挟んでおられます。CFOとして、同社の再上場のプロジェクトをリードした立場からのご説明でした。

同社の上場審査のポイント
①再上場案件
→非上場化してからの成長性や再上場の意義をしっかり訴求
②予算/計画の正確性
→成長性は保ちつつ保守的に計画策定してクリア
③労務問題
→当時は外食≒ブラックの見方あり

この辺りは割と普遍的なので割愛します。

強調されていたのは、時価総額を高める投資家セールスですね。グローバルオファリング(旧臨報方式)なので、世界中にロードショーに行かれていたとのこと。国内人口減少+回転ずし何それ?といった海外投資家の先入観を覆すのにご苦労されたようです。ただ、ここは戦略コンサルの経験が活きたとのこと。

質疑応答
 たくさんありましたが、印象に残ったものだけ。
 CFOのスキルについて、会計が分かることも大事だが、ファイナンスの知見も必要。ただ、監査法人にいてもこれは身につかないので、勉強したり経験したりするしかないとのこと。これはそのとおりですね。私も監査法人に長いこといましたが、監査しかやっていないとファイナンスはさっぱりです。ファイナンス理論じゃなくて、実務のことですね。IPOのお仕事にどっぷり浸かるようななって色々勉強させていただきました。
 また、戦略コンサルのキャリアは事業会社でたくさん活かされているので良かったとのこと。一例は先述のとおりです。
 監査法人の在籍期間はどれくらいの長さが良いのかとの問いには、ケースバイケースだが、監査法人内の審査(力学)の勘所が掴めるところまではやった方が良いとのこと。補足すると最低限上場会社の主査くらいでしょうか。会社法単独とかギリギリした審査はなさそうですからね…。

おわりに

野村證券もスシローも人材として公認会計士が欲しいというお言葉がありました。両社に限らず、証券会社や事業会社では、まだまだ優秀なIPO人材を求めているということでしょう。監査法人勤務でご興味のある方はご検討下さい。

また、こういったセミナーは書き物にはない生の声が聞けるので面白いです。こまめに協会(東京会)のHPをチェックして、是非参加してみてください。


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