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ふんわり体幹の話

スポーツや競技指導、プレイヤーのなかで度々出てくる「体幹」という言葉。これって、なんとなく使われている言葉トップ3に入るのではないでしょうか。
「それは体幹が弱いから」「体幹をもっと鍛えないとダメ」
雰囲気だけがフンワリと…なんとなく分かるような分からないようなこの言葉は、とても抽象的な感じがします。

指導の大切な基本の一つとして、伝えたいことを正確に相手に理解してもらうこと。これが大前提になります。
このような言葉を発する側がなんとなくフワフワとした感覚で言葉を用いてしまうと、教わる側としてはとても困惑してしまいます。現に、なんとなくでバランス感覚、フォームのブレやグラつきに関わる部分で使っているトレーナーも少なくないように思います。

体幹とは、腕と脚、つまり四肢を切り取った胴体全体を指します。
インナーマッスルを指すような使われ方もしますが、大きな筋肉、アウターマッスルも含みます。
つまり、日本列島で例えるなら本州です。本州にだって地方がありますよね。体幹にも深層筋やスタビライザーのみならず、大胸筋、広背筋、臀筋、腹直筋、脊柱起立筋群…たくさんの筋肉があります。
体幹が弱いということを言葉のまま解釈するとしたら…=カラダが弱い、胴体が弱いということになります。
トレーナーの多くは腹筋背筋(脊柱起立筋)を指すことが多いようですが、片足立ちなどのバランス感が悪い場合も体幹が弱いと使われがちです。もはやどこをどう指しているのか混乱しますね…。

確かに、カラダの重心を置く場所が定まっていなかったり、腹筋が抜けているとバランスは取りにくくなることはあるでしょう。あるいは筋バランスの偏りによって中心線がズレてしまっている場合もあるでしょう。
筋バランスを整えてお腹に力を込め、中心線、重心の置き場所を掴むことで片足立ちなどのバランス感覚は良くなるでしょうが、体幹部…つまり胴体が強くなったからと関連づける理由にはならなそうです。

体幹トレーニングというのもにわかに注目を集めましたが、通常の自重を含むレジスタンストレーニングでは細かい筋肉や深層筋が全く関与しないわけではありませんし、体幹=腹筋背筋という意味でも、腹圧をかける際や姿勢維持に関して二次的に使われています。

体幹という言葉が一人歩きしている部分もありますが、この言葉の雰囲気に惑わされることなく、正しい認識と使い方、そして目標設定を心がけたいものですね。

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