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昆虫の視覚情報処理を真似ることで、高性能超小型ビデオカメラが作成可能に

今回は、昆虫の視覚情報処理の機構を模倣して、昆虫の目と同じくらい超小型のビデオカメラを作ることに成功した研究の英語解説動画をご紹介します。
視覚情報処理にはたくさんのエネルギーを消費しますが、虫たちは体も小さいため、視覚情報処理にあまりエネルギーを使うことができません。
そんな虫たちの効率的で省エネな視覚情報処理の機構を真似することで、超小型のビデオカメラを作り出すことが可能になっています。

視覚情報の処理にはたくさんのエネルギーを使う

私たちの視覚は、目の網膜にある視細胞という神経細胞が光を感知して電気信号へと変換し、その信号が脳へと伝達されて、視覚情報が脳で認知されます。

この目の視細胞からの脳への情報伝達は、多くのエネルギーが必要です。
哺乳類など体の大きい動物は、体が大きい分、たくさんのエネルギーを体内に蓄えていて、視覚情報処理に多くのエネルギーを使用することができます。

なので、目の網膜にたくさんの視細胞を配置することで、高精度な視覚情報を得ることが可能になっています。

昆虫は、視細胞の数を少なくすることで視覚情報処理に使うエネルギーを減らしている

ただ、昆虫などの小さな生物は、視覚情報処理にたくさんのエネルギーを消費できるほどのエネルギーを体内に持っていません。

なので、昆虫は、哺乳類や鳥類などの他の体の大きい生物に比べると、視覚情報処理へのエネルギー消費を抑えるため、視細胞の数自体がかなり少ないということがわかっています。

視細胞の数自体を少なくすることで、感知する視覚情報自体を少なくし、視覚情報処理に費やすエネルギーを抑えているのです。

しかし、視細胞が少ないということは、それだけ感知できる視覚情報が減ってしまい、視界がとても狭いということを意味します。

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昆虫たちは頭だけを効率よく動かすことで、省エネで視界の狭さをカバーしている

昆虫たちは、頭だけを、小刻みに効率よく動かすことで、視細胞の少なさをカバーしていることがわかっています。

頭をいろんな方向に向けることで、視野の狭さをカバーしているということです。

この時にポイントは、体全体でなく、頭部だけを動かしているという点です。
頭だけを動かしているので、体全体を動かすよりも少ないエネルギーで、視界を広く保てているのです。

昆虫の頭の動きを模倣した動きをするカメラ:省エネかつ小型化できる

この、昆虫が視界を広く保とうとしている時の、頭の動きを真似した動きができる超小型カメラを作ることで、昆虫たちと同じ、ミクロの世界を観察することが可能になっています。

今回作製されたカメラは、248ミリグラムと超軽量でとても小さいので、なんと昆虫の背中にも装着することができます。

Bluetoothも内蔵しているため、120メートルも離れたところから、スマートフォンでカメラの動きを操縦することが可能です。

また昆虫の効率的で省エネな頭の動きを模倣しているため、必要エネルギーも最小限で済み、最長で6時間連続で撮影することが可能です。

このカメラを利用することで、例えば、昆虫たちのミクロの世界を観察し、今まで知られていなかった昆虫たちの生態を探ることが期待できます。

まとめ

・視覚情報の処理にはたくさんのエネルギーを使う
・昆虫は、視細胞の数を少なくすることで視覚情報処理に使うエネルギーを減らしている
・昆虫たちは頭だけを効率よく動かすことで、省エネで視界の狭さをカバーしている
・昆虫の頭の動きを模倣した動きをするカメラ:省エネかつ小型化できる

今回の研究のように、”生き物の構造や動きを模倣する” というのが、エンジニアリングを発展させていくカギかもしれません。

"自然に学べ"、ですね。

紹介動画

This tiny camera can show the world from a bug’s point of view
https://www.youtube.com/watch?v=VwiHf2T9bLU&t=3s


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