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異語り〜コトガタリ〜

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【現代怪談】 日常に紛れ込んだ微かな異の物語を綴っていきます。(毎週木曜日更新)
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2021年11月の記事一覧

異語り 067 霜柱

異語り 067 霜柱

コトガタリ 067 シモバシラ

今は毎年雪に埋まる生活をしています。
でも、子供の頃は 今年は降るか? 降らないか? 
というぐらい超レアなものでした。
子どもの冬の楽しみは、水たまりに張った氷か、霜柱。
通学中に見つけたら競って踏みに行ってました。

友人の真理ちゃんの家はよく玄関前に霜柱ができたそうです。
寒い日の朝は一つ上のお兄さんと取り合いの喧嘩をすることもあったとか。
「少しでも早起き

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異語り 066 冬囲い

異語り 066 冬囲い

コトガタリ 066 フユガコイ

今年も玄関前の木に冬囲いをする。
もう10回以上やっているのでだいぶ慣れてきたと思う。
最初の頃はどうしていいのかさっぱりわからず、『冬囲い』の市民講座に参加したことがある。
講師はシルバー人材センターから派遣された方々。
支柱と縄を使った冬囲いを教えてもらった。

講義のあと少しおしゃべりをした時に元庭師のOさんから聞いた話

お子さんがいるなら冬囲いをする前に

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異語り 065 学芸会

異語り 065 学芸会

コトガタリ 065 ガクゲイカイ

息子が通う小学校の体育館は10年ほど前に建て替えられたもので、まだ綺麗な建物です。
舞台の両脇に用具倉庫があり、中に下に降りる6段ほどの階段があります。
階段の先には鉄製の扉があり、舞台下を通って反対側にあるもう一方の用具倉庫へと抜けることができるそうです。

娘が小学生だった頃、クラスメイトだった子のお姉ちゃんから聞いてきた話です。

ある年6年生の舞台(演劇

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異語り 064 深淵

異語り 064 深淵

コトガタリ 064 シンエン

友人Mの子供の時の話

その日は朝から雨でした。
学校から帰る時にはすっかり晴れていましたが、道路のあちこちに大きな水たまりができていました。
みんな長靴を履いてきていたので、バシャバシャと水たまりを選んで帰りました。

友達と別れて1人になっても、そのまま水たまりの中を歩いていました。

さあ、次の水たまりはどこだろう

顔を上げて道の先を見ると、二つほど先の水た

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