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#08 会話-「原点につなぐ」「This is OTAKI」


一呼吸、お話させてください。

始まりはいつも現場から

こんにちは。カブトスです。

千葉県夷隅郡大多喜町にて進行中、『Hotel & Restaurant Roven 大多喜町』プロジェクト。
日々のつたない記録にお付き合いいただき、ありがとうございます。

現場となる大多喜町の古民家
古民家内…元商店部分の味のある梁

このプロジェクトは、2023年秋頃の開業を目指して進んでいます。

開業までは長い道のりとはいえ、やるべきことは盛りだくさん。
古民家の草刈りや片付け、地域でのコミュニケーション、設計に向けた様々な確認と問題解決、様々な申請や事務作業…
主に”現場”での行動を重ねていく状況で、プロジェクトの方向性や、それぞれの思いを言葉にして共有するタイミングは、実はそう多くありません。

遠くに大多喜城が見えます

共通言語を生んでいく

けれど、いくら長い付き合いでも、どれほどセンスが合う相手でも
「分かってるよね?」では進まないのが仕事。
もっともっと駆け足な状態になった時に、あうんの呼吸をつくり出すための
共通言語を持っておきたい。

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会話の記録


共通言語1=「原点につなぐ」

カブトス 神谷
ー『Hotel Roven OTAKIMACHI』の存在そのものを現す言葉

原点とは何か?
それは人間がもつ”作る”ことへの面白さだと思う。

何もない壁面が手作業で絵に変わること。
土から生まれた食材が手作業で美味しい料理に生まれ変わること
大衆的な空間から大工仕事によって異空間に変わること。

作りたい!変えたい!という気持ちから動き出し、
汗をかき、人を説得し、試行錯誤をしながら完成に向かうこと。
最初から確固たる完成系が定まっていないところから、創造し、完成させていくこと。

僕はそれを面白いと感じる。
そして多くの人はそれを面白いと感じてくれる。
カブトスが掲げる『街を面白く!』も同じで、その街や空間の原点を見つめながら創造していくことだ。

農産地である大多喜町で、今地域に根差す拠点を作っている。
穏やかな日々の中、突如お隣さんに異分子が入ってきたら拒否反応が起こるのは通常。
僕が現地で、いろんな人と顔を合わせ、汗をかき、掃除をすることは今最も大切なこと。(掃除片付けをしながら、これって実は基礎工事のような仕事なんだ)

そのような場所に、居心地の良い空間を作ろうとしている。
K氏がその考えを理解し、設計する。
人の能力を探り、信頼してみる。

そのすべてを繋いで作るのが今回のプロジェクト。
人と人をつなぐ
食材と料理をつなぐ
地域と東京をつなぐ
才能をつなぐ
大切なことはそれを自らが行うこと。


共通言語2=「This is OTAKI」

設計チーム K氏
ー1のキーワードを受けての応え。設計デザインに込める言葉

作ること、その面白さ。
作られた後から更なる創造へと向かう、
常に現在進行形のプロセスプランニング。
だからこそ接点となる「つなぎ」が大切。

接点1:大多喜町
大多喜町は城下町、田園地帯、養老渓谷等の観光地としての顔を持つ。本件は、道路側は城下町としての構え、奥側は田園地帯としての構え、中庭はどちらでもない敷地内のキャラクターとしての構え、そして、用途的には観光を支える構えにもなっている。まさにThis is 大多喜。
まちなかという狭い領域の話をしても、本敷地は城下町の街道(外の顔)と生活動線(内の顔)の接点に位置している。つなぎの中心点。ここでもThis is 大多喜。

接点2:料理素材
ローブンで提供される料理から見えてくる、産地と消費地との関係。経済はもちろんのこと、空間や環境等を体験的に感じることでより一歩踏み込んだつながりになる。

接点3:古民家
大正時代に建てられた建物は、城下町に開かれた商店としての構えと、当時ならではの建築を残す。敷地内には昭和時代に建てられた自宅と蔵、平成時代?に建てられた納屋がある。時代と暮らしを紡いできた敷地(つなぎの空間)を体感できる。

城下町の間は、まちに開く空間。
田園の間は、風景に開く空間。
蔵の間は、内にこもる空間(ここにしかない空間に開く)。
作業場は、レストランとホテルのバッファー空間としてつなぎをうむ。

用途的にガチガチに分節するのではなく、それぞれが空間的余白(一体空間、縁側、庭など)を持つ。
できるだけ小細工せず、伽藍堂のような本質を捉えた空間にしていく。そこに今を生きる私たちの意識を足していく。

「原点につなぐ」ということは、過去へのベクトルと未来へのベクトルの両方を持っていなくてはならないと思う。そして、その中心にいるのは、それを思考し実現する今。抽象的ではありますが、このようなことを全体として考えています。

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大多喜駅から古民家へ向かう道。観光・城下町との接点。
こんな場所(屋根です)でも話し込んでしまう

動き出すとき、言が生まれ始める

上記に記録したやりとり(実際にはもっと壮大な長文の往復で…ここに残したのは一部ですが)は、
神谷(カブトスチーム)ー設計チーム
それぞれの考えが刺激し合って生まれています。

今後もぶつけ合いながら、受け取り合いながら進んでいきます。

これから押し寄せる途方もない数の判断、決断…
その際の拠り所になる言葉が出てきたように感じています。


コンセプトは、もうそこにある

”コンセプト策定”のような作業なのかもしれないですが、私たちのやっていることはもっと
手探りで、自分の体を使う作業。

まさに土を耕しながら「この土質ならあの作物に向いているかも」「もっと広げられそう」「ちょっとここは固い…誰か手伝って!」
とガヤガヤしているイメージです。

すでに良い建物・空間・街・人がそこにあり、そこにあるものを生き生きとさせたい。
コンセプトは作り出すのではなく、すくい上げて発見していく。

原点を見逃さず、要素とアイデアを『つないで』いきます。

続きます。

hanai


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