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南座三月花形歌舞伎観劇レポ かぶきDOU其の50アフタートーク

皆様かぶきDOUをご愛顧頂き誠にありがとうございます。おかげさまで生放送50回を迎えることができました!今後も親しみやすい歌舞伎情報をお届けできるよう日々精進してまいりますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。



かぶきDOUでは南座で開催中の「三月花形歌舞伎」についてお伝えしております。3/15から午前が桜プロ、午後が松プロに入れ替わりました。この日に私も南座に観劇に行ってきました!   

来場者特典&グッズ

3/15の開場が10:30と案内看板にありましたが午前10時前には南座前に多くの方がお集まりで少し早めの開場となりました。
入り口で渡される来場者特典のコースター。私はこの日通しで観劇しましたが午前の部では河庄、午後の部では女殺油地獄が当たりました♪

コミてんスタジオにて📷

南座の売店では三月花形歌舞伎の与兵衛、滝夜叉姫、治兵衛のアクリルスタンドが販売中です。
車折神社の推しmamoriも販売されています。これは推し活の想いが叶うよう祈願されたお守りで推しのメンバーカラーに合わせて9色展開しています。

車折神社では3/16時点でこの推しmamori売り切れとなっていました。気になる方は南座売店でどうぞ!
アクスタの土台の色がそれぞれ違いますので合わせてお選びください


フォトスポットと桜満開メッセージボード

南座劇場の入り口を入ってすぐ右側の通路を奥に進むとフォトスポットがあります。与兵衛、滝夜叉姫、治兵衛3Sの特大パネルと撮影ができます📷

そのお隣には桜の木が描かれたメッセージボードがあります。
花びら型の付箋にメッセージを記してボードに貼りますと桜の花が咲くという素敵な演出です✨
ご出演の御三方の直筆メッセージが入った花びらもあります🌸

3/15の時点で満開でした🌸🌸🌸

今年没後300年となる近松門左衛門のパネル展示や、近松が幼少期を過ごした福井県鯖江市の吉江藩主 松平昌親公と幼少期の近松になりきれるフォトスポットもお目見えしています♪

今年は越前国吉江藩廃藩350年
でもあります

南座おすすめグルメ

幕間に三月花形歌舞伎の特別弁当をいただきました。さすがなだ万さん!手のこんだ一品がぎっしり詰まっていて満足でした。
3階のやや手狭な客席でも細長い形なので食べやすかったです。


お弁当売り場には壱太郎さん右近さん隼人さんのメッセージ入り色紙も飾られています

お食事のおすすめは南座のすぐそば、東四軒目にあります祇をん松乃さんです。
1939年(昭和14年)創業の老舗うなぎ屋さんです。お店の前を通ると香ばしい蒲焼の香りが漂います💕

入り口には舞妓さん芸妓さんのうちわがずらりと並んでいます

敷居が高そうですが店員さんが皆さん気さくであたたかいです!
事前予約をすれば、南座幕間の時間に来店するとお席に鰻が熱々の状態で用意されるというシステムとなっています。
鰻の皮がパリッと香ばしく肉厚でジューシーで美味でした☆☆☆

鰻重竹(肝吸いは単品オーダー)
うなぎが無くなり次第終了です
お持ち帰りお弁当もあります

乍憚手引き口上

南座三月花形歌舞伎のお楽しみ!
乍憚(はばかりながら)手引き口上のレポからご紹介します。
3/15午前の部は尾上右近さん登場回でした。客席後方から右近さんが登場しますと屋号の「音羽屋」のほかに「右近くーん!」という黄色い声援も聞こえてきました。定式幕を背景にアクスタのPRと15日から始まった舞台写真の販売についてのご紹介とこの後の演目、女殺油地獄と将門の解説がありました。
「桜プログラム松プログラムともにキャスティングが最高!一同歌舞伎が大好きです!お客様にはさらに歌舞伎愛を高めていただいてより豊かな人生を送っていきましょう!」と熱く語られた右近さんでした。
途中、黒子が鏡を手に舞台袖からに登場しました。演出の一つかな?と思っていましたら、どうやら右近さんの髷につけられていた吉原かぶりの手拭いがめくれてしまっていたようです。
息があがりながらのご登場だったので猛ダッシュした時にめくれてしまったのでしょうか?! 
黒子さんの鏡を手に公開お色直しとなりました。こういうハプニングもライブ感たっぷりで洒落がきいたリカバーで大変良かったです! 

午後の部は中村隼人さん登場回でした。やはり客席後方からのご登場でしたが、多くのファンの方が両手を振っての熱烈歓迎でした!
隼人さんは「来場者特典のコースター僕の当たった方?」とご質問。「当たらなかったら僕の舞台写真を!」と舞台写真を上手にPRされたり、コースターが入った袋(中身がわからない仕様)を開ける音が響くと「待っててもらっていいですか?」とツッコミを入れたりと、客席いじりも最高な隼人さんでした☆
「隼人の説明で分からない方はパンフレットを!役者は拍手が大好物。千穐楽には満員御礼の札を出したい!」と意気込みを語られました。
桜プロ 松プロともに口上の最後には南座宣伝部長のキャラクター"みなみーな"も登場しての撮影タイムもあります!
屋号や役者さんのお名前を呼ぶ声も多く聴こえてファンミーティングのようなとても賑やかで若手の花形歌舞伎らしさが溢れていました♪


女殺油地獄

桜プロ最初の演目は女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)です。中村隼人さんが初役で与兵衛を勤められています。かぶきDOU解説も絡めまして気になった部分をピックアップしてお届けします。

序幕

最初の花道の出で与兵衛(中村隼人)の浮ついた性格がよく滲み出ています。
与兵衛が通りかかった茶屋で「お茶を一服」と世話を焼くのは今回犠牲者となってしまうお吉(中村壱太郎)です。
油屋を営む夫の七左衛門(尾上右近)を幼い娘と待っているところでした。
与兵衛も油屋の次男坊です。ご近所づきあいもあってお吉は日頃から与兵衛の素行を心配しています。渋々お茶に付き合う与兵衛。しかし、こっそり与兵衛のお茶に仲間がお酒を入れる始末です…
お吉は諦めて野崎の観世音参りに向かいました。
あとで与兵衛が仲間とお吉を女性として品定めするようなやりとりがあり、男性の嫌な部分がすごくよく出ています…
そこに与兵衛が入れ込んでいる芸者小菊(片岡千壽)がお客と現れます。
お客の相手で野崎参りに来ると聞いて与兵衛は仲間達と待ち伏せしていたのです。ついには喧嘩が始まり泥だらけになってしまいます。たまたま通りがかった与兵衛の叔父(片岡松之助)が仕える小姓組頭(上村吉太朗)に泥をつけるという重大な失態を犯してしまい、叔父に首切りを告げられてしまいます。
不祥事に慌てる与兵衛。そこにお吉が出会ってしまうのです…
泥だらけの姿で助けてほしいとお吉に土下座します。茶屋の中でお吉が与兵衛の着替えの世話をします。そこにやってきたのが夫の七左衛門です。妻と与兵衛の仲を疑い、お吉と娘を連れて話も聞かずに帰ってしまいます。
そこに馬が現れ、首を切られるのかと怯える与兵衛ですが勘違いとわかると「なーんだ」とふてぶてしく花道を帰る与兵衛でした。

二幕目

仕事もしんどいと愚痴ばかりで、借金返済の期限が迫る与兵衛は継父徳兵衛(嵐橘三郎)に金の無心をしますが聞き入れられません。
そろばんを枕に徳兵衛の肩に足をかけたりと信じられない態度ですが徳兵衛はかつて与兵衛の実父に支えていた身の上で厳しくできないのです。
与兵衛の不祥事で叔父が責任を取って浪人になる事態になってしまいます。その便りを持ってきた与兵衛の兄 太兵衛(片岡千次郎)からも咎められ反省する徳兵衛でした。
与兵衛の妹おかち(片岡千太郎)は体調を崩しています。祈祷師を呼んで容体を見てもらうと与兵衛の実の父親である先代の徳兵衛がおかちに乗り移り「与兵衛に所帯をもたすよう」告げます。
何も知らない妹を騙して与兵衛が仕組んていた悪巧みでしたが、あくまで「おかちに婿を取らせる」という徳兵衛です。
思い通りにならないことから父と妹を踏みつけてゲンコツを浴びせます。止めに入ったのが与兵衛の母おさわ(上村吉弥)です。与兵衛の髷をつかんで引き離します。さすが母の貫禄!しかし棒で叩こうとした母に反撃したりと修羅場です。
徳兵衛に説教されますが与兵衛は大の字でねそべって聞く耳をもたず。最後は勘当を言い渡されて「出て行くわい!」と花道を去っていく少し名残惜しそうな寂しそうな与兵衛の表情が印象的でした。

三幕目

青白い照明の花道を頬被り姿で登場の与兵衛です。借金とりから声をかけられ明けむつ(朝6時)までに借金を返すという与兵衛の声色が、先程までとは打って変わった覚悟が決まったような様子でゾクっとしました…
与兵衛の父と母がお吉の油屋を訪ねてきました。ステップファミリーの苦悩を語る嵐橘三郎さん勤めます徳兵衛と、上村吉弥さんが勤めますおさわの名演技です。
父と母それぞれが息子を強く思う気持ちに胸打たれます…
その思いに心打たれて与兵衛のために託されたお金を大切に預かるお吉です。
しかし残酷にも与兵衛にお吉は殺されてしまいます…与兵衛は先程の両親のやりとりを陰で聞いていたにもかかわらずです!

訪ねてきた与兵衛との会話で、お吉の「間」の取り方が素晴らしかったです。間一つで心情がよく伝わります。
最初は色仕掛けでお吉に金を無心する与兵衛!
それを拒まれると与兵衛は執拗にお吉の命を狙います。私は3階席で観劇しましたが舞台上に大きな樽が2個あり、それが倒れますと油に見立てた液体が大量にドバっと流れ出して舞台に広がります。油が滴り落ちる効果音と共に、とても臨場感がありました。 
与兵衛とお吉が油に足を取られて何度も同じタイミングでハの字のように2人が綺麗に転倒します。
「幼い子がいるから!」と命乞いをするお吉に「俺にも可愛がる親父がいたし!」とトドメを刺す与兵衛の残酷で悲しいシーン…
絶命したお吉の首がグラングランとゆれる様も本当に迫力がありました…

現代とシンクロするストーリー 監修は片岡仁左衛門さん

この演目は大坂で起こった事件をもとに近松門左衛門が描いたものです。1721年(享保6年)大坂竹本座で人形浄瑠璃で初演された作品です。監修は与兵衛を当たり役とされています片岡仁左衛門さんです。隼人さんに「与兵衛の心の動き」について熱心にご指導されたそうです。
現代にもいそうな攻撃的で小心者の若者の与兵衛を隼人さんがリアルに歌舞伎としてしっかりと演じられています!現代社会の歪みともシンクロする名作です。女殺油地獄かぶきDOU観劇レポートでした。



歌舞伎舞踊〜忍夜恋曲者将門〜

続いて忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)将門(まさかど)についてです。
中村壱太郎さんが初役で女方の大役、主人公の傾城如月実は滝夜叉姫を勤められています。
松プロ桜プロで演出が異なるとお伝えしましたがその違いについてかぶきDOUレポートです!

漂う香りは、はじめに花道スッポンから如月が登場する時の煙についているようでした。3階席にもお香のフレーバーのような香りが届きました。
如月としては傾城として艶っぽく舞い、滝夜叉姫としてはベリーダンスのように身体がしなやかでありながらもキレッキレで殺陣が決まるたびに、とてもかっこよくて迫力がありました。

大宅太郎光圀(おおやのたろうみつくに)を中村隼人さんが松プロで、尾上右近さんが桜プロで勤められています。
平将門の最期を常磐津に乗せて舞う光圀のシーンにお二人の違いを最も感じました。
松プロの隼人さんは王道の流れでストーリー性が高く、桜プロは右近さんのパワフルな舞踊の要素が強い印象でした。
常磐津の方が踊りにあわせて唄ってくれてありがたい」と隼人さん右近さんお二人が先日の南座インスタライブで話されていました。歌舞伎はチームワークなのですね!

オオガマの大活躍は桜プロでしょうか。大きな赤い口が大迫力のオオガマですが、片方の前足だけで体をくるりと回転させるほどの軽やかさで光圀や捕手たちとの大立ち廻りを繰り広げます。

桜プロのフィナーレは滝夜叉姫が花道のスッポンから美しい十二単で現れます。つらあかりのゆれる炎と十二単のコントラストが美しくフワフワ浮かび上がるのでは?と思うほどでした。

私の感想としましては松プロが王道の流れで、桜プロは挑戦的な要素が強いという印象でした。
実際に違いを見比べていただきたいです!忍夜恋曲者将門のかぶきDOU観劇レポでした。


心中天網島河庄 あらすじ後半と観劇レポ

松プログラムでは尾上右近さんが「心中天網島 河庄」で紙屋治兵衛に挑戦されています
ここからは前回に引き続きまして河庄のあらすじ後半と観劇レポートについてご紹介いたします。

治兵衛(尾上右近)の妻おさん小春(中村壱太郎)に宛てた手紙を読み小春の愛想尽かしが治兵衛のためであったと気づく兄の孫右衛門(中村隼人)でした。
心打たれた兄は天罰起請文と共に、おさんからの手紙を火にくべると小春に誓います。
しかし!「手紙は誰からのものか」と兄にしつこく聞く治兵衛です。小春にも「手紙の主はだれか」と治兵衛が詰め寄り、殴る蹴るの狼藉となってしまいます。
兄が「手紙を書いた客人に義理が立たない」と治兵衛を制します。何も言わず泣き崩れる小春です。
治兵衛は自分の妻からの手紙であることは全く知らず納得がいかない表情で、兄と小春と3人決まって心中天網島「河庄」の幕となります。

「鴈治郎といえば河庄」中村鴈治郎さんが指導に

物語の後半は治兵衛と孫右衛門の兄弟の会話がとても多く上方の台詞が流れるように進んでいきます。
この治兵衛は「鴈治郎といえば河庄」というほど歴代の中村鴈治郎さんの当たり役でもあります
治兵衛と小春の両方を勤められています当代の鴈治郎さんが今回指導に当たられています。
右近さん隼人さんは関西ご出身ではないのですが、セリフのテンポやノリツッコミの間合いが最高で何度も客席から笑いが溢れました。
小春を勤められている壱太郎さんのセリフは後半本当に少ないのですが、上手に本題に戻す演技をされますので物語に緩急がついて御三方のバランスがとてもよかったです。ユーモアのセンス抜群な中村鴈治郎さん名プロデュースだと感じました。
しんみりしながらも大いに笑えて初心者の方でも充分お楽しみいただけます!心中天網島河庄のかぶきDOU解説後半と観劇レポートをお届けしました。

口上とプログラムについての詳しいスケジュールは歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」でご確認ください。
南座の公式インスタグラムのライブ配信でもご出演の皆様が精力的に情報を発信してくださっています。

千穐楽午後の部プレゼント企画も
発表されました


南座三月花形歌舞伎はいよいよ3月24日千穐楽です。
幕見はありませんが当日券は南座チケット売り場でお買い求め頂けます。没後300年の近松門左衛門の名作と若手歌舞伎役者さんの魅力満開の舞台をぜひお楽しみください!


めでてえなぁ3/13-3/19

お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナー。3/13から3/19がお誕生日の皆さまです。お名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。


3/13市川笑羽さん
市川段四郎一門

3/14片岡愛一朗さん
片岡愛之助一門

3/14片岡仁左衛門さん
松嶋屋

3/15中村鶴松さん
中村屋

3/16中村京純さん
       中村雀右衛門一門  

3/17片岡千次郎さん
松美屋

3/18片岡當十郎さん
松鶴屋

3/18市川裕喜さん
市川猿翁一門 

3/19市川笑子さん
市川猿翁一門


今回は9名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!


3/19アーカイブはこちらからどうぞ

※時間の都合で縁の一曲はお休みさせて頂きました。なお権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりませんのでご了承ください。

次回は3/26(火)午前10時からコミてんFM77.7Mhzで生放送です!リスラジListen Radioというアプリ、コミテンYouTube生配信でもお楽しみいただけます



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