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南座顔見世 ①助六由縁江戸桜と2代目團十郎 かぶきDOU其の36アフタートーク

今回もかぶきDOUをお聴きいただきありがとうございました。
早いものでもう師走!京都南座では「まねき」が上がり吉例顔見世興行が盛況です。私の出身大学が京都なので懐かしさもあります。
そして年が明けますと博多座は2月花形歌舞伎となります!


麻布十番 麻の葉さん絵てぬぐいお目見え


コミてんYouTubeの動画配信をご覧の方はお気づきかと思いますが、今回からコミてんスタジオに麻布十番 麻の葉さんの絵てぬぐい「歌舞伎衣装三番叟」と「花四天」を新たに飾らせて頂いております!

歌舞伎衣装三番叟

江戸時代にお正月や顔見世興行では必ず三番叟が上演されていたそうです。三番叟の衣装をモチーフに大きな鶴と羽ばたく鶴、そして松が描かれた大変おめでたいデザインです。

花四天(はなよてん)

紫の立湧(たてわき)にお花があしらわれた華やかなデザインです。歌舞伎舞踊劇の立廻りなどで、捕り手たちがこの花四天を着ています。
来年博多座2月は乱歩歌舞伎で探偵明智小五郎と人間豹のお話です。捕り手も多く出演するのでは…とかぶきDOUで予想しております。主に捕り手の衣装は黒一色の四天になりますが、新年にむけて華やかな配色をと思い花四天を飾らせていただきました。

歌舞伎衣装三番叟を1月まで、花四天は2月までコミてんのスタジオを彩ります。Youtubeでお楽しみいただけたら幸いです。麻の葉さんご協力ありがとうございます!気になる方はオンラインショップをチェックしてみてくださいませ↓ 


助六由縁江戸桜のルーツ


さて今回のお題は京都南座で上演中の吉例顔見世興行より歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)のルーツについてでした。
今年の顔見世は13代目市川團十郎襲名披露公演となっています。市川新之助さんの初舞台ならびに市川ぼたんさんのご出演もあり連日大入りだそうです!
歌舞伎に詳しくない方でも「歌舞伎といえば助六」のイメージをお持ちではないでしょうか?お土産で販売されている歌舞伎グッズにもよく助六のデザインがあしらわれていますね。歌舞伎としても大変人気の演目ですが伏線としてさまざまなエピソードがありますのでご紹介いたしました。

元々は延宝(1673-1681年)の頃に京都で起こった心中事件が題材となっています。この事件を上方の歌舞伎や浄瑠璃が取り入れて舞台化し話題となりました。
それを2代目市川團十郎が登場人物などを江戸の観客が好むようにアレンジして上演したのが助六の始まりです。
荒事の代名詞である市川團十郎がなぜ上方歌舞伎を?と思われる方も多いのではないでしょうか。
成田家公式HPによりますと…
2代目は1704年(元禄17年)に市川團十郎を17歳で襲名しました。
しかし襲名前に父の初代團十郎は亡くなってしまいます。
襲名後、数年はいい役に恵まれず苦しんでいました。
そんな2代目團十郎の後ろ盾となってくれたのが生島新五郎(いくしま しんごろう)という歌舞伎役者でした。江戸和事を得意とした生島の指導を受け、2代目團十郎は豪放な荒事芸ばかりでなく和事(上方の芸がベースで柔らかい演技や情感を表現)など幅広い芸域を持つことができました。
2代目は近松門左衛門作の世話物(町人社会を舞台にしたストーリー)の主人公も演じて当たり役となっています。


絵島生島事件


2代目市川團十郎が生み出した狂言「助六」は1713年正徳3年に江戸の芝居小屋 山村座で初演されました。しかしその翌年、絵島生島事件が起こります。
7代将軍徳川家継の生みの親、月光院(げっこういん)に支えていた大奥の御年寄 絵島が徳川家の菩提寺参詣の帰りに山村座に寄って芝居見物をしました。
そのあと生島新五郎と宴会を開き江戸城に戻るのが遅れ門限を破ってしまいました。
元々歌舞伎は幕府から厳しい目が注がれ、何度も引き締めにあってきた歴史があります。大奥の政権争いも絡んで大きな事件となり絵島は信州へ、生島新五郎は三宅島に流罪となります。最終的に関係者およそ1500人が処分を受けました。


御用牡丹と杏葉牡丹


2代目團十郎は江島から近衛家ゆかりの将軍家の御用牡丹=牡丹の花の紋が付いた御下賜品(ごかしひん)を拝領されていました。つまり身分上、持つことのできない将軍家ゆかりの品を2代目團十郎は絵島からプレゼントされていたのです。 絵島の推し活は相当熱が入っていたのですね!
絵島生島事件でこの件も問題となりましたが2代目團十郎は急遽、牡丹の花に杏の葉という組み合わせをつくり「杏葉牡丹は市川家で使用する替紋」と主張して難を逃れました。
御用(ごよう)を杏葉(ぎょよう)
に変えるという機転が素晴らしいですね!
それ以降、市川家の紋は三升 替紋が杏葉牡丹となりました。
幕府は絵島生島事件で山村座を取り潰し、芝居を全て禁止にしようという動きにもなっていたそうです。
しかし2代目團十郎の尽力で他の芝居小屋は残されることになり、歌舞伎のピンチを救った功績から市川團十郎家が江戸歌舞伎の宗家となりました。


出端でのお辞儀


書籍 團十郎の歌舞伎案内によりますと絵島生島事件は助六の演出にも影響を与えたそうです。助六が最初に花道から登場するシーンを出端(では)といいます。

⚪︎黒の紋付
⚪︎緋色の襦袢
⚪︎顔の右側に結び目があるのが特徴の江戸紫の鉢巻
⚪︎黄色い足袋
⚪︎下駄
⚪︎蛇の目傘

これらは元禄時代の人々が憧れた助六のファッションアイテムです!
蛇の目傘と黒紋付には杏葉牡丹があしらわれています。
そして出端のシーンで助六は花道の七三と呼ばれる場所で手を広げて2方向にお辞儀をします。このうち1回は劇場のお客様に。そしてもう1回は芝居を愛してやまなかった大奥の絵島を敬うための所作だそうです。

絵島生島事件を経て2代目團十郎が1749年寛延2年、62歳で演じた3度目の助六の舞台でほぼ現在に近い扮装と演出が完成されたそうです。
助六が2代目團十郎の尽力そのものであることがご理解いただけたのではないでしょうか?
ちなみに歌舞伎十八番の半数近くが2代目團十郎が手がけたものとなっています。
今回は助六由縁江戸桜のルーツと2代目市川團十郎の功績についてご紹介いたしました。
次回も引き続き助六由縁江戸桜の豆知識をお送りします。お楽しみに!


縁の一曲PART1  5代目坂東玉三郎さん

続いて歌舞伎役者さんにゆかりの曲をお届けする縁の一曲のコーナー、今回は2曲お届けしました。
まずは坂東玉三郎さん。いよいよ12/6(水)のFNS歌謡祭の第一夜に玉三郎さんが初出演されます。ミュージカル俳優海宝直人(かいほうなおと)さんとのコラボレーションです✨披露されるのは井上陽水さんの「少年時代」です。
玉三郎さんと海宝さん、どんなハーモニーを披露していただけるのか?楽しみです!

アルバム「邂逅~越路吹雪を唄う」より
♪ 坂東玉三郎 アマリア をお届けしました。


縁の一曲PART2 流白浪燦星

かぶきDOUの放送日の12/5に新橋演舞場で新作歌舞伎「流白浪燦星(ルパン三世)」が初日を迎えました。

ルパン3世を片岡愛之助さん
石川五ェ門を尾上松也さん
次元大介を市川笑三郎さん
峰不二子を市川笑也さん
銭形は市川中車さん

が勤められます!

12/4に片岡愛之助さんと尾上松也さんが新橋演舞場で公開舞台稽古を行いました。  
日刊スポーツによりますと…
愛之助さんは「歌舞伎座で上演しても問題ないくらい、けっこうな古典になってます」と自信を見せたそうです。  
松也さんは「ルパンチームの中で歌舞伎に一番置き換えやすいのは僕だと思っていました。とはいえ、歌舞伎の中に出てくる石川五右衛門とはまったく違います。苦労もありましたが、1つ1つみんなでみんなでクリアにしていく楽しみはとてもありました」と稽古を振り返ったと報じています。

2人が戦う場面では本水の演出もあるそうです!博多座での公演を希望します!
公演の成功を祈って ♪ルパン三世のテーマ'78をお送りしました。


めでてえなあ11/29-12/5

お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナーです。11/29から12/5がお誕生日の皆さまでした。
お名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。

11/30中村隼人さん
萬屋
隼人さんは南座の昼夜の部に
ご出演中です!

12/5 中村春之助さん
加賀屋

12/5 坂東新悟さん 
大和屋

今回は3名の皆さまでした。お誕生日おめでとうございます!


12/5番組アーカイブはこちらからどうぞ

次回は12/12㈫午前10:00〜10:25 FM77.7MHzコミてん生放送です!
※権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりません。音声だけの配信となりますのでご了承ください。




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