奇妙な雇用体系を作ってしまった日本

今の日本の雇用体系はかつての日本型の終身雇用とも言えず、また米国式のスキル重視の雇用とも言えず。どちらの悪いところを混ぜたような奇妙なものになっている。
まず技術職に関してはスキルによる転職ありきの雇用体系ができつつある、しかしそれはスキルアップを目的とした転職であってジョブチェンジを目的としたものではない。さらに新卒は相変わらず就職活動をしている、アメリカには就職活動のようなものは存在しないが日本には相変わらず新卒カードがあり就職活動が存在する。
これは本当に奇妙で日本型の会社への忠誠心のようなものを会社員に求めつつさらにはスキルをより特化させる道具のように感じさせる。本来は雇用は会社と従業員の契約であり、そこに忠誠心のようなものを求めるのは正しくない。しかし実態としてあるのは封建制のような縦社会である。部下と上司の関係も敬語が用いられるがそもそも敬語と言う概念のない英語社会と違って敬語での話し言葉を求められる日本の縦社会的な雇用は従属関係を強要しており、そこに変な居心地の悪さが介在する。
尊敬しても居ない人を敬って話す。それで人間関係がぎくしゃくしないはずもない。人間は平等であるはずなのに私たちには働く側と働かされる側の優劣そして地位の格差が存在してしまう。
転職活動においても重視されるのはこの人が仕事ができるか？よりもどれだけ会社に勤めていたか？忠誠心があるか？でチェックされてると思う時がある。でも実際、長期に会社に勤めている人が会社を愛しているのか？私はそういう人をあまり見たことが無い、むしろ会社を憎みながらも働き続けている単に我慢強くリスクを恐れる人が苦しみながら見せかけの忠誠心を見せて働いてる。
さらに問題は多くの非正規労働者だ。日本型終身雇用の良さは生涯面倒を見てくれると言う安心と会社への信頼があった。しかし今はほとんどが非正規労働者である。その非正規労働者を正社員登用を餌に働かせ続け、馬の前にぶら下げたニンジンのようにそれはほとんど手に入ることはない。悪質な詐欺のように思える。

これで生産性などあがるはずもない。

根本的に勘違いしているのは人間と言うものは自分の利益のために最大限努力する生き物である。にも拘らず減点式の組織の中で常に結果を求められ就業時間内に仕事は圧縮され、他者にも同じクオリティの仕事を要求し、できる人に適正な評価も給料も与えず、できる人が基準でありできない人間は努力不足と切り捨てて労働者のやる気を奪う。
私はこれがナチスの強制収容所で強制労働させられてる人間とあまり変わらないモチベーションで働いてる、また強制収容所の人間が苦しめられているかのように満員電車に詰め込まれてアウシュビッツに移送される囚人のメンタルに他ならない。
このようなモチベーションで本当に私たちの社会は健全であると言えるだろうか？私たちはもっと自由で自分らしく自分の幸福のために生きていいはずだ。しかし私たちは実際には拘束され自分を殺し自分の不幸のために労働させられている。
日本社会が維持できているのはひとえにこの労働軍国主義的な社会と日本人の勇気の欠如とリスクを回避する村八分型の歪んだ社会システムで無理やり維持しているに過ぎない。
少子化だってそもそも人間がセックスをして子供を作るには精神的にも体力的にも余裕が必要なのだ。私たちは機械ではない人間であり、生物である。自分で考え愛をもって行動するべきだ。会社組織の部品としてすり減ったネジのように捨てられるのが人生であるべきではない。
この不自由な社会に立ち向かうたった一つの方法は皆が自分らしく自分が幸せに生きる選択をすることだ。リスクを恐れて常に他者にとって都合のいい選択をするべきではない。私たちはもっと口論すべきだし意見をぶつけて嫌われてもいいはずだ。そして自分に居心地の悪い場所で生きてく必要などない。
みんながこれをすれば社会は変化していくのだ。しかし今はみんなが不幸であることを選択し続けている。労働とは苦しみではない、本来は生きるための喜びであり人生を豊かにするもののひとつであったはずだ。しかしそれを苦しみに変えているのは他ならぬ自分自身である。自分自身のために働き自分自身のために生きよう。それができてこそ家族を持つことだってできるのだ。私たちはこの歪んだいずれ崩壊していく社会システムの奴隷にはならない。