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はじめまして、きくらげちゃかぽん MOTEKOIYO です

ご挨拶

はじめまして、きくらげちゃかぽん MOTEKOIYO と申します。
島根県は隠岐諸島、中ノ島(海士町)の港を臨む、ちいさなビストロです。

海と大地の恵みあふれる海士町(あまちょう)の風景

ビストロといいつつも、私たちちゃかぽんが届けたいのは、お腹を満たすための料理だけではありません。
このnoteでは、ちゃかぽんがどんな場所なのか、またどんなことを大事にしているのかをお伝えしていきます。

ちゃかぽんが大事にしていること

わたしにつながるごはん、人とつながる料理

向かって右手が店主のいそじまみかさん、左手が聞き手のSonekoです。

ーーちゃかぽんでは、おいしい料理を食べられるだけじゃなくて、ほっとする時間や新しい自分との出会いがあります。みかさんは、どんな場所を作りたくてお店を開いたのですか?

「一番根っこにある気持ちは 『つながる場づくり』がしたいということ。
『食』が核にあって、それを真ん中に色々な人やものが有機的につながったり、生まれたりする場所を作りたかったんです。
なので、食べることはあくまできっかけのひとつに過ぎなくて、本があったり、その本を読みに行ったり、ワークショップがあって、そこでの人との出会いから新しい何かが生まれたり……
たとえば、地域の方を講師に招いた草木染めワークショップで、自然の素材を生活に取り入れる。味噌づくりワークショップで、私たちの食文化を支えてきた手しごとに没頭してみる。
自然の素材を活かす暮らしは少し手間がかかるけれど、一緒にやれば、おしゃべりしてるうちにいつの間にか終わってしまう。正解や正しいやり方なんてないから、普段の生活にうれしいひと手間を取り入れるのに、気楽にちゃかぽんを使ってもらえたらと思います。」

ーー地域の方の得意や興味を持ち寄って、ワークショップを行うこともありますね。私もちゃかぽんをお借りして、隠岐出身の歌人さんと一緒に『歌集の世界を旅する』というワークショップを開きました。

「中学生から大人まで、それぞれの感性や背景に触れることができて、とても豊かな時間でした。定期開催したいくらい!」

食べることの、もうひとつの意味

ーー『思い出ごはん』シリーズも素敵ですよね。普段食べられないものっていうのもあるし、ゲストシェフが知り合いだと、知らなかった一面を知れたりして、それがまた嬉しくて。
*ゲストシェフの思い出ごはん……その時々のゲストシェフが、自分にとって特別な意味をもつ思い出の料理を提供するイベント。

「私もとても楽しみにしています(笑)。
家庭料理の裏側に、その人をかたち造って、励まし続けてきた思い出や温かなストーリーが、たくさんあって。ああ、ごはんを食べて取り入れられるのって、からだの栄養だけじゃないんだなって感じます。」

心もからだも、ごきげんに。

ーーちゃかぽんのお料理からも、心とからだがほっと喜ぶような温かみを、とても感じます。

まいにち食べられる料理をとどけたいな、という想いがあって。
野菜や海藻はほとんど島の季節のもの。調味料も環境に無理のない、なるべく精製していない自然に近いものを使っています。
豊かな太陽や風の恵みをうけて育ったおかげか、ことさらに加工や味付けをしなくても、島の食材にはギュッと素材のおいしさが詰まっているんです。」

お腹も心も満たされる、ちゃかぽんごはん

「店を開く前の4年間、福祉施設で働いていたのですが、何を一番考えるかといったら『どうすれば、入居者の皆さんがもっと幸せに暮らせるかな』ということ。
もう楽しいこともないし、早くお迎えが来てくれないかな、なんて言う人もいる。それでもやっぱり『楽しいな』って思いながら、日々暮らしてほしい。
そんな中でも『食べる』ってことは、みんながすること、みんなに関わることだって気づいたんです。
人類みな笑顔とか、世界平和ってとても難しいことなんだろうとは思うけれど、おいしいものを食べたらみんなほっこり幸せになる。それは国も年齢も、性別も職業もきっと関係なく、同じなんじゃないかな。
食べることには、そんな計り知れない可能性があると思うんです。」

目には見えないけれど、
私たちを生かし続けているもの

ーー思い出ごはんの原点であり、みかさんが『食』を一生ものの仕事にしようと思った大きなきっかけが、他にもあったと聞きました。

「はい、数年前に参加した、島をめぐる研修でのことです。地元のお母さんから料理を教わり、みんなでそれを食べながら、その料理にまつわる思い出やエピソードを聞いたんですね。
お父さんが甘党で、だんだん大きくつくるようになったジャンボぼたもちのこと。畑仕事が忙しくて、お昼はいつも『ばくだん(隠岐の郷土料理のひとつ。岩海苔でくるんだおにぎり)』を夫婦で頬張っていたこと。なんでもない家庭料理の中に、その人の人生や思い出、優しい想いが詰まっていることを知ったんです。
そういう想いって目には見えないけど、ちっちゃい宝物みたいに心にたまっていって、その人をずっと励ましていくんじゃないかと思っていて。そしてまた、別の人に分け与えられて、つながって、ずっと続いていく。
だから、ちゃかぽんはそういう想いやつながりを感じることのできる場所にしたくて、『わたしにつながる、人とつながるごはん』がコンセプトなんです。」

ーーそれってまさに、愛のお話ですね。人から人へ、人からものへ託された小さな優しい気持ちの連なりが、昨日と今日、明日を創っていく。
ちゃかぽんという場所が、その宝物を紡いでいく、ひとつの結び目になっていけたら素敵ですね。

人から人へ、人からものへ  ともに想いを紡ぐ人たち

ーーひとつひとつの食べものの味もそうだし、器を持った時の手ざわり、目や耳、空気で感じる雰囲気、心地よさ……ちゃかぽんにいると、慌ただしい日常から離れてふと自分に還るような、そんなぜいたくなひと時をいただいているような気がします。

「ちゃかぽんは、島のたくさんの人の協力があって生まれました。
この土地を見つけ教えてくれた人、土から器を造ってくれた人、来た人の目線に立って、空間をデザインしてくれた人……他にも、たくさんの人の想いが乗っている。
大量生産ではない、届ける人のことを想った「手づくり」「手しごと」の温かさを、この場所に来て五感で味わってもらえたら嬉しいです。

ちゃかぽんにいのちを吹き込んでくれた、島の陶芸家 勇木さんのお茶碗

でも、頭で考えなくても、この場所に来て一息ついて、なんとなくほっとした気持ちになる。
『頑張る』自分をすこし手放して、明日への元気をチャージできる。自然にそうなれる時間や空間を、これからも作っていきたいな。」

ーーたくさんの人の想いが集まって、ちゃかぽんという場所がつくられているんですね。

「たとえば、ちゃかぽんの一角は海士町図書館の分館『MOTEKOIYO』です。図書館の方が定期的に持ってきてくれる選書が、ちゃかぽんのコンセプトや世界観と絶妙に合っていたりして、すごくおもしろい。
最近は、分館だからこそのユニークな蔵書を充実させていきたいと、図書館さんと相談しているところです。
ちゃかぽんで料理を待つ時間などに、気軽に読んでいただけたら。また、普段は手に取らないような本との意外な出会いも楽しんでもらえると嬉しいです。

手しごとの品々が並ぶクラフトコーナーは、私にとっては見ているだけでわくわくする一角。
毎月仕入れている日本酒も、とても奥深い世界があって。

おいしいお酒や、想いをもって作られているものにこれからも出会いたいし、ちゃかぽんをもっと人の想いが行き交う場所にしていきたい。それこそ、お店の名前に歌詞をいただいたキンニャモニャ踊りを、みんなで踊るみたいに。
いつか、お店でみんなでキンニャモニャ踊りを踊るのも、密かな野望の一つです。(笑)」

ーーたくさんの人によって編まれ、思いもよらない模様ができて、次の結び目に繋がっていく。ちゃかぽんが紡ぐストーリー、これからも楽しみにしています!

形あるものはいずれなくなっても
想いは残って絶えることなく続いていく。
この場所が皆さんにとっても
ほっと落ち着いて大事な「わたし」に還れる
ささやかな縁の結び目のひとつになりますように。
今日も港のほとりで、温かいごはんと一緒にお待ちしています。

Writing:島猫工房 Soneko

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