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雑文は何の役にも立たない

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#雑文

故郷の代わりだった場所のこと

故郷の代わりだった場所のこと

故郷を持たない私には、
たとえば生家が取り壊されたり、天災によって帰る場所を失ったりする辛さはわからない。

幼少期から各地を転々としていた。
出会う友達や土地とは、愛着を抱いたが最後、もれなく別れが待っていた。
幼いながらに抵抗したような記憶もあれど、そのうち、諦める癖がついた。

だがしばらく生きているうちに、
愛着のある場所と出会う機会に恵まれた。

そんな私にとって特別で、最も愛着のある"

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頬を殴る芸術ー自己破壊、自己変革としての勉強

頬を殴る芸術ー自己破壊、自己変革としての勉強

学ぶことは常に恐ろしい。
今この瞬間知り得ることによって成り立つ自分自身を乗り越えないことには、
新しい可能性に目を開くことは不可能だ。

古い皮を脱ぎ捨てることでしか自由になれない、という感覚は年々強くなる。

先日、ケンタッキー州ルイビルで、
デモの最前線に列をなし、Black Protestor達を守るように立ちはだかる白人女性たちの写真を目にした。

"This is what you d

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カフカはピラティスをしていたか/dance tight/踊れない身体

カフカはピラティスをしていたか/dance tight/踊れない身体

踊れない身体を何十年も、持て余している。

悲哀と諦念と嫉妬が詰まった、血を抜くことすら許されない腐りかけの身体が残念で、すぐにでも手放したいと日々感じている。
だから、というわけではないが強烈に身体性そのもの、あるいは身体という表象の可能性に惹かれてperformance theoryを専門に選択した。(と、今となっては思う)

動、の肉体/身体。
静、の肉体/身体。

いずれも

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いい曲

いい曲

"いい曲"とは、人の変化、変容、進化、進歩…を許容する曲だと考える。

"いい曲"は、演奏するたびに、あたかもその曲の演奏が開始された時点で"初めて演奏する身体が生成された"かのように、わたしたちに"生き直す"許可を与えてくれる。

入力と出力が同時に-しかも同出力で、とどのつまりグルーヴが発生しうる状況で-生成するその地点にそっと、曲のコアがあり、自身の身体と楽器という"器"を通じてそこ

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久しぶりのレッスン

久しぶりのレッスン

1年と少しあいたレッスン。
新しい曲の準備もしておきつつ、結果として過去に取り組んだ曲の録音に時間を費やした。
声や雰囲気にぴったりの、素敵なアレンジをしてきた曲。

自分の体をコントロールして、曲を作り上げる体験は何事にも変えがたい。そんな経験の伴走ができて嬉しい。

曲がりなりにも先生なので、意義があったと思ってもらえるようなことを言ったりもしたいのだが、
何しろすべての生徒さんのファンになっ

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波を見極めるべきか否かの結論は今はまだない

波を見極めるべきか否かの結論は今はまだない

泣く泣く手放してきたものさえも、潔く忘却の彼方に追いやることができるようになった。

これは現代社会にチューニングを合わせ、人間社会に自身の一部を留め置くための工夫でありスキルだと考える。

留め置くというのはとどのつまり委ね頼るrelyということ。社会が reliableかのようにみえていた時代は過ぎ去ってしまったので、留め置かれていた自身の一部が今はもはや不健全にも支柱の代替となり果て、
糸の

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