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人工甘味料は減量に効果なし。むしろ病気リスクが高まるデータをWHOが発表

8月もいよいよ終わりを迎え、朝晩は少し涼しさも感じられるようになってきましたね。今年は猛暑日が続き、外出を控えて屋内で過ごす時間が多かったのではないでしょうか。また、熱中症対策で清涼飲料水を多く飲んだり、汗をたくさんかいて冷たいビールやお酒がいつもより増えてしまった方も多いはず。
夏場は痩せやすいイメージがありますが、気温が高い分、体内での熱の代謝量が減り、むしろ気温の寒い冬よりも基礎代謝が落ちる時期でもあり、太りやすくなります。また冷たくて甘いものの消費量も増え、それらも太りやすくする要因になります。

【カロリーオフ、糖質オフの落とし穴】

ダイエットや体重維持のためにカロリーゼロの人工甘味料を使用した飲料や食品を選ぶ人は少なくないでしょう。今年は夏の暑さが原因で甘味料や冷たい飲食が増え、そのためにカロリーオフの表示の製品を意識的に手に取った方もいらっしゃるはず。
先月のNewton(8月号)にカロリーオフの製品に使用されている人工甘味料に関する興味深い記事が掲載されていたので今回はそちらを紹介いたします。

WHOでは人工甘味料のような食品添加物は、その使用にあたり安全試験が行われており、体に対する安全性は担保されています。
※ただし一部安全性を完全に担保できないものも含まれます。WHOが2023年7月に、人工甘味料の一つであるアスパルテームは発がん性の可能性があると発表しています。ただし、体重1kgに対して40mg /日の摂取量に関して、専門家は今回の評価を受けて直ちに変更する必要性はないとしています。危険度が逼迫しているわけではないものの、確実な安全性を謳えないものも含まれますので、掲載内容の表現にはご理解ください。

WHO、IARC(国際がん研究機関)によるとアスパルテームは4段階中下から2番目の2Bに指定


これまで「人工甘味料が長期的にみて、体重管理に有効かどうか」や「長期間にわたり人工甘味料を摂取することが健康に影響しないのか」といった点について、専門家の中では意見が一致していませんでした。
そこでWHOはこれまで発表されてきた人工甘味料を含む「非糖質系甘味料」に関する様々な研究を体系的に調査し、2023年5月に新たなガイドラインを策定しました。

そして、その結果は、

・長期的な体重減少効果はない
・非感染性疾患のリスクが上昇 ※糖尿病を除く

ということが、283件の研究・調査をもとにした分析結果が明らかとなりました。

【体重減少効果がみられず、病気のリスクが増大する】

一つ目は体重と肥満度(BMI)に関して。
BMIは肥満度を判定する国際的な指標で、「体重kg ÷ (身長m)2」で算出され、日本では25以上、WHOの基準では30以上が肥満だと判断されます。
3ヶ月という短期的な実験では非糖質系甘味料の摂取により体重、BMIを減らす効果があるものの、6ヶ月〜18ヶ月の長期実験では体重、BMIを減らすどころか上昇させてしまう結果となり、長期的には減量、健康維持効果がないことが分かりました。

二つ目は病気のリスクとの関連性についてです。
こちらも分析の結果、長期にわたる非糖質系甘味料の使用によって、脳梗塞などの脳血管障害、2型糖尿病の発症リスクが2〜3割、高まることが示されました。
ちなみに、調査された研究はどれも非糖質系甘味料の摂取量が1日あたりの許容摂取量内で収まっていることも確認されており、決して糖質の過剰摂取によるものではないことが証明されています。

【甘味料の分類】

非糖質系甘味料は2種類に分けられます。
植物から精製される「ステビア」のような天然甘味料と、化学的に合成によって製造される「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」と」いった人工甘味料です。
非糖質系甘味料は砂糖の数百倍の非常に強い甘さがあり、それらは体内で分解されることなくそのまま体外に排出されます。

https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=2062から図を転用


【腸内細菌が病気リスク上昇に関係している可能性】

人工甘味料がなぜ病気リスクを高めるのか。
糖尿病や肥満のメカニズムに詳しい総合健診推進センター長の
宮崎医師は、
「人工甘味料は消化されず腸まで辿り着き、腸内細菌に何かしらの影響を及ぼすと言われています。それをきっかけとして生じた体の反応が正常な血統コントロールを失い、耐糖能異常や動脈硬化、血管の異常となってあわられると考えられます」と述べています。
腸内環境は人それぞれ指紋のように多様なため、それゆえに起こる症状や反応も異なると推測されます。
また、2022年8月にはイスラエルの科学者たちが、これまで人工甘味料と人間の糖尿病との関連を実験用のマウスでしか証拠は示されていなかったことに対して、同様の試験を人間で行ったところ、人工甘味料は人間の腸に住む細菌の働きを妨げるのみならず、食後に血糖値を下げにくくする可能性があることが判明し、血中にブドウ糖が長く留まるほど、糖尿病、心血管疾患、慢性腎臓病のリスクは高くなることを、学術誌「Cell」に発表されたようです。


【正しい健康管理を】

若い男女もお年を召した方でも、体重管理が気になる方は多いはずです。
ついつい目先の体重や体脂肪に目が行きがちになって、「カロリーオフ」の魅惑の言葉に、商品に手が伸びてしまうのは当然と言っても過言ではありません。現代社会では、「健康に良い」といわれている商品やサプリメントで溢れています。にも関わらず、糖尿病や循環器系の疾患も減るどころか増加の一途を辿り、毎月のように病院に通いお薬に頼る患者さんが多いのも事実です。
健康を謳う商品やサプリを活用してセルフメディケーションを実践することはとても大事ではありますが、多角的に情報を集めて、本当の体に必要なものは何なのか正しい判断をすることが何よりも大事です。
今回のWHOの発表によって、人工甘味料の性質の一面が明らかになったことは、健康な商品といわれているものに対する今後の向き合い方に、大きな警鐘を鳴らしてくれるものだと思います。
この記事を読まれた方で、もし身近にカロリーオフ、糖質オフを積極的に活用しているご友人、ご家族がいたなら、
『こういう情報もあるんだよ』
ということを伝えてもらって、今後の向き合い方を考え直してもらえると良いですね。
美味しいもので溢れているこの時代において、決して簡単ではありませんが、できるだけカロリーオフや低カロリーに頼らず、自然の甘味(果物や野菜)に慣れ、適切な栄養とカロリー摂取を心がけること大切にしていってもらえると嬉しいです。

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