生理_Fotolia_59006129_S

【生理痛】〜生理は女性の健康のバロメーター〜

多くの女性が経験したことのある生理痛。

「生理痛はみんなあるし、あって当たり前!」
なんて思っている方はいませんか?

生理は女性にとって健康のバロメーターです。生理痛がある、レバー状の塊がある、血の色がくすんでいて暗い、といった状態をほおっておくと婦人病の原因になることもあります。

【正常な生理とは】

良い生理は、痛みなし、色は赤色、塊なし、サラサラ、であること。
血液の流れが悪いと酸素と栄養が運ばれないために血の色は黒っぽくなります。また、きちんと剥がれなかった内膜が残り、それが次の生理に塊となりでてきます。生理の時に血の色がきれいな赤色であることが正常ですが、茶色っぽい、黒っぽい、ワイン色っぽい、という場合は瘀血があるサインです。
女性の病は「血の道の病」と言われます。血の道を整えることこそ、女性特有のトラブル改善には欠かせない重要な点になります。うまく生理と付き合うことで自分自身の健康を管理することができると言っても過言ではないのです。


【痛みは”ここに十分な血が流れていませんよ”という体からのサイン!】

「痛み」は体の中で悪いことが起こっていることを教えてくれる、体を守るための生体の反応といえます。中医学では、
「通じざれば、即ち痛む」
といい、瘀血(オケツ/血液の滞り)がある場所には痛みが生じると考えます。これは生理痛に限らず、慢性の頭痛、腰痛・関節痛、肩こりなどにも同様なことが言えます。
骨盤内の瘀血状態が強くなると生理痛が起こりやすくなりますが、血流が悪くなる原因にはいくつかあります。飲食の不摂生などによって血液がドロドロしている場合もあれば、ストレスによって血管が収縮し、流れが悪くなっている場合も。また、貧血気味で血の量が足りなくても流れは悪くなりますし、疲れやすい体質で、心臓が血液を送り出す力が弱くても流れがわるくなります。

中でも生理痛の原因として一番多いのは「冷え」によるもの。
生理は妊娠のための準備として赤ちゃんが眠るための子宮内膜のベッドを作りますが、妊娠しなかった場合、生理として内膜を排出します。この時子宮内膜が冷えていると、この新陳代謝がうまく行われず、子宮内膜が排出されにくくなります。すると、子宮内膜をはがそうとして子宮は痙攣を起こします。これが生理痛のしくみです。
生理の時にお腹や臀部にカイロを貼ると生理痛が和らぐのは、温めることによって子宮内膜がうまくはがれやすくなるからです。

冷える原因は、元々体を温める力が弱い方、血液が少ない、冷たいものや甘いものの摂りすぎ・薄着などで冷やしている、加齢、筋力低下、などが考えられます。

【冷えタイプは温かいものを口にして!常温も体温を下げる】

冷えは寒くなる冬場だけではなく、一年中、自らが冷えを生み出しているケースが多くみられます。

『子宮はとっても冷えに弱い臓器』

冷たいものは摂らないようにし、常に温かいものを摂るように心がけましょう。
常温も体温よりは温度が低いので、できるだけ、「体温以上」がポイントです。冷蔵庫がなかった時代は、冷えたものが体を冷やすとされていました。冷えたものとは常温のことですね。しかし、今は、冷たいもの=冷蔵庫に入ってたもの・氷が入っているもの・凍っているもの、という認識が多いようです。常温の水でも頭からかぶると冷たく感じ凍えてしまいます。内臓も同じように感じていてもおかしくありません。

冷蔵庫から出してすぐの飲み物、氷を入れた飲み物にはいつも気を付けている、という方でも、冷蔵庫にいれておいた残りのおかずをそのまま食べる、豆腐は冷奴で薬味をつけずに食べる、冷えたヨーグルトを毎朝食べている、など意外と口にしている場合があるので注意しましょう。

特に、夏は暑いため体を冷やす傾向にあります。内臓が冷えることを中医学では ”内寒” いといいますが、冬よりも体の内部は冷えていることが多いので、暑い時期こそ冷えに注意した生活を送るよう気をつけましょう。
暑い時期はどうしてもエアコンを使用しなければいけないことも多いですが、そういう時は、ゴム製の湯たんぽをお腹の上や腰に当てて子宮の周りだけでも温めておくと良いですよ。私は主人と体感温度が異なるので、エアコンをつける場合は、夏でもお腹に湯たんぽを使用します。沸かす温度で優しく温めることもできるし、ゆっくりと冷めていくのでやけどすることもありません。ゴム製であれば腰やお尻の下にも敷けたり、お腹の上にも置きやすいですし、生理痛の酷い方は年間通して使用することをお勧めします。

また、夏だからといってシャワーで済ませずに、半身浴などで子宮周りの血行をよくしたり、デスクワークの方はこまめに動いたりストレッチなどをして骨盤内の血行をよくすることもよいですよ。

○冷えによい食材:ねぎ、にら、羊肉、エビ、なまこ、黒砂糖、うど、シナモン、くるみ等
冷えによい生薬:肉桂(ニッケイ/シナモン)、乾姜(カンキョウ/乾かした生姜)、薤白(ガイハク/らっきょう)、艾葉(ガイヨウ/よもぎ)、鹿茸(ロクジョウ)、杜仲(トチュウ)等

○冷えの中には、血液が少ない「血虚(けっきょ)」体質の方が多くみられ、このタイプは、
・生理の血の色が薄い
・量が少ない
・生理中または生理の後に腹痛がある 
などの傾向があります。それ以外にも、
・夢を多く見る
・眠りが浅い
・爪が割れやすい
・髪が抜けやすい
・立ちくらみがある
なども特徴。血液検査で貧血と言われていない方でも、このような症状があれば、実質機能する血液が少なく足りていないと考えた方がよいです。生理があり、定期的に血液を排泄しなければならない女性には血虚は起こりやすい体質です。

血を増やす食材:人参、ほうれん草、黒米、落花生、ぶどう、いか等
血を増やす生薬:当帰(トウキ)、熟地黄(ジュクジオウ)、阿膠(アキョウ)、龍眼肉(リュウガンニク)、何首烏(カシュウ)、百芍(ビャクシャク)等

【ストレスも生理痛に深く関与】

ストレスや精神の疲れ、気の使い過ぎなどによって気の巡りが悪くなることによってもオケツが強くなります。気の巡りが悪い方の特徴は”張る”という症状です。
・生理前に胸が張る
・腹部膨満感がある
・下腹部が張る
・脇が張る

というように、張って痛むという特徴があります。
また、
・生理の時の出血の量が少ない
・生理の血の色が黒っぽい
・血の塊が出ると痛みが和らぐ
という傾向があります。

気を巡らす食材:紫蘇、セロリ、パセリ、セリ、春菊などの香りのよい香味野菜、酸味のあるもの、柑橘類の皮、エンドウ豆、蕎麦、ジャスミン等
気を巡らす生薬:陳皮(チンピ)、木香(モッコウ)、香附子(コウブシ)、枳殻(キコク)、薤白(ガイハク)等


【漢方薬と養生で鎮痛剤を最小限にコントロール】

生理痛に対して痛みを我慢したり、痛みのコントロールのみしている場合は、子宮筋腫や子宮内膜症、不妊症などを招く恐れもあるので、早くから症状改善に取り組むことが望まれます。また、痛みがひどく仕事や生活に支障をきたすためにどうしても鎮痛剤を使わざるを得ないという方も多くいらっしゃいます。痛み止めを飲んで痛みだけを止めた場合、子宮内膜は子宮内に残りやすくなり、ますます骨盤内の鬱血は進みます。急に外すことは難しいと思いますので、できる限り最小限の量でコントロールできるように、漢方薬と生活養生をうまく合わせていくと徐々に減らしていけることが多いです。しかし、時には酷い内膜症があるなど、背景に程度の重い疾患が隠れている場合がありますので、あまりにひどい場合はきちんと病院で検査を受けましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?