じゅり

オリジナルストーリーと、エッセイ、お手紙の3種類 の「想いを伝えるストーリー」を書いて…

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オリジナルストーリーと、エッセイ、お手紙の3種類 の「想いを伝えるストーリー」を書いていきます。 ファンタジー大好き。一番好きなお話しは「霧のむこうのふしぎな町」。 応援お願いいたします。 (HP)https://chiisana-fushigi.jimdofree.com/

マガジン

  • 実話をもとにしたエッセイ集。

  • オリジナルな創作童話集。

    わたしが制作した童話系のお話をまとめています。

最近の記事

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こねこの子守唄

「ふぁ~。う~ん!よく寝た~。  ここは、なにもしなくても  おなかいっぱいにごはんをくれるし、  雨も全然あたらないし、いつでも暖かいし  本当に楽ちんな場所だなぁ」 小さな子猫はその小さな口で 大きなあくびをしてから 子猫用のお布団から飛び出して 大きな窓辺にやってきました。 窓ガラスに映る自分の姿にちょっと驚いてから、 恐る恐る外を眺めます。 外はいつの間にか真っ暗になっていて、 いつもはにぎやかな声もまったく聞こえません。 遠くの空には、キラキラと金色に輝く

    • 虫さんのお知らせ

      私は虫が苦手だ。 どれくらい苦手かというと、発見すると動けなくなる。 蛇ににらまれたカエルになる。 つまり、心理的力関係は”虫の方が上”だ。 なんでこんなところにいるんだおまえは~!! と 心の中で悪態をつきながら、 絶対に目を離さずに主人を大声で呼ぶ。 どんなに喧嘩していても主人を呼ぶ。 喧嘩に負けるプライドなどなんてことない。 だって、力関係は虫が蛇で私がカエルだから。 背に腹は代えられない。命がかかっている・・・メンタルの。 そういう意味では、 夫婦円満のあ

      • 夫婦のカタチ

        夫婦ってどうすれば良いのかな・・。 私は鏡に映る自分の顔をじっと見て 所在なげに前髪を直しました。 そしてまた、大きく息を吐きだします。 --------------------------- 夫婦とは、元々血のつながりのない赤の他人です。 その他人と、生まれてから大人になるまでの間で 出会う誰よりも同じ時間をともに過ごし、 そして、血を繋ぐ家族となる。 すごいことだなと思うのです。大変なことだと思うのです。 実際、この広い宇宙の中から、 たった一人のパートナーと

        • わたしの小さな宇宙

          「もうイヤだ・・・。」 日が傾き、自分の細長く伸びる影ですら憎らしく感じる。 進むのが怖い。 この先にあるのは、闇か安定した生活か。 先がわからない。これは夢追い人の宿命か。 夢という甘美な時間と 見えない先を追う苦しさと 天国と地獄のような精神状態を繰り返している。 じんわりとにじんで ぼやけた靴をじっと睨んで足を止めた。 ぽたぽたと夕立ちのような音をたてて、 足元が見えなくなっていく。 今自分には足元も見えない。進む足が見えない。 先を見ることがぐっと遠ざかった

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        こねこの子守唄

        マガジン

        • 実話をもとにしたエッセイ集。
          2本
        • オリジナルな創作童話集。
          5本

        記事

          自動販売機のお話

          毎日通っている道なのに 今まで全く気がつきませんでした。 見てはいたのでしょうが 普通の自動販売機だと思っていたのです。 たまたま喉が渇いたなと、 辺りを見渡したときに近くに見つけたのが この自動販売機だったのです。 お茶が欲しいなと思って見てみましたが お茶がありません。 それどころか知っている飲み物が一つもありません。 コーヒーもお茶もジュースも。 そしてペットボトルすらありませんでした。 あったのは缶のみです。  「なんなんだ、これは」 缶のラベルを見て思わ

          自動販売機のお話

          雨の香り(エッセイ)

          思いきり息を吐きだしてしまったから、ツンとした雨の匂いがダイレクトに鼻に入ってきてしまった。 むせてしまって咳き込む。 それでも娘は泣き止まない。 傘の向こうに見える雪に変わりそうな暗い空をちらっとみて、抱っこひもの中で泣き続ける娘に巻き付けた毛布をぎゅっと巻き付きなおした。 肩にくいこむバッグの中身は、日に日に増えている。 いつでも家を飛び出してもいいようにと考えているうちに、お泊りバッグくらい大きくなってしまった。 あやしても、ゆすっても泣き止まない。 真っ赤な顔で小

          雨の香り(エッセイ)

          ちいさな桜の木

          川沿いに沿って咲く何百本もの桜並木が有名な町がありました。 その桜並木の中に一本だけ、 とても小さな桜の木がありました。 枝が折れ、今にも地面にもたれかかりそうになっています。 満開の見事な桜並木に隠れて、 ひっそりと痛みに耐える その小さな桜の木に気づく者は誰もいません。 しかし、そんなある日のことでした。 この町に住む一人の少女が通りかかります。 少女は辛そうな桜の木を見つけて、 急いで家に戻り包帯を持ってきました。 そして折れた枝を包帯でぐるぐると巻き、 優しく枝を

          ちいさな桜の木

          時計の涙

          寂れた海辺の町の大きな広場に一本の大きな時計が立っていました。 昔からこの場所に立っている時計で、強い海風にも負けずにどんなときでもまっすぐに立ち、そして、正午になると町中に響き渡るくらい大きくて澄んだ美しい鐘の音を響かせることができる立派な時計でした。 時計の前には毎日たくさんの人が集まってきます。 待ち合わせをする人、広場で遊ぶ親子、たくさんの子供たちに、観光客、そして美しい海を前にプロポーズする人もいました。時計はどんな人にも、昔から変わらないきっちりとした歩みで時を刻

          時計の涙