【創作】紫式部は身を退いてたからこそ、源氏物語ができた?!
社会とは少し距離を取ること。
それが良い物語創作には大事。
そんな話を読み、
思わず、溜飲が下がりました。
河合隼雄と村上春樹が対話した
対談本『村上春樹、河合隼雄に
会いにいく』新潮文庫。
この中で、二人の話は、
平安時代にうまれた
『源氏物語』の話題になります。
河合隼雄
「男のほうは組織に全部組み込まれているでしょう。女性のほうも、身分の高い人はその中には組み込まれているのですが、そこに仕えている紫式部やらはものすごい自由人でしょう。
あのころの物語はほとんど女性が書いていると思うのです。
まず、男性が書いているのはないのじゃないか」
村上春樹
「というのは、彼女たちが社会システムからひとつ身を退いたところにいたということですね」
河合隼雄
「ある程度はなれていて、そして時間もある。ある程度カネもある。みんなある程度ある。
そして、がんばれば自分の地位が上がるということは絶対にない。
そういうところにいて、頭もいいから、物語のほうへ力を注ぐことができたのではないか」
紫式部が物語を書けた背景には、
頑張れば自分の地位が上がることは
絶対にないこと。それが重要。
だから、社会システムに参加し、
そのシステムの中で、
すったもんだしていては、
物語は書けなかったろう、
と、河合隼雄は語り、
村上春樹も賛成している。
そういえば、
国会議員であまり
小説を書いているという事例は
なぜか聞かないですね。
起業家の人で、体験話は別にして、
フィクションとしての物語を
書いたという例はなかったかなあ。
社会システムから
身をひとつ退いているからこそ、
人間の本質や混沌がよく見えるからか。
付かず離れず、という言葉もありますが、
身をひとつ退いておくことで、
創作に必要な要素が
心内に誕生するのでしょう。
いわゆるキャリアなども無縁。
その距離感が大事になる。
これは、また、
家族や友人や恋人となど、
人間関係でも同じことが言えそう。
がむしゃらに頑張り、
自分のシステム内の地位を
上げようとしたら、
物語の創作は、きっとできない。
うーむ。
大事なポイントを
二人から教わった気がします。