見出し画像

【世界文学】モーム『世界の十大小説』のセレクトに驚く!

『世界の十大小説』。
岩波文庫、上下巻。
書いたのは、イギリスの20世紀の文豪、
サマセット・モーム。

十大小説。
つまり、世界文学ベスト10、
という訳ですが、
早速、ランキングを見てみましょう。

①ヘンリー・フィールディング『トム・ジョーンズ』

②ジェイン・オースティン『高慢と偏見』

③スタンダール『赤と黒』

④バリザック『ゴリオ爺さん』

⑤ディケンズ『デイヴィット・コパーフィールド』

⑥フローベール『ボヴァリー夫人』

⑦ハーマン・メルヴィル『白鯨』

⑧エミリー・ブロンテ『嵐が丘』

⑨ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

⑩トルストイ『戦争と平和』

モームが、このベスト10リストを
アメリカの出版社から
依頼され書いたのは、1940年代。

その後、単なるリストではなく、
一つ一つに解説文を書き、
1冊にまとめました。
それが『世界の十大小説』。
1948年発売。

正直、上記のモームのセレクトは
今の私たちには、至って平凡、
至って見なれたものですね。 
今さら?という顔になった方々も
おられるでしょう。

でも、そんなリストを
アメリカの出版社が
モームに依頼していたんです、
1940年代には、まだ!
つまり、世界文学とは
どんな作品群なのか?
まだ基準はなかった訳ですね。
随分最近まで、基準が
できていなかったなんて?!

1940年代にはまだ
世界の文学ではこれを読め!
という定見はなかったんですね。

その後、日本で
世界文学全集といえば、
こうしたセレクトが
揃うようになるのですが、
モームのリストは
そんな文学ベストセレクトの
基準の一つになっていったんですね。

この『世界の十大小説』は
もう一つ、ある見解を備えている。
それは作品の理解には、
作家自身のプロフィールや
エピソードや生活スタイルを
深く理解することが大事だ、
という信念です。

この考え方に反対するのが、
作品は作家から独立して在るべきで
作家のプロフィールなどの
理解は不要、時には妨げになる
という考え方です。

どちらが正しいか、
私個人は、モームの考えを
支持してしまいます。

なぜこの作家はそんな書き方を
するのか?疑問になるなら、
プロフィールを調べたくなるのが 
ナチュラルではないでしょうか。

ちなみに、
このベストランキング、
みなさんは、どうでしたか?

残念ながら、
プルースト『失われた時を求めて』を
モームはこのベストに入れるか
相当に悩みに悩んだことを
序章で書いていました。

それが実に優柔不断な感じで
笑いを禁じ得ませんでした。

トルストイも、
『戦争と平和』にするか
『アンナ・カレーニナ』にするか
大いに迷っていたのも、
なんだか決断力に富んだ
モームらしくなくて笑えました。

今なら、やはり
プルースト『失われた時を求めて』は
やはり入れるべきでしょう。

ジェームズ・ジョイスや
カフカ、
スコット・フィッツジェラルド、 
フォークナーなども入るべきか。

ベスト10なんて、
セレクトする人によって
中身はみんな違うものになりそう。

ちなみに、大変僭越ながら
私ならどんなセレクトになるか、
チャレンジしてみたい。

何より、日本文学から
せめて1冊は入れたいな。

①サリンジャー『ライ麦畑で捕まえて』

②トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』

③サン=テグジュペリ『星の王子さま』

④ヘミングウェイ『老人と海』

⑤三島由紀夫『金閣寺』

⑥ドストエフスキー『罪と罰』

⑦安部公房『砂の女』

⑧ガルシアマルケス『百年の孤独』

⑨カズオ・イシグロ『私を離さないで』

⑩村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』
 
私の世界文学ベスト10は、
こうしたところでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?