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【ブックセレクト】恋愛とは何か?考えてみたい人におすすめの本は?

妄想によるブックセレクト。
今回は、恋愛に関する本が
読みたいと、28歳の女性から
依頼があったとして、セレクトに
挑戦してみようと思います。

これはなかなか難しい(笑)。
私はここ10数年は恋愛小説は
読んでないからなあ…。

でも、やってみたいと思います。
私自身もこれで刺激をもらえそうです。

恋愛の本というと、真っ先に
恋愛小説が思い浮かびます。
古典でいえば、
恋愛小説の王様は
フランスの作家スタンダールの
『赤と黒』でしょうか?
そういえば、スタンダールには
『恋愛論』もある。
19世紀の作品だから、
ちょっとピンと来ないかも…。

ああ、そういえば、
恋愛論ではエーリッヒ・フロム
『愛するということ』も
忘れてはいけなかった。
最近また翻訳の改訂版が
書店に並んでいますね。
紀伊国屋書店、1430円。

恋愛は論じるものかどうか、
落ちるものではないか?
という疑問もありますが、
精神機能の一面として、
恋愛は論じても良しかなあ。

もう1つ忘れ難いのは、
イギリスのエミリー・ブロンテ
『嵐が丘』でしょうか?
こんなに愛することに不器用で
愛することにまっすぐな作中人物は
なかなかいないと思うんです。
愛することの良さと苦しさを
両方しっかり描かれています。
これも19世紀ですっかり古典ですが、
最近、現代的な名訳が出ています。
鴻巣友季子さん訳、新潮文庫、990円。

日本ではどうでしょうか?
個人的には、夏目漱石の『それから』は
くるおしいほど切ない恋愛小説に
思えるのですが、漱石の専門家たちは
これを恋愛小説と呼ぶのに賛同してくれるか
どうか?微妙なところでしょうか。
昔の男性作家の作品は基本的に
女性がうまく丁寧に書かれているものが
本当にまあ少ないです!
『それから』も女性の描写は、
今の女性には物足らないでしょう。

現代の作品ですぐ思い浮かぶのは、
宮本輝『錦繍』でしょうか。
以前も何かの時に
セレクトしてしまってるけど、
名作だからなあ。
それに、手紙が往復するやり取りは
心の機微が非常に丁寧に
描かれていて、ジンと来る。
新潮文庫、572円。

恋愛を題材にと書いてはみたけれど、
今の時代に、男女の恋愛だけに
セレクトが偏るのはおかしいですよね。

男女ではない、もっと違った
愛の形を描いているのは、
小川洋子『博士の愛した数式』。
新潮文庫、649円。
家政婦さんと依頼主?
雇用主と家政婦さんの子供?
お母さんと子供?
どの関係性も鮮やかに描かれた
小川洋子の代表作です。

あ、そうえいば、
江國香織さんの初期短編集
『つめたいよるに』はどれも
数ページでサクサク読めるけど
謎の少年が登場する『デューク』は
何度も読める美しい傑作。
まだ未読でしたら、いつかぜひ。
本当は江國香織といえば、
『きらきらひかる』を紹介して
ゲイ同士の恋愛小説も
まじえたかったのですが、
今回は『つめたいよるに』で。
新潮文庫、572円。

それから、個人的に大好きな
小説を最後に挙げたいと思います。
太宰治の筆力が安定した中期に描かれた
スイートな掌編小説『満願』です。
結核で辛抱している夫婦に訪れる
甘く切ない物語です。解釈が分かれる
作品でもあります。
新潮文庫『走れメロス』に収録。440円。

さあ、これでトータル4653円です。
どうでしょうか?
いわゆる「ザ・恋愛小説」ではないのも
含まれていて、がっかりした方も
いたかしら?
うーむ、すいませんねえ。
それはまた今度、ということで。

『愛するということ』エーリッヒ・フロム
『嵐が丘』ブロンテ
『錦繍』宮本輝
『博士の愛した数式』小川洋子
『つめたいよるに』江國香織
『満願』太宰治

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