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【読書】ドキュメント…なぜ昨日は10冊も買ってしまったのか?

きのうはどうかしていた。
10冊も文庫を買ってしまった。

まず、お昼にコーヒー飲んでた
岩波書店系列のカフェで。

今月の岩波の新刊文庫が
なかなか良かった。

1冊は『吉本隆明詩集』。岩波文庫。
2冊目は、岩波が推してる作家
佐藤正午のエッセイコレクション
『かなりいいかげんな略歴』。
岩波現代文庫。

それから、そばにあった
佐藤正午
『彼女について知ることのすべて』。
光文社文庫。

吉本隆明といえば、
評論家であるけど、
出発は詩人だったんですね。
その詩集は貴重だ。

と、この1店舗めで、3冊も。

さて。古本屋をブラブラしてたら
また岩波現代文庫で、
ジブリの名監督で、
宮崎駿の良き片腕でもあった
高畑勲さんのエッセイ集
『アニメーション、折りにふれて』
岩波現代文庫を、
ばったり、見つけてしまい、
定価よりうんと安かったので
買ってしまいました。

さて、ここで、すでに4冊。

頭の中には、
この辺りから、
夏といえば、終戦記念日、
戦争文学を体が欲しがってきた。

それで神保町交差点の
小さな書店で『黒い雨』を
買ってしまう。

『黒い雨』新潮文庫は、
原爆文学として今もまだ
よく知られていますよね。
でも、原民喜の
『夏の花』新潮文庫は
最近、ちょっとずつ、
忘れられつつある。
実際、交差点の書店には、
原民喜の原爆文学は
もう置かれてなかった。
哀しい気持ちになり、
大きめの書店に行くことにした。

東京堂書店には、
やはり原民喜の『夏の花』は
しっかりあった。
ホッとして買うことにした。

さて、これで6冊は買っている。

どうも、これで帰れば良かった。
で、帰ろうともしたんですよ。

レジを済ませ、
帰ろうとするんだけど、
なんだか、うしろ髪をひかれる
何かを感じてしまいました。
書店の本棚から
悪魔の?本屋の?ささやきが
やまないのでした。

それもそのはず。
まだ、7月の新刊コーナーに
行っていなかった。
そこからの念力が私に
届いてきていたのです。

でも、なぜまたきのうは
引力が強かったのだろう?

それは、見に行って 
すぐに分かりました。
私の読書的ライフワークである
敗戦もの、戦争ものが、
8月15日の終戦記念日に合わせ、
新刊コーナーの半分は
戦争ものが並んでたから。

最初は、それは今度にしよう
と考えたり、帰りかけたり
したんですよ。

でも、さて中身をチェックだけは
しておこうか、と手に取ったんです。
1冊は、戦争ノンフィクションを
手掛ける名手、堀川恵子さんの
『暁の宇品』。講談社文庫。
堀川恵子さんが手掛ける
戦争ノンフィクションは
どれも当たりが多い。
帯にはこうある。
「大佛次郎賞」受賞とあり、
さらには「なぜヒロシマに
投下されなくてはならなかったか」
突き止めようとした本とわかる。
まあ、堀川恵子さんの
ノンフィクションなら、
まず確実に買ってきたし。
期待しかない。

それから
『長谷川四郎傑作選』が
ちくま文庫から出ている。
長谷川四郎は
シベリアに捕虜になり、
九死に一生を得た作家だ。
村上春樹が日本戦後短編集の 
魅力や構造を解説した本にも 
長谷川四郎は
取り上げられているくらい
知る人ぞ知る伝説の作家。
なかなか文庫で長谷川四郎の本が
少なかったので、
よくよく迷ったけど買うことに。

戦争ものでは、
『台所に敗戦はなかった』
ちくま文庫。
エッセイストの魚柄仁之助が
敗戦後の貧しい時代に
当時の女性雑誌のレシピを
再現し、食べ、
敗戦下でも、日本の食事情は
たくましくあったことを
実験しながら書いている。

戦争ものと言っても、
婦人雑誌のレシピから
戦争に迫ろうとする、
そんな手があったかあ、
と感心しきり。

さて、これで帰れば良かった。
で、そろそろ帰ろうとして、
本がもう1冊、囁いてくる。
最近の韓国文学で
ベストセラーになった
『アーモンド』が文庫になっていた。
祥伝社文庫。
韓国文学には、アンテナを
よく張らねば、と日頃から
考えているので、これもまた
買わないでいる訳にはいかない。

それにしても、
7月の新刊文庫がこんなに
豊作なのには、訳がある。
やはり、戦争ものが一番出る
時期なんですよね。
8月も上旬までは、
戦争ものがどんどん出る。

これが、9月になると、
戦争ものはぱたりと出なくなるから
哀しいなあ。

ああ、昨日は本当に
本屋めぐりを満喫しました。
ちょっと?いや、かなり贅沢しました。

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