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【作家】読まずに過ごせる?過ごせない?大江健三郎問題!

「この作家は読まなくても
生きていける…」
「この作家は読まずに
生きてはいけない…」
そんな言い方があるとします。

この作家は読まなくても
生きていける、、、、
よほどの作家でも、
本当のことをいうと、
読まなくても生きていけます(笑)。
ただ、それは損してるよ、
せっかくの人生、
生きていて、
その作家に触れないのは
もったいないよ、
本好きな人なら、
そんな作品や作家がきっと
何人も何作品もありますね?

で!村上春樹や
太宰治はそうした人として
読まれてると思うんですが、
大江健三郎はちょっと
そのセレクトから漏れやすい
可哀想な作家ではないかしら?

ノーベル賞もとって、
色んな文学賞をとって、
実力は凄いのに、
読まずにいられない、
大切な作家かと聞かれると、
案外、読まれていない…。

きっと大江さんは、
最初の作品集『飼育』が
今も一番読みやすいし、
読まれてるでしょう。

やっぱり可哀想だなあ…。
でも、大江健三郎が
1957年、22歳で
デビューして以来、
大江風の文体が文学青年を
虜にしたのは事実です。
あの中上健次だって、
大江風の文体でしばらく
書いていて、なんとか
その呪縛から抜けださねば
ならない葛藤に苦しみました。

60年~70年代、
大江病にかからなかった
文学青年はいない。
とにかく、大江さんの威力は
凄かったわけですが、
まあ、私も20歳前後の頃、
何年か大江さんを読まないと
いてもたってもいられない時が
ありました。

『万延元年のフットボール』
(これは村上春樹『1973年の
ピンボール』と似てますね(笑))
『個人的な体験』だけは
それから晩年三部作は、
機会があったら読むのも
悪くないと思います。

大江健三郎は、
精神障がい者(息子の光さんは
たくさんの作品にモデルとして
顔をだします)や友人の自殺
(友人というのは映画監督の
伊丹十三さん)など、
消化しやすいとは呼べない
重いテーマや要素が必ず
入っているので、
決して食べやすい口当たりでは
ないんです。
覚悟が必要になります。
でも、一度、口にいれたら
これは噛みごたえがある、
場合によってはクセになる
作家ですねえ。

それにしても。
ノーベル文学賞をもらっても
ベストセラーと呼べそうな
作品はあまりない不遇な作家。
彼の周りにはあまりに
たくさんのモチーフが
有りすぎたからでしょう?
それって、作家にとって、
本来は幸せなことで、
息子・光くんの存在や
核戦争の恐怖、
伊丹監督の自殺は
大江文学に深みを与えたのは
事実ですが、
読みやすさが求められる時代
だったことは大江さんには
不運だったなあ、と。

大江健三郎。
昭和の文学の一時期を
決定づけた作家。
読まずにいたら
ちょっともったいない。

でも、どれから入るか?
どんな時に読んだらいいか?
なかなか入りにくい、
ややこしい大江ワールドではあります。

もしお読みになりたいと
思っておられていて、
でも、まだ迷っている、、、
そんな方がいらっしゃるなら
良ければコメント欄にて
ご連絡ください。
あなたにあった大江作品を
セレクトできればと思います。
なんで、そんなことをいうのか
って?
それは大江文学を嫌いに
ならないで欲しいからです(笑)。

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