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【ブックセレクト】男尊女卑オヤジの心を揺さぶる本をセレクトしたら?

もしも、本を5000円でセレクトして
欲しいという依頼があったなら?
今回の依頼者は、女性蔑視な高齢男性。
いわゆるミソジニー男からだとします。
私は男だけど、男性らしさを子供時代から
要求されることに異常に違和感や反感を
持っていた、反マッチョ主義者。
だから、男尊女卑で女性蔑視の
おじさんたちを、その硬い頭を
柔らかくできるなら、それは本望です。

さあ、どんな本たちにしようかしら。
あまりに最初から反ミソジニー感を
出したら、男尊女卑おやじは
心を許してくれないですよね。
読書はあくまで楽しんで欲しい。
どんな本にしようかな?

川上弘美『センセイの鞄』はどうか?
男尊やら女卑やらの視点は皆無。
定年退職した国語の先生と
昔授業を受けた教え子との
奇妙なふわふわした交流の話。
個人的には大好きな作品ですが、
ミソジニーは川上弘美さんを
まず受け付けてくれるかな?
文春文庫、682円。

宮本輝はどうかしら?
往復書簡形式の恋愛小説。
『錦繍』宮本輝。新潮文庫。572円。
手紙の往復だから、
語り手は男女交替しながら進んでいく。
だから男性にも女性にも読みやすい作品。
二人は事件を元に離婚した元夫婦。
うわついた青春時代の恋愛ではない、
アラ50の、陰のある元夫婦の
久しぶりの手紙の交流は、
実に物悲しく、高潔です。

頭カチカチの男尊女卑オヤジの
頭の中をまずは少しほぐせたかな?
さて、次は何にしよう?
もう1冊くらいはまだ男性作家で
いきましょうか?
いや、そんなムダな忖度はよそう。
女はすごいんだぞ!そう痛感させられる
本でオススメなのは、
三浦しをん、角田光代、川上未映子。
この3人で一番、フェミニンな感覚が
控え目なのは、三浦しをん。
でも、男尊女卑さを打ち壊してくれるか?
それは川上未映子がうってつけか。
いや、川上さんはちょっと
ミソジニーにはフェミニズムとして
反発を感じるところがあるかも…。
ならば、三浦さんが谷崎潤一郎の
『細雪』をモチーフにして書いた
『あの家に暮らす四人の女』は
どうだろう?女性ばかりが主役だけど、
谷崎潤一郎の大作がモチーフといえば、
頭の硬いオヤジも心を開くかな?
中公文庫、748円。

さあ、今度は若手作家にしよう。
芥川賞にもなった村田沙耶香の
『コンビニ人間』はどうだろう?
今、海外でも読まれてる作品で、
しかもとても薄いからすぐ読める。
文春文庫。638円。

今で、682円、572円、748円、638円。

次は海外もの。
女性について、女性とは何かについて
色々と考えさせられるのは、
19世紀イギリスの作家、
ジェイン・オースティンの
『自負と偏見』はピッタリでは?
まだまだ封建的なイギリスで、
格闘した女性のみずみずしい話。
新潮文庫。1045円。

もう1つ海外もので外せないのが
19世紀ロシア文学で
とても女性の内面に精通した作家
チェーホフはどうかしら。
チェーホフの短編小説
『かわいい女・犬を連れた奥さん』
新潮文庫、572円。

さあ、男尊女卑の考えを
粉砕させるとっておきの一冊が。
声高に男女同権とは言わなかったけど
いつも女性の苦労多き人生を短く
語ってくれた詩人、石垣りんさんは
さりげなくミソジニーの心を
打ってくれるにちがいない。
ミソジニーは受け付けにくいかな?
『石垣りん詩集』岩波文庫、814円。


今回のセレクトは以上です。
さあ、これを読んで、
男尊女卑の考えがちょっとでも
揺さぶられたなら目的は達成かしら?

川上弘美『センセイの鞄』682円。
宮本輝『錦繍』572円。
三浦しおん『あの家に暮らす四人の女』
748円。
村田沙耶香『コンビニ人間』638円。
ジェイン・オースティン『自負と偏見』
1045円。
アントン・チェーホフ
『かわいい女・犬を連れた奥さん』572円。
石垣りん『石垣りん詩集』814円。

トータル金額は、5071円。
ちょっとオーバーしましたが、
許して頂きましょう。

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