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ビジネス戦略とユーザーニーズを結びつける!ビジネス部門とUX部門の関係性

こんにちは!丸山潤です。
ビジネス戦略を明確に理解することは容易でしょうか?さらに重要なのは、その戦略がデザインプロセスにどう影響を及ぼすかです。ビジネス部門とUX部門がどう連携すれば良いのか、そのテーマについて今回は話を進めていきたいと思います。
参考にした記事は以下の通りです。私の解釈と、個人的な意見を交えながら解説していきますので、参考にしていただけるとうれしいです。

成功している企業は、既にビジネス主導で進行しています。

ほとんどの製品では、UI設計はUXを中心に考えられています。ニールセン・ノーマン・グループによれば、「優れたUXの第一の要件は、無理なく顧客の具体的なニーズを満たすこと」とされています。
 
しかし、それが正しいとしても、実際には多くの決定はユーザーの利益を最優先にはしていません。例えば、Google Adsのような広告は、多くのユーザーにとって邪魔と感じられます。また、コンバージョン率を上げるために、無料資料をダウンロードする際にメールアドレスを求めることも同様です。
 
成功するUX設計は、ただユーザーのニーズを正確に満たすだけでなく、最終的な目標は常にビジネスの成功に繋がることです。たとえユーザーが満足し、デザインが改善されたとしても、それがビジネス戦略と一致していなければ、その取り組みは失敗に終わる可能性が高いです。したがって、ユーザーニーズとビジネス戦略を適切に連携させることが重要です。

ビジネス部門とUX部門:

一方で、ビジネス上の判断がユーザーにとって邪魔となる可能性があり、デザイナーにはフラストレーションの原因となることもあります。ビジネス部門はUXのベストプラクティスが企業に大いに利益をもたらすことを理解する必要があります。両チームが相手の目的を無視すると、目指す方向性が異なりチーム間の衝突が生じます。これは一般的な課題で、UXデザイナーはステークホルダーにUXの価値を伝え続ける必要があります。
 
ユーザー中心のデザインとビジネス主導のアプローチの融合は、難易度が高いものの、その価値は計り知れません。ほとんどの場合、両部門はそれぞれの立場を保持しようとします。私も自分の担当部門の立場を優先してしまいがちで、会社全体としての視点に立ち返ると反省すべきことがよくありました。
 
それぞれの部門が円滑に連携するためには、各部門の役割の明確化が出発点となります。
 
ビジネス部門はビジネス戦略(ビジネスの目標、ミッション、ターゲット市場など)を定義します。個人的な意見に基づいて機能を提案することもあるでしょうが、その際もUXに影響を与える機能や決定を強制することは避けるべきです。
UX部門は、ビジネス部門が定義した目標達成のため、ユーザーニーズに基づいたユーザー体験をデザインします。

ビジネス主導型UXプロセスの5つのステージ

成功の鍵は、ユーザーニーズとビジネス戦略を結びつけるプロセスを通じて、両部門が同じ方向に集中できるようにすることです。ビジネス主導型UXプロセスは、ビジネス戦略に基づいてUXを推進し、その目標が各デザインステージにどのように影響するかを明示するものです。これは、ユーザー中心設計の方法論から着想を得ているそうです。
ここからは、ビジネス主導型UXプロセスの5つのステップについて、記事を参考にしながら説明していきます。

ステージ1:ビジネス戦略

UX部門がビジネス戦略を直接定義する役割はありませんが、デザインフェーズに影響を与えるビジネス情報を収集する責任はあります。

適切に定義されたビジネス戦略は明確で簡潔であり、関連する情報のみが集められます。次がその例です。

・ビジネス目標
・ミッション・ステートメント
・ターゲット市場

全てのビジネス情報を集めて整理した後、次にそれをデザインプロセスにどのように反映させるかを検討します。ビジネス目標ごとにデザインの対応をマッピングし、それらがユーザーエクスペリエンスにどのように影響するかを把握することが重要です。このプロセスは、UX部門がビジネス目標を理解し、それらを具体的なUXデザインの決定に変換するための道筋を提供します。
 
このステージが完了すれば、ビジネス戦略の全てが文書化され、デザインプロセスに必要な全ての情報が集まります。それらは、UX部門とビジネス部門の間で明確なコミュニケーションを確保し、より良いUXによるビジネス結果を生むための共通の目標ができます。

ステージ2:リサーチ

UXリサーチの方法の選定は、ビジネス戦略とユーザーニーズの両面から行われます。
 
まず、ビジネスの観点から方法を選びます。例えば、顧客の販売増加、アップセルの拡大、コールセンターへの需要の減少、商品返品の削減などの目標を持つEコマースウェブサイトは、それぞれの目標に対応する手法を選択します。具体的な例としては、競合分析、コールセンターレポート、商品返品レポート、チェックアウトのコンバージョンレートレポート、高利益率商品レポートなどが挙げられます。
 
次に、ユーザーの観点から方法を選択します。例えば、ペルソナ、ユーザーインタビュー、タスク分析、フォーカスグループ、カードソーティング、ジャーニーマッピング、サービスブループリントなどがあります。
 
リサーチの方法の順序は、ビジネスが優先する目標に対してリサーチが有効な証拠を提供できそうなものから選ばれます。

ステージ3:定義

定義ステージの最初で唯一必須な手法はUX戦略です。これは課題(ビジネスゴール、ユーザーのペインポイントなど)を特定し、解決策を明らかにします。全てのビジネス目標はUXでの解決策に変換されなければなりません。
 
UX戦略手法を除き、定義ステージの目的は開発フェーズに必要なUXの全ての仕様を作成することです。
 
リサーチステージで収集した観察結果に基づいて、出発点を定義するための仕様のみが決定されます。これにはUXロードマップ、ユーザーストーリー、ユーザーフロー、情報アーキテクチャ、タクソノミー、デザイン仕様などです。デザインステージでは初期に作成した仕様を更新し、追加の仕様を定義するために定義ステージに戻ってきます。

ステージ4:デザイン

デザインステージには、UXを設計することに特化した全ての手法が含まれます。これにはワイヤーフレーム、ワイヤーフロー、UXプロトタイプ、エディトリアルスタイルガイド、ムードボード、デザインシステム、ビジュアルデザイン、コンテンツライティング、アイコノグラフィーなどです。

新しい仕様を定義したらすぐに定義ステージに戻り、UXドキュメントを更新します。定義からデザインへの移行は自然な流れです。このステージは、定義ステージが完全に文書化された時に完了となります。
 
注:評価方法を実施する前にこのステージが完全に完成するのを待つ必要はありません - 通常は早い方が良いです。

ステージ5:評価

評価ステージでは、単にメソッドを実行するだけでなく、ユーザーニーズとビジネス戦略の両方について結果を評価するための計画を定義します。
 
主要な目標の特定
方法の選択
ツールの選択と設定
計画の立案と方法の実施
プロセス、調査結果、推奨事項の文書化
 
定性的なUX評価方法は、少数のユーザーを対象とします。これらは、デザインプロセス中か実際のウェブサイト上で実施されます。ユーザーテスト、セッションレコード、アイトラッキングなどがあります。
また、特定のシナリオに対するフィードバックを得るために、静的なUIデザインの評価を行うやり方もあります。5秒テスト、ファーストクリックテスト、ブラーテストなどです。
 
予算的に外部ユーザーを採用できない場合でも、低コストな選択肢として同僚を募ることもできます。ただし、これは最終的な選択肢であり、可能な限り避けるべきです。それでも、評価を行わないよりは価値があります。

定量的なUX評価方法は、大量のユーザーを対象とします。より大きなサンプルサイズが必要なため、これらは実際のウェブサイトでのみ実施されます。例としては、アナリティクスレビュー、A/Bテスト、サーチログ分析、UX調査、FAQレビュー、ヒートマップレビュー、ゲリラテストなどがあります。
 
また、ウェブサイトのページスピードは、成功するユーザー体験の一部となるため、開発段階で評価し、その後定期的にモニターする必要があります。
 
ウェブアクセシビリティは、オンラインツールを使ってテストできます。定義された基準に基づいて、WAI(Web Accessibility Initiative)のウェブサイトでウェブアクセシビリティ評価ツールのリストを見つけることができます。地域の障害者団体も評価ステージに参加するように依頼できます。
 
データが収集され、調査結果や推奨事項を含む報告書が作成された後、反復プロセスは、調査、定義、またはデザインのステージに戻ります。

重要なポイント

大切なのは、それぞれの役割を明確にし、ビジネス主導のUXプロセスをステークホルダーに提示して、最大限の理解と合意を得ることです。ビジネス戦略のための情報、特に目標、ミッション、ターゲット市場、予測を収集することも重要です。そして、ビジネス主導のリサーチ方法を選択し、その後、ユーザー中心の方法を選択しましょう。
 
UXをデザインし、それを定義ステージで文書化することで、開発フェーズ中の遅延を減らし、コラボレーションを促進できます。また、ユーザーのニーズとビジネスの成果を達成するための、構造化された評価計画を作成することも重要です。

まとめ

今回のテーマはビジネス戦略とユーザーニーズについてでしたが、私がイベントで議論する際によく話題になるのは、サービスの種類によって、顧客と直接コミュニケーションを取る職種が変わるという点です。例えば、チャットサービスの場合、CX(カスタマーエクスペリエンス)がその役割を担っていることが多いです。このような顧客と頻繁に交流する職種の人々とは、共通の目標を設定するためにコミュニケーションを持つことが極めて重要だと考えています。そして、互いの理解を深め、同一の目標に向かってプロダクト開発をするとき、より良いサービスになると信じています。


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