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大学生S君

仕事休みの昼過ぎ、ゆっくり起きてダラダラとまだベッドに寝転んでいる。出会い系のゲイアプリを覗いていて、バンコクに遊びに来ている日本人大学生が目に止まった。20代の男の子と久しぶりに会ってみたいという衝動がムラムラっと起きる。
30代後半のタイ人の彼氏はいるが、出来れば20代の子の若いきれいな身体も鑑賞し味わいたくなった。このアプリで若い子にメッセージを送る事もあるが、50半ばの僕に興味を示し、返事があるのは2割ほどだ。しかも、タイ人が多い。
日本人は自分の年齢に近い相手を求める人が多くて、僕のような若い子好きには結構ハードルが高い。
また、かなりの年齢差があるのに礼儀を知らないメールを送ってくる輩にも閉口する。決してバカ丁寧さを求めているのではない。ファーストメールは、せめて「こんにちは」で始めてほしい。「何したいの。写メ交換して」なんてのには、絶対返信しない。
この大学生はなかなか感じが良かった。あいさつはもちろん!丁寧な文面が心地よい。とんとん拍子に今晩会う約束をした。すぐ近くの電車駅で待ち合わせすることに。僕の作戦は 、まず駅近のよく行く日本居酒屋で自己紹介をしながら食事をして、相手をよく観察する。学校の教師をしていた経験から若者を吟味する目には自信がある。
もし気に入ったら、大学生なので会計は奢ってあげる。ここでちょっと負い目を持たせて、僕の部屋が近いので、もう少し部屋飲みしようと誘う。後は、様子を見てHに持ち込むだけだ。最近の成功率は4割程か。
約束の時間に駅の改札付近で待ったが、大学生君は現れない。10分程待ってメールすると前の予定が長引いて遅れそうとのこと。友達と一緒のようで、別行動は結構大変かもと了解する。1度部屋に戻って再度駅へ。
しかし 、またもや現れず。姿を現さずドタキャンパターンかと嫌な予感。メールによると今度はホテルには戻ったが近くの電車の駅を探せずあたふたしている模様。またも部屋に戻る。
約束はしたが、その気が失せて、言い訳してるのかとも頭をよぎるが、もう少し待ってみよう。
3度目の正直で駅へ。約束の5分過ぎにメールしてみる。今度は電車の乗り換えを間違えたらしい。
あまり遅くなるなら今日はやめようかと提案する。すると絶対行くのでと言う。言葉を信じて駅で待つことに。
改札口に小走りの彼らしき青年が。夜11時近くで改札付近には僕だけだったので、焦った様子で僕のところに一直線に。「遅くなりました」と言う目の前の彼は、どう見ても爽やか系のイケメンだった。長く待たされたのも何のその、やった!待っててよかったと気分は跳ね上がった。
作戦通り、近くの居酒屋で向き合うと、僕好みの韓国スター風の顔立ち。すぐに会話も弾んで
この後の作戦のコンプリートを目指して、下半身も元気満々の僕だった。やりてー!! イケメン大学生S君を目の前にして、僕の気持ちは高揚していくばかりだった。すぐ近くで店の女の子たちが、S君に熱い視線を送っているのに気づいた。おそらく、最近タイでも大人気の韓流ドラマの何とか君に似ているとかで盛り上がっているのだろう。
僕もS君の顔をひとみに映してるだけで、気分が舞い上がっていた。知り合ってすぐなのに会話のテンポが合うのも心地よかった。神戸出身の彼は関西人らしく、沈黙を待たず、話のきっかけを出してくれるので、僕も気を使わず会話の流れに乗った。
彼は関西トップのK大学法学部の学生で、K大のロースクールに在学中の6年生だった。会話の内容や話し方に賢さが滲み出ていて、頭の良い若い子が好きな僕にとって、見た目はもちろん中身も直球ど真ん中でもうメロメロだった。
お兄さんが外資系の銀行マンで、現在駐在員としてバンコクに住んでいる事もあり、今回バンコクに遊びにきていること。京都でシェアハウスに住んでいること、バイで彼女もいるが
最近はあまりうまくいっていないこと、また、弁護士資格取得の有無に関わらず、就職先は既に決まっていることなど、自分のことを隠そうとせず話してくれる様子にも好感が持てた。K大生なのに、それを鼻にかけるような言葉も素振りも全くなく、よく笑う爽やかな青年だった。そして何より、年配のオジサンがタイプという告白が僕を喜ばせた。
僕も日本での経歴やバンコクでの生活の様子などを彼に伝えた。公務員からの現在のバンコクでの第2の人生への決断など、少し驚きつつも理解と羨望を言葉で伝えてくれたことが、彼に対する心の距離をぐっと近づけた。
駅でやっと会えた時には、もう夜11時に近かったこともあり、楽しい会話であっという間に僕たちの時間は日を跨いでいた。そろそろ僕のS君GET作戦を前に進める時間だ。年齢的にも学生さんと食事の時には、いつも奢ってあげることにしていると告げ、会計を済ませると、S君も喜んで甘えてくれた。間髪入れず、もう少し飲み直そうと部屋に誘うと、即承諾してくれた笑顔がかわいくて心が踊った。
店から部屋までは電車の駅を挟んで5分ほどで、土地勘のない彼をエスコートするように2人で歩いた。彼の腰に手を回したくなったが、触れるか触れないかの加減にした。この後の展開を期待して心も足取りも軽やかだった。


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