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天才にはなれなくても凡人でもできることはたくさんあるはず〜天才はあきらめた/山里亮太

audibleで配信されていたので、早速聞いてみました。
言わずと知れた、南海キャンディーズの山里さんの自伝。

以前、友人に誘われて彼の単独ライブをみに行ったことがあります。
「山里亮太の140」
大掛かりな舞台装置があるわけでもなく、他の有名人が出演するわけでもない。
本当に彼のネタとトーク力だけで勝負するというなかなか尖った企画。
しかも、南海キャンディーズというコンビを組んでいる中での、ピンでの活動。

さすがプロだな、というクオリティでした。
ネタ、お客さんの弄り方、間の取り方。
いっぱい練習しました感が出ているお笑いライブほど痛いコンテンツもないかもしれませんが、それらを感じさせず、かつ、スタートから終わりまで飽きさせない。

そのライブでも、周囲の人に対する恨み・つらみをはきまっくっていましたが、本書を読み「あ、ほんとにこういう人なんだ」と腹落ち感があった作品でした笑

今の彼を彼たらしめるもの

小さい頃に「モテたい」という動機でお笑い芸人を志し、紆余曲折を経ながらしずちゃんというモンスター(?)とコンビを組み、今に至るまでを心の弱さ、自省を含めて丁寧に描いた作品です。
高評価なのも頷けます。

あと、自分が小さい頃によくみていた「ガチンコ」という番組の企画にも出演、優勝していたことを本書を通して知りました。
ボクシングとラーメンのインパクトが強すぎて、漫才のコーナーがあったことも記憶から抜け落ちてました・・・。

で、本書を読了し、今の彼を彼たらしめているものは、
ハンパない量のお笑いに対する分析と自分の内面のアウトプット
だと思いました。

お笑い芸人というと「ネタ帳」が思い浮かぶところですが、彼はそれいがにも、ムカついた体験をメモしておいて努力の燃料にしたり、面白いものに出会ったときに「なんで面白かったか」をノートと向き合って分析したり。
そのボリュームが半端ない。
書く、ノート、という単語は本書でも度々登場します。

自分が思う山里さんの武器の一つは
”言葉選び”
だと思いますが、こういった愚直な積み重ねが、側から見ると「すげー言葉選びのセンスだな」という評価に繋がっていることがよくわかりました。

多分、一発屋として世に出たいというのであれば際立った特徴が1つあれば短期間はなんとかなるのでしょうが、ある程度長期間、安定したパフォーマンスを出すためには「いつ、何を、どう言ったら面白いか」という、自分なりの経験則や方程式を持っていないときついような気がします。
これは、仕事でもお笑いでも関係なく、ですね。

N=1の仕事に真剣に取り組むことはもちろん大事です。
そう言った実体験から学べる個別具体の積み重ねは必ず社会人生活を送る上での武器になります。
ただ、それと同じくらい大事なのが、そのN=1の体験を抽象化して、自分なりの仕事のノウハウを蓄積していくことだと思います。
例えば、メールの出すタイミング1つとってもそうです。
失敗したな、と思ったら、「なぜ」と「次どうする」というところまで、少し引いてメタ的な視点を持って振り返りをする。そして、次の仕事で生かす。
それにより、少しずつかもしれませんが、確実に仕事の精度が上がっていきます。

お笑いについても、同じなのかなと思いました。
各芸人さんを芸人たらしてめているもの。
それは面白い体験(Nの数)はもちろんのこと、お笑いを見たり、自分がアウトプットをして、それらから得た体験をどれくらい自分の「方程式」に落とし込めるか、その方程式の精度が高いか、そういうことなのかと。


と、素晴らしい本だとは思いつつ、山里さんという人間に対しては「こいつ、やべーな」と思う部分もありw
人間、誰しも聖人君子ではないし、多くの人は天才でもない。
そんな状況でも、どうしたくて、何ができるのか。
そんなことを考えさせてくれた一冊でした。

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