見出し画像

12日目 : 多国籍キャラバン!泣かせるステッキ!Atapuercaアタプエルカ

(260km踏破 → ゴールまで残り530km)

早朝スイーツで出発だ!

さて、今日の楽しい朝飯は何でしょう??日本へ伝来したカステラのルーツになったとも言われるビスコチョ。固目のパウンドケーキ的な感じ。砂糖たっぷりカフェ・コン・レチェ café con leche (ミルク入りのコーヒー)。スーモ・デ・ナランハ zumo de naranja(特産オレンジ生絞りジュース)。朝から安定の血糖値ダッシュの糖分過多が気になるメニュー。

窓の外の暗さで判る通り、夜かと思うような早朝5:30。スペインの朝日は遅いのもある。相変わらずの早起きで、今日も次の町の宿入りを早々に決めたいと勇んで出発する。

すぐに昨日のトビー(独)、ステファン(仏)、セタル(伊)、チヨン(韓)に出会い合流する。彼等は終止、雑談、真面目な話、笑い話をしながらゆったり歩き旅を楽しむ。僕はまだ足裏の痛みがあるので歩くスピードは丁度良い。

朝日も昇り切った頃、Espinosa del Caminoエスピノサ・デル・カミーノという町に到着。クッキー、サンドイッチ、ビール、ボカディージョと、悠に1時間は休憩。彼等はとにかくゆったりと旅を楽しんでいた。1人で歩いている時の僕は黙々と歩きながら瞑想でもしてるのか!という感じだったので、なんかこうして時間を楽しんでる彼等が少し羨ましい。日本では感じないタイプの人の営み方だ。言葉が完全には通じなくても同じ場所、同じ時間、同じ景色、同じものを食べて飲む。人間の基本的生活をたとえ一時的でも共有した事で心に刻まれる何かってある。

標高1,000m程に位置するVillafranca Montes de Oca ビジャフランカ・モンテス・デ・オカの町を過ぎると更に200m程の山越え登山となる。その頃から足裏の傷が痛みだしたので僕1人が皆から数十m遅れる。視界からも彼等は消える。しかし先に進むと彼等は休憩しながら楽しそうに待っている。不思議な感じだ。とあるワゴン車のサービスエリアにさしかかる。旅人のために小さな売店をやっている。

ここでエクアドルのイエンと、友人(名前失念)ペアに会う。長い黒髪で彫りの深いイエンが僕の足の傷の話題にふれる。僕を気遣い、ステッキを両手用貸してくれる。両手にステッキを持ちながら僕は歩く。とても楽だ。ペースを掴んだ僕に気づいたイエンが言う。

『これで君の足は楽になるかい?ならあげるよ』と。

なんて泣かせるんだ。本当にイイ奴だ。長い黒髪に浅黒く彫りの深い彼は見た目の迫力とは裏腹にとても親切で紳士的な優しい雰囲気の男だった。人って本当に判らないものだ。このステッキは大事に日本に持ち帰って今でも玄関脇に置いてある。いつ何時でも使える様に。このステッキならばどんな時も、もしかしたらまた違う誰かを助けてくれるはずだから。

その後も、トビーはじめ皆が僕の足傷を気遣いゆっくりと進んでくれた。

San Juan de Ortegaサン・ファン・デ・オルテガ到着。
ここのアルベルゲ(旅人用宿)にキッチンが無いという事でスルーしてもう少し歩こうという事になる。

途中道端のバルで休憩していると多様な国籍の旅人と出会う。僕は記念撮影をしようと提案する。これって日本人特有なのだろうか、あまり異国の方から言い出すのを聞く機会はなかった。写真にそれほど興味がないのだろうか。と、思いきや、集合するのは結構皆楽しそうだ。『Are you ok ? エビバディ? count 10セコンドっ! Look アイパッド!』発音や文法なんてどうでも良い。声が聞こえれば皆わかってくれる。アイパッドのタイマー撮影は画面に大きく数字のカウントが表示されるので、なんか皆ワクワクしてるのが空気で判る。楽しい多国籍キャラバンだ。

そのままAtapuercaアタプエルカに到着。するとここで1日目:出発地サンジャンピエドポー の ゾイ(ハンガリー)と、2日目の宿で会ったソニア(スペイン)に会う。ね、不思議でしょ。どこで抜かして、抜かされたのか。お互い知らないがこうしてまた会う。これが不思議で面白い。お互い、毎日長い時間を歩き続けている。こうして再会した時に、お互いが元気でいた事も含めて満面の笑顔でそれを祝いあうのだ。

ついでに再会を祝い日本式の写真撮影を教えておいた。これが日本人の写真を撮る時のサムライポーズだと。ちょっとふざけてダチョウ倶楽部テイストを強くしておいた。国旗で顔を隠してるけど、素敵なスペイン女性ソニアと、スマートナイスガイのハンガリー人ゾイも、マジで、真剣な顔してるから面白い。日本人ってこういう変な事するよね。

ここアタプエルカのアルベルゲはキッチンがあったので皆で料理して晩飯を共にした。本当に英語が中心なので僕は会話についていくのがやっとだが、それでもなんだろう。時間を共有しているという不思議な感覚だ。飯も旨い。ステファン(仏)とセタル(伊)が中心に調理を勧めてくれたので旨い料理が出来上がる。トマトチキン。健康盛りだくさんフレッシュサラダ。旨いパン。赤ワイン。楽しい夕げだ。

寝る前に寝室でステッキをくれたイエンにお礼としてナイフをプレゼントした。1日目 : サンジャンピエドポーで購入したとてもよく切れるナイフ。僕の歯が欠けるほどしっかりした造りのナイフ(5日目②-1 : 歯が欠ける町 UTERGAウテルガ)だ。イエンは涙ぐむほど喜んでくれた。とてもイイ奴だ。先に彼が僕へとプレゼントしてくれたのに、こんなに喜ぶ彼を見て本当に感動した。メチャクチャ嬉しい気持ちになった。なんだろう。こういう人の好意、善意、環境や、物自体に感謝する事をだいぶ、なおざりにしている気がする。勝手なイメージや解釈だが、彼の母国エクアドルは日本よりは全体的に経済的豊さが整っていないかもしれない。そしてそんな想像をして、別に大げさにわざとらしく反省や弁明をしたいわけでもない。ただ、こんな素直な気持ちが目に見えて表現できる彼のその人間性にとても感動した。忘れられない体験なのだ。

さらにイエンは言った。

『僕はステッキしか渡せないけどいいのかい?』

どこまでもめちゃくちゃイイ奴だな!!!!

13日目 : 世界遺産サンタ・マリア大聖堂Burgosブルゴス へ続く

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【Twitter】
十骨 jukkotsu (@ukiyo10rock)さんhttps://twitter.com/ukiyo10rock?s=09


【Instagram】https://www.instagram.com/p/Bu56idAgRDY/?igshid=g5p9v04af6cv


この記事が参加している募集

【十骨jukkotsu】 illustrate+アート=Artrator 時代を飾る『 Let show up your generation 』 【HP】 https://qqg984xd2.wixsite.com/ukiyo