あの言葉を手繰り寄せる#1「芸術のことは自分に従う」小津安二郎
読んだ時にはいたく気に入り、深く響いた言葉だというのに、メモをとることを怠ってしまったばかりに、ふとした瞬間に脳裏をよぎるのだが、一体誰の言葉だったかと考えあぐねてしまい、喉に引っかかった魚の骨みたいに、もどかしい思いを募らせてしまうということがよくある。
歳をとってから、なおさらその傾向は強くなり、もはやネット検索とAIチャットボットが手放せなくなってしまっている自分の現状を嘆きながらも、なんとかその記憶を手繰り寄せ、改めて目にすることとなった言葉たちとの再会は、ひと