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吉岡果音
2023年5月6日 22:19
第一章 運命の旅― 第1話 黒の剣士、キアラン ― 闇夜を切り裂く、光――。それは、鋭い剣の軌道だった。 ガアアアア……! 咆哮と共に、巨大な獣が音を立て大地に伏す。 天高く輝く三日月だけが、すべてを見ていた。 剣を振るったのは、すらりとした黒髪の男。 その男の瞳は、右目が金色、左目が黒色という不思議な輝きを放っていた。 男は、剣を大きく振り血を払うと鞘に収めた。「ふむ
2023年5月8日 10:32
第一章 運命の旅― 第2話 旅の始まり ― 冷たい風が吹きすさぶ。荒涼とした大地には、風の道を遮るものがなかった。 流れる黒い雲のすき間から、時折月が顔を覗かせる。月は、果てしない荒野の中にある、男と少年――キアランとルーイ――を静かに照らしていた。 キアランは、持っていたテントを設置していた。長年使いこまれ、すっかりくたびれてはいたが、持ち主の最低限の安全は守るという機能は果たしている