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天風の剣

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右目が金色、左目が黒色という不思議な瞳を持つ青年キアランは、自身の出生の秘密と進むべき道を知るために旅に出た。幼かった自分と一緒に預けられたという「天風の剣」のみを携えて――。 …
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#長編

【創作長編小説】天風の剣 第1話

【創作長編小説】天風の剣 第1話

第一章 運命の旅
― 第1話 黒の剣士、キアラン ―

  闇夜を切り裂く、光――。それは、鋭い剣の軌道だった。

 ガアアアア……!

 咆哮と共に、巨大な獣が音を立て大地に伏す。
 天高く輝く三日月だけが、すべてを見ていた。
 剣を振るったのは、すらりとした黒髪の男。
 その男の瞳は、右目が金色、左目が黒色という不思議な輝きを放っていた。
 男は、剣を大きく振り血を払うと鞘に収めた。

「ふむ

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【創作長編小説】天風の剣 第2話

【創作長編小説】天風の剣 第2話

第一章 運命の旅
― 第2話 旅の始まり ―

 冷たい風が吹きすさぶ。荒涼とした大地には、風の道を遮るものがなかった。
 流れる黒い雲のすき間から、時折月が顔を覗かせる。月は、果てしない荒野の中にある、男と少年――キアランとルーイ――を静かに照らしていた。
 キアランは、持っていたテントを設置していた。長年使いこまれ、すっかりくたびれてはいたが、持ち主の最低限の安全は守るという機能は果たしている

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