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太古の昔、飛騨は太陽王国だった?!① ~世界最古の宗教は太陽信仰~

・古事記は飛騨から ~稗田阿礼(ひえだあれい)と太安万侶~

最近、飛騨の古代史に興味を持ち、いろいろ調べています。
奈良時代につくられた古事記は、正史では、日本で一番古い歴史書。古事記は、稗田阿礼(ひえだあれい)が語った伝承をもとに、太安万侶(おお の やすまろもと)が作成しました。
太安万侶が古事記にたずさわったのは、安万侶が漢文に精通していたから。
奈良時代、中国は「唐」という国名で、巨大な軍事力を持ち、その支配区域は、中国のみならず、中央アジアや、ヨーロッパの一部(ユーラシア大陸)にも及びました。そして唐は、東南アジア、北東アジア諸国、朝鮮、日本にも多大な影響を与えます。

朝廷は、巨大国家・唐の人にも読めるように「古事記」を、正確な漢文で編集させ、日本の正史とします。つまり唐という大国と渡り合うために、朝廷は自分たちの統治の正統性を「古事記」という歴史書で裏付け、それをさらに漢文で伝えることが必要でした。そこで選ばれたのが、唐(中国)の漢文に精通していた太安万侶。
彼は九州の太宰府(地方行政役所)に勤めていた時、中国の使節と交際していたので、中国語に精通していました。また中国の史書にも詳しく、古事記を漢文で書く能力を、藤原不比等に見込まれたと言います。
太安万侶はその後、日本書記の編集にも加わったとも?!

そして飛騨は縄文からの古代史を伝える、鍵となる場所でした。
稗田阿礼の稗田(ひえだ)は、飛騨をあらわし、現在も岐阜県の飛騨に、稗田家の子孫が住んでいるそうです。また稗田家は、アメノウズメ(天鈿女命)を始祖とする「猿女君(さるめのきみ)」の末裔で、猿女君は、朝廷の祭祀に携わってきた氏族。稗田阿礼は神官だったとの説もあります。


・太陽神・天火明命(あめのほあかりのみこと)は飛騨出身?

飛騨口碑では、日本という国は、約2000年前、飛騨王国の王子たちが、九州や近畿地方に天孫降臨してつくった国。
九州に降臨したニニギ尊、大和地方に降臨したニギハヤヒ。
そして初代・神武天皇は、ニニギ尊の孫。これら3人は、飛騨王国直系の王子たちでした。

飛騨口碑では、これら3人の人物により日本はつくられたと伝えています。

しかし飛騨にはもう一人重要な人物がいました。それは天火明命(あめのほあかりのみこと)。アマテラスの孫にあたります。
そして、このホアカリ(天火明命)は、飛騨の太陽信仰の名残を伝えているんです!

『日本書紀』では、ホアカリは、天照国照彦火明命(あまてるくにてるひこほあかりのみこと)。
名前の「天照国照」「火明」からわかるように太陽の神格化か、火の光の神格を有した神様であると考えられ、『古事記伝』では「ホアカリ」は「穂赤熟」で、稲穂が熟して赤らむ意味とし、天皇に繋る他の神と同様、稲に関係のある名前でもあり、太陽神、農業神として信仰されています。
また、ホアカリ(天火明命)は、パワースポットとして有名な、元伊勢の籠(かご)神社の始祖。
籠神社(京都府宮津市)では、主祭神を「アメノホアカリ(天照国照彦火明命)」とし、相殿神に「アマテラス(天照大神)」として、それぞれ別の神としお祀りされています。
ホアカリの名前に「天照(アマテラス)」という言葉がついていますが、アマテラスと、ホアカリは別人。でもどちらも太陽神です。
また、アメノホアカリ(天火明命)はアマテラスが信仰されるようになる前に各地の有力氏族が独自の神を信仰していた時代の太陽神のひとつだと考えられています。
つまり飛騨では、伊勢を中心とする天照大神の太陽信仰以前に、別の太陽神である、ホアカリ(天火明命)を信仰する(太陽)信仰があったということです。実際、飛騨一之宮水無神社では、このホアカリ神が祀られています。

飛騨一之宮水無神社の奥宮であり、御神体である、位山の登山口です。


現在、日本で太陽神といえば、アマテラス(天照)神。でもアマテラス信仰は、伊勢神宮ができてからポピュラーになったらしく、それ以前、各地方で太陽として信仰されていたのは、このホアカリ(天火明命)という神さま。
そしてこのホアカリは飛騨ゆかり・・。飛騨はアマテラス以前の、超古代から太陽信仰が存在した国でした。

飛騨口碑では、このホアカリとニギハヤヒ、そして宮崎の高千穂に天孫降臨したニニギ尊は飛騨王族の王子で、3兄弟となっています。
少し複雑になったので、これら飛騨系王子たちについてまとめてみました。

・ニニギノミコト瓊瓊杵尊)
アマテラスの孫で、宮崎の高千穂に降臨した天孫降臨伝説は有名。ニニギ
という名は「天地が豊かに賑わう神」を意味し、降臨の際、稲作を地上にもたらし、産業における農業の神としての性格面が強い。このため御神徳には、五穀豊穣や商売繁盛の他、国家安寧、殖産振興などがある。

・ニギハヤヒ邇芸速日命)
ニニギ命より先に天降りしていた伝承をもつ。祭祀を司どる物部氏の祖神であり、神武天皇より先に大和に鎮座していることが神話に明記されている。「日本」の名付け親ともされ、大和国(近畿地方)に稲作文化を伝えたとされる。

・神武天皇(飛騨口伝では、名前はサヌ)
奈良盆地一帯の指導者のナガスネヒコらを滅ぼして一帯を征服し、大和を鎮圧した日本国の創始・初代天皇。アマテラスをはじめとする天津神の末裔。


天火明命(あめのほあかりのみこと)
『日本書記』では、天照国照彦火明命(あまてるくにてるひこほあかりのみこと)。名前の「天照国照」「火明」からわかるように太陽の神格化と、火の光の神格を有した神様であると考えられ、『古事記伝』では「ホアカリ」は「穂赤熟」で、稲穂が熟して赤らむ意味とし、天皇に繋る他の神と同様、稲に関係のある名前でもあり、太陽神、農業神として信仰されています。

謎の多い神様でありますが後裔とされる氏族はかなり多く、古代豪族、あるいは皇族とのつながりが深い神と思われ、『新撰姓氏録』では、アメノホアカリの子孫を「天孫族」と称し、この天孫族は高天原から尾張国や丹波国にも移り、尾張氏・津守氏・海部氏、丹波氏など多くの氏族の祖神となったともされます。

こうやってまとめてみると、飛騨口碑で、約2000年前に天孫降臨し、日本という国をつくった神々が、飛騨ゆかりということに驚きます。



・世界最古の宗教は太陽信仰? ~たくさんの太陽神たち~

実は太陽信仰は世界最古の宗教です。
太陽信仰とは、太陽信仰の対象とみなし神格化したもの。
古代社会の宗教において、太陽を全知全能の神としたり、太陽に子を授ける能力があると信じたりして、人々は太陽を信仰しました。
それは世界中に分布し、エジプトやギリシャ神話、ケルトに北欧神話、さらにヒンズー教や仏教でも、それぞれ太陽神が存在します。
下記に世界中の太陽神をまとめてみました。

〈主な世界の太陽神〉

インカ神話 - インティ
エスキモー・イヌイット神話 - マリナ
エジプト神話 - アテンアトゥムアメンケプリホルスラーハトホルセクメト
ギリシア神話 - アポローンヘーリオス
ケルト神話 - ベレヌスルー
スラブ神話 - ダジボーグベロボーグ
中国神話 - 東君、金烏(三足烏)、羲和、日主、太陽星君
ペルシア神話 - フワル・フシャエータミスラ
北欧神話(ゲルマン神話) - ソール
リトアニア神話 - サウレー
メソポタミア神話 - シャマシュ
ヴェーダ神話 - インドラヴィヴァスヴァットダクシャバガミトラサヴィトリプーシャンヴィシュヌ
ローマ神話 - アポロソルエル・ガバル
ヒンドゥー教神話 - ヴィシュヌスーリヤサヴィトリ
仏教 - 大日如来日天日光菩薩
フェニキア神話 - バアルシャプシュ
メキシコ神話(マヤアステカ) - ウィツィロポチトリケツァルコアトルトナティウキニチ・アハウイツァムナー

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/28 21:44 UTC 版)


こうやって調べてみると、世界中にたくさんの太陽神が存在します。
また縄文期、日本の縄文人はアミニズム(自然崇拝)であり、太陽そのものを信仰していました。
日本最大の縄文遺跡である、青森県の三内丸山遺跡」では大きな柱が見つかっていますが、これは縄文期の太陽信仰の名残です。またイギリスのストーンヘンジ(巨石群)も、太陽信仰と関わりがあるとされます。
南米にも、太陽信仰を行ったとされるインカ帝国の遺跡が幾つかあります。

かつて世界中で行われていた太陽信仰ですが、飛騨にも、ホアカリを祀る太陽崇拝以前に、「乗鞍信仰」という独自の太陽信仰が、太古の昔にありました。
この「乗鞍信仰」は争いを好まなかった縄文人らしい精神性をうみ、やがて日本の神道につながっていきます。長くなったのでつづきますね。


〈参考資料〉


本だけでなく、実際に現地に行ったりして調べていますが、わからないことが多いです。だからこそ魅かれる縄文ミステリー!縄文の謎解きははじまったばかりです。(*ᴗˬᴗ)⁾⁾💕ペコリン