慈恩堂

虚構

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アジフライ

「アジフライ食べたくない?」 ダメ元で誘ったら、意外にものってきた。冬休みも残り2日。ガソリンスタンドの拭き上げコーナーで、冷えた手を缶コーヒーで温める。ちょっと…

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森の見張り台から

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森の見張り台から

午後の仕事をエスケープして、車を走らせた。同僚には適当に理由づけて、午前中に最低限のタスクをこなして。上司は少し心配してくれた。職場には恵まれていると思う。 市…

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灯台へ

「ご馳走様でした」 地物の刺身定食は存外にボリューム満点で、ベルトをひとつ緩める。湯気の消えたお茶を一口啜ると、会計を済ませた。 店を出ると、若い男女が笑い合って…

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潮の匂い

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グラウンド

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汚れた海岸と空

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山頂の寺

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アジフライ

アジフライ

「アジフライ食べたくない?」
ダメ元で誘ったら、意外にものってきた。冬休みも残り2日。ガソリンスタンドの拭き上げコーナーで、冷えた手を缶コーヒーで温める。ちょっと遠くの岬まで、ドライブだ。
駅前のロータリーで彼女をピックアップして、環状線を走る。年末に何となく気まずくなった空気が車内に広がる。ほとんど知らない曲のベストアルバムは、なかなか話すきっかけをくれない。
「なんで急にアジフライ?」
「日本

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森の見張り台から

森の見張り台から

午後の仕事をエスケープして、車を走らせた。同僚には適当に理由づけて、午前中に最低限のタスクをこなして。上司は少し心配してくれた。職場には恵まれていると思う。

市のはずれ、山間の森林公園に着いた。エスケープのことは家族にも誰にも言っていない。僕が今ここにいることは、僕しか知らない。

第6駐車場に停まっている車には、同じようにサボっているのだろうか、働き盛りのおじさんが多いように思える。エンジンを

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灯台へ

灯台へ

「ご馳走様でした」
地物の刺身定食は存外にボリューム満点で、ベルトをひとつ緩める。湯気の消えたお茶を一口啜ると、会計を済ませた。
店を出ると、若い男女が笑い合っている。ランチタイムに滑り込み、彼らはこれから何を食べるのだろうか。ご飯は少なめにした方がいいかもしれないよ、と心の中で呟くも、若者には要らぬお節介だったかとひとりで苦笑いしてしまう。

寒空の中必死に温めてくれている太陽を見上げた。空にポ

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