『アウトポスト』

アメリカ人だったり、タリバンやアフガニスタン事情を多少知ってる方ならご存知だったんだろうけど、「カムデシュの戦い」も知らずにスコット・イーストウッド主演の戦争映画があるんだな、ぐらいで見た『アウトポスト』。見てみて、特に「カムデシュの戦い」のシーンは『プライベート・ライアン』のようなリアルな戦場の描写に驚いた。アフガニスタン紛争で最悪の戦闘というのは伊達じゃなかった!

 

前半は『ジャーヘッド』や『リダクテッド 真実の価値』、『キル・チーム』のようなアフガニスタンの前哨基地の日常風景が中心だが、随所でいきなりタリバン兵たちの奇襲や、タリバン兵絡みの事故に遭ったり、飽きない展開にはなっている。

その日常描写も細かく、奇襲や事故で負傷しなくても精神的なダメージがあったり、ころころ変わる大尉も人によっては隊内の空気が変わったり、アメリカ兵たちの日常としても味わい深い。

 

そしてなんと言っても、中盤からの「カムデシュの戦い」だが、ズガズガと戦闘をやる中で目につくのは準備不足が故の銃弾補給兵の動きや、『ハクソーリッジ』よろしくな負傷した兵士を救護するシーン。POVではないが、銃撃戦等の生々しい動きは戦争疑似体験型サバイバルアクションゲームの「PUBG」っぽくもあり、そういう意味でも現代的。

 

 

厳しい現場の中でも、全裸で戦闘したり拷問我慢ゲームのシーンなどブラックなコメディも散りばめられていて、ロバート・アルトマン監督の『M★A★S★H マッシュ』の精神をほのかに感じ取れる。また、エンドロールの最後の最後までインタビュー映像やサービスカットが多く、123分余す所なく堪能できる。2000年以降の戦争・戦場映画ではキャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』に勝るとも劣らない傑作!

 

評価:★★★★★

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