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世界最大の淡水湖に浮かぶ13の無人島を巡る一人旅 | 海外で7日間カヤックを漕いでみた

今でこそ大胆に「カヤックで3000キロ漕いでメキシコ湾目指してます」なんてSNSで発信している私、ボロロンですが(Twitter→ https://mobile.twitter.com/Boloron_Tokyo )

実は出発してから30日経つまでは、一部のごく限られた近しい友人にしか、旅の計画を知らせていませんでした。
なぜなら、こんな突拍子もない旅、ただの大学生の私が言い出したところで、冷ややかな視線を送られるだけだろう。と、怖かったから。

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(あとちょっとで折り返し地点!)


でもよく考えてみると、今回の3000キロチャンレジに限らず、私の初海外カヤックだって、どちらかというと「頭おかしいんじゃないかな」と思われる旅だったかも。

今日は砂浜に立てたテントで一日ゴロゴロとキャンプしながら、私の初めての無人島巡りの記憶、初めて一人で漕いだ1週間を振り返ってみたいと思います


世界最大の淡水湖スペリオル湖との出会い

中学の地理の時間に「五大湖」という単語を習ってから、実生活でその単語を口にした人はどれだけいるのでしょうか。

当時私が住んでいたのは五大湖の一つであるオンタリオ湖の近くにあるニューヨーク州のド田舎町、Batavia

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(赤がBatavia 青がトロント 黒線は国境)

カナダとアメリカの間に位置しているこの湖を漕いで国境を渡る事が、私の当初の予定でした。
なぜならオンタリオ湖はその昔、物流を司る帆船がたくさん行き来していた湖。嵐で沈没した船がたくさん船底に沈んでいて、昔の船を模した豪華なレプリカ船が河岸に打ち捨てられていると聞き、廃墟好きの萌え心が刺激されたから。

でも実際、下見がてらカナダ側から湖を訪れてみると...オンタリオ湖は、夏の湘南の海を彷彿とさせる汚さでした。
それもそのはず、だってオンタリオ湖は5大湖の最下流なんだもん。

せっかくだから、綺麗な湖を漕いで巡りたい。

最上流の湖なら水もキレイだろう、と次に目をつけたのが、スペリオル湖でした。

それからなんとなくGoogleマップで見てみると、島が無数に点在しているアポスル諸島という場所を発見。即決しました。

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スペリオル湖は、もはやほぼ海

スペリオル湖の大きさは、実に琵琶湖の120倍以上。そして淡水でありながら、サーフィンのスポットとしても知られているのが五大湖です。

潮の満ち引きこそないものの、ひとたび荒れると波風が凄い。波飛沫はいくら浴びても塩っぱくないし、体もベタつかない。

ちょっとチン(沈没)を覚悟するくらい荒れた日もあれば、

凪いでうっすらモヤがかかっていて、そのままスーッと湖の境界線の向こう側に自分が溶けていってしまうような、そんな感覚を覚える穏やかな日もありました。

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青く透き通った水と

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サラサラの砂浜

まるで海みたいだけど
砂浜にできた潮溜り、もとい水たまりで見つけたのは、大量のオタマジャクシ。

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間違いなくそこは、淡水でした。

「湖でカヤック」と聞くと、想像するのはボーッとただ浮かんでいるだけの退屈なアウトドアでしょうか。

でもスペリオル湖は、違います。

沖合15キロに浮かぶ奇岩と洞窟

アポスル諸島のどこかに奇岩群があると聞いていたのですが、サプライズ的に見つけたくて、あえて場所を調べずに漕いでいたのですが

すれ違ったヨットの人が、教えてくれました。「アポスル諸島の外側、デビルズアイランドに行けば見れるよ」と。

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それは沖合15キロの島。数キロ間隔で島伝いに繋がってはいるけれど、なかなかの遠出。

しかも名前はデビルズアイランド、悪魔の島。
その昔、インディアンの言い伝えで、悪魔の住む島、と信じられていたのが名前の由来だそう。

「ひとたび荒れると近づけないから、天気に気を付けろ」との事で、心して向かい、無事に島に到着した翌朝、島の外周を囲む奇岩&洞窟ツアーに出かけると...

そこにいたのは...

洞窟のそばでポツンと浮かぶ白いクルーザーと、シットオンのカヤック。

お金があるって、羨ましい。

パドルボードで島を巡るバーテンダー

実はデビルズ島に向かって漕いだ日は、夕方遅くに予報されていた嵐の上陸と競争する形で漕ぎ進めていたのですが

やっとの思いでデビルズ島に上陸して、振り返ってみると...

遠くに見えたのは、パドルボードに浮かぶ人影。

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無人島での奇妙な同居生活の始まりです。

聞けば彼は、パドルボートで1ヶ月かけてアポスル諸島に浮かぶ全ての島を制覇する計画だそう。
もともとは遠泳で行うはずが、湖の水温があまりに低いので断念したらしい。

夕食どき、急に、「俺は社会的に、ダメだから...。夜の、バーテンダーをしているし、それに、彼氏とも...」とゲイを告白。

悩める旅人でした。

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(物思いにふけるボロロンの図)

無人島巡りと言えども、人と交流する機会は案外あるものです。

湖を往来する船でよく見かけるのは、風を帆に目一杯受け止めて進むヨット。
週末になると家族で島へ出かけて、湖畔でバーベキューをするのです。

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ファームを営む家族の手作りベーコン。まいうー

それから旅の途中、一番辛かったのは、虫刺され。

噛みつきバエと呼ばれるハエが、カヤックのデッキの前後にビッシリ集って、露出している肌という肌に噛みついてきて痛い...。
見かねたヨットの人が、超強力虫除けスプレーをくれたり。

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旅のゴールのCornucopiaという港に電波がない&公共交通手段がない、ということで、
また別の時にすれ違ったヨットの一家が港まで迎えに来てくれて、

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一緒にバーへ行ったり、

崖から飛び込んでみたり、

それからまた呑んだり

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当時の私の英語は今よりもっとカタコトの酷いものでしたが
無人島巡りで人の優しさに助けられ
もっといろんなアメリカを見てみたくなった旅でした。

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——追伸——

余談ですが、実はこの旅、

余談ですが、実はこの旅、出航予定日の当日に嵐が来てしまい、バス停付近での野宿&出航日の1日延期を余儀なくされました。

そしてそんな時、バス停の床に座り込んでテンションダダ下がりだった私の元に届いたのは、1通のテキスト

友達から突然、「アラスカに行かないか?」と誘いが来ました。期間はちょっぴりカヤック旅とかぶっているけれど、ルートを少し短縮すれば間に合う。

島には電波が無かったから、
出発が嵐で遅れていなかったら、受け取れなかったテキストです。

「行きたい」と二つ返事で答え、
このカヤック旅の直後にアラスカでバックカントリーハイキングの旅へ出かけることに。

そして、この時のアラスカの体験が、数年後の南米大陸最高峰アコンカグア登山に繋がるのですが...

詳細はまた別の機会に。(スキが5個以上ついたら書こうかな)

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