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Jナカノのエッセイ(2022年02月〜)

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Jナカノが書いた800字程度のエッセイをまとめたもの。
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2022年3月の記事一覧

【エッセイ】懐かしいを自称するお菓子

【エッセイ】懐かしいを自称するお菓子

家から遠くない距離に、大型ショッピングセンターがある。自転車で行っても疲れない距離とだけ言っておく。

服屋や書店など様々なお店が並ぶ中に、店内の雰囲気とは似つかわしくない駄菓子屋がある。そこだけ壁が濃い茶色にデザインされており、いわゆる「昔ながらの駄菓子屋さん」という体裁を保っている。

普段そのショッピングセンターを訪れた時は、その店には見向きもすることなく素通りしているのだが、その時は中に入

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【エッセイ】推薦者よ健康であれ

【エッセイ】推薦者よ健康であれ

この世界は多くのカルチャーで溢れていて、自分で拾えるものには限界がある。どんな人でも、観た映画より観てない映画の方が多いという事実を頭に置いておくと、少し気持ちが楽になる気がする。

なるべく「面白い」ものにはふれておきたいので、人からの「この本面白かったよ」「あの番組良かったよ」というオススメにはすぐに飛びつくようにしている。それは元々「飛びつくように」という意識的な行動だったが、いつしか自然と

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【エッセイ】飲んでるつもりだった

【エッセイ】飲んでるつもりだった

それは、日常の一部として組み込まれていた。

数日前まで、私は就労移行支援事業所に通っていた。その頃は毎日決まった時間に起きて、決まった時間の電車に乗っていた。事業所内では資格の勉強をしたり、スタッフによる講座を受けたりしていた。

6年前に精神疾患を患った私は、発症当時から今まで、事業所や職場を転々としている。一年ほど前に、軽作業をすることで工賃がもらえる、就労継続支援B型事業所を退所してから、

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【エッセイ】思い出せなかった曲名

【エッセイ】思い出せなかった曲名

最初にその曲を聴いたのは、高校の体育祭の競技中。

当時はジャンル問わず音楽に詳しくなかったので、歌っているグループも曲名もわからなかった。それでも「走り出した 足が止まらない」というサビの歌詞は、競技が終わり、グラウンドから退場してからもなんとなく頭に残っていた。

数年経って、それがチャットモンチーというバンドの「風吹けば恋」という曲だということを知る。

大学生になってから、多くのミュージシ

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【エッセイ】熱い話の型

【エッセイ】熱い話の型

由々しき事態だと思った。

お笑い界が、テレビ業界が、良くないフェーズに突入しているのを感じた。

この前、とある解散した漫才師のことを思い出した。東京吉本に所属していたそのコンビは、若手でありながらベテラン芸人の腕と風格を持ち、とにかく実力がある二人というのが、彼らを知る人の共通認識だった。彼らの後輩である「ニューヨーク」のYouTubeチャンネルでも、何度か名前が挙がっている。

私は「その人

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